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宅配便革命 増大するネット通販の近未来|林 克彦|どうなる便利な宅配サービス!?

Amazonなどオンラインショッピングが隆盛を極め、一般にも浸透した現在。利用増で業務が追いつかない状態に。大手配送業者がAmazonから離れる一方小規模業者をお抱えにするAmazon。熾烈な配送業者の確保による基本運賃引き上げにどう向き合うのか?新たなビジネスチャンスは?

物流の危機

順調に発展してきた宅配便市場は、ネット通販荷物が急増し始めた2010年頃にターニングポイントを迎えました。この頃から、ネット通販荷物が爆発的に増え始め、各社ともに取扱量が急増していきます。2010年度の宅配便取扱量は 31 億9000万個でしたが、2016年度には40億個を超える勢いです。

ネット通販が始まった頃は、宅配便需要のベースであったCtoC、伝統的な通販、BtoBが大部分を占めていたため、ネット通販荷物は目立ちませんでした。しかし、この頃から見る見るうちにネット通販荷物が増え始め、やがて宅配便の輸送ネットワークが軋み始めます。

2013年度には、消費税増税前の駆け込み消費が生じ、宅配便取扱量も急増しました。年度末には、宅配便の遅延が生じ、その余波は2014年度初めにも及ぶほどでした。

2013年度には突如、各社の取扱量にも異変が生じました。飛脚宅配便の取扱量が対前年度マイナス 10・2%となったのに対し、宅急便は対前年度 22・8%増を記録したのです。その後も、飛脚宅配便の取扱量は横ばいで推移しているのに対し、宅急便は2014年度に一転マイナス、2015、2016年度はプラスとなります。ゆうパックも対前年度2桁の高い増加率を記録するようになりました。

物流の要となるドライバーの賃金が下がっていることによりとりわけ長距離のドライバーが足りていない。昔は結構稼げる職種だったのだが、今は見る影もなく、ブラックな職場。人材が流出し人手不足に。それに需要増が重なり更なるダメージとなってしまっている。

消費者の満足を追求するネット通販

ヨドバシカメラは、おそらく日本でもっとも熱心にネット通販に取り組んでいる小売業者です。ネット通販の売上高は1000億円を上回り、全売上の1割を超えています。店舗を持つ利点をフルに活用し、店内で無料Wi−Fiを提供して誘客し、スマホで自由に商品を撮影し、他のネットショップと比較できるようにしています。店頭に欲しい商品がなくても、ネット通販専用アプリで検索して購入することができます。このネット通販の売り上げは、その店舗の売り上げとしてカウントされますので、店舗社員も不満を持ちません。

ヨドバシカメラのウェブサイトは、商品説明やユーザー評価が充実しています。ネットで商品の仕様や価格を調べたうえで、実店舗で購入することをウェブルーミングといいますが、ヨドバシカメラはその成功例ではないでしょうか。テレビやカメラ等の家電製品は、高額で実際に見たり試したりしないと不安ですので、ウェブルーミングで誘客するのにマッチした分野です。

店舗では、ネット注文した商品を受け取ることもでき、閉店後の深夜でも受け取れる窓口を設けた店舗もあります。駅前に立地した店舗が多いので受け取りも便利ですし、もちろん店舗からの配送も行っています。

川崎市にネット通販専用の物流センターを整備し、家電だけでなく食品、日用品、書籍など450万品目を扱っています。年会費や追加料金を払わなくてもスピード配送してくれます。2016年からは最短2時間30分で無料配送する「ヨドバシエクストリーム」も開始しました。都内 13 か所に専用配送拠点を設け、宅配便事業者に依存せず自社トラック300台と自社ドライバーで配達しています。

顧客満足度を上げるため自ら配送業者を抱え込む戦略はあちこちで。商品がすぐ届くのはもはや当たり前となった今、価格に上乗せされる配送料の有無も消費者にとって選択の理由に。Amazonプライム会員になっていると配送料無料が当たり前となっているので、他のサイトで配送料を取られるとなんだか損した気分にさえなる。そんな価格破壊を行い客をAmazon生態系に帰属させるやり方は他の企業も学ぶべきところだが。

物流の抱える問題やこれからの未来を語る上で欠かせないポイントを抑えつつ業界のことがわかります。Amazonによる価格破壊の威力は凄まじく業界の地図を塗り替えることに。その他の会社の追従する施策も!

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