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急成長する「格付け」ビジネスの実態、問題点、展望は?

大学や病院、地方債など、多分野に進出し始めた格付け。急成長する格付けビジネスの実態、問題点、展望は……? 格付け会社や財務省へのインタビューを通して浮き彫りにする。

世界「格付け支配」の影響

通貨危機がアジア全体に拡大。結果的に格付けの下落が通貨危機の 引き金 を引いたとして、格付け会社は各国首脳や様々な機関から厳しい批判を浴びた。たとえば、九八年十一月にクアラルンプールで行なわれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)では、格付け機関に対する批判が相次ぎ、IMF(国際通貨基金)や世界銀行なども、格付け会社がアジアの通貨危機を予測できなかったことに対して批判的な態度をとっている。格付け会社がどんな点を批判されたのかといえば、大まかにいって次の四点だろう。 1 結果的に格付けがヘッジ・ファンドに利用され、通貨投機の材料にされてしまったこと。 2 金融危機の連鎖の原因のひとつになってしまったこと。 3 短期間にソブリンのような影響力の大きい格付けを急激に下げたこと。 4 結果的に正確な格付けをタイムリーに行なうことができなかったにもかかわらず、何ひとつ責任をとっていないこと。  こうした批判は、実は現在もずっと継続している問題といえる。ソブリンの下落が原因でひとたび通貨危機が起これば、その国の経済はハイパーインフレなどを引き起こして壊滅状態になる。タイや韓国ではIMFからの緊急融資を受けるなどして、やっと立ち直ったものの、その代償は大きなものになった。むろん、通貨危機に陥ったのは、「アジアの奇跡」といわれたバブルが弾けたことが真の理由であるが、格付けを下げたからバブルが崩壊したのか、それともバブルが崩壊したから格付けが下がったのか、その判断は難しいところだ。

いずれにせよ格付けによる支配は明らかにある。バブル期において、それが弾けるのもまた格付けによるもの。格付けにより売りが加速し、バブル崩壊に一役買ったと見てもおかしくはないだろう。大口の投資家の中では最近、自動売買が主流になっているため、一度売りが入ると機械的に損切りの嵐となって思わぬ大暴落になることがしばしばある。時間が経って、それが解消される場合もあるが、そうでない場合はバブル崩壊のような事態に陥る。あな恐ろしや。

格付け会社にお金を払う人たち

日本でも有料ウェブサイトとして、年間三十万円から最高で二百六十万円までの料金をとって、情報を提供している。しかし、一方で無料で提供している情報も数多くある。こうしたやり方は、格付けを行なう理由と大きな関係がある。つまり格付けは、実は投資家のためだけにあるのではない。起債者である発行体のためにも存在する。発行体が債券を発行して、それを投資家に買ってもらうためには、第三者による客観的な評価が必要である。その評価が高ければ、低い金利でも投資家は購入してくれるが、逆に低い評価になると、金利をある程度高くしなければ投資家は購入してくれない。むろん、投資家も債券などに投資するのに、第三者の客観的な評価があれば便利だ。間違いなく金利が支払われて、償還時には元本が戻ってくるかどうかの目安になるからだ。

こういった情報を求めて大金を払う人々が一定数いる。投資運用額が大きければこうした情報にお金を払ってでも、優良な投資先を選ぶだろう。こうしたニーズが株式市場にもあるため、詐欺が横行するのだ。SNSをやっているとこの手の詐欺が横行。試しにキラキラアカウントをいくつかフォローして見てほしい。すると向こうからバイナリーレクチャーや自動売買で儲けませんか的なDMが届きます。これ全部詐欺なんで皆さん気をつけて。ほとんど儲からないレクチャーや自動でお金が吸い取られる高額な自動売買プログラムを売りつけられたり、もしそれに乗ってしまうと、あなたが今度は人を欺く側にならないといけなくなるかも。

格付けをどうやって活用するか

さて、格付けで忘れてならないのは、それを活用する側の姿勢だ。自己責任の時代になったいま、格付けをうまく活用することは重要なポイントになってくる。一般企業への格付けは、債券投資はむろんのこと株式投資や就職の目安にもなるし、銀行や保険会社への格付けは、預金や保険加入の目安にもなる。利用の仕方によっては、大学格付けは、進学の際の目安にできるし、病院格付けは入院や治療の際の目安にもできる。あくまでも格付けは単なる民間会社の意見だ、ということを忘れなければ、我々がそれをどう活用しようが自由である。たとえば株式投資の場合、トリプルAやダブルAクラスの会社は面白みがないかもしれない。むしろ、シングルAやトリプルBクラスの新興企業のほうが投資対象としては面白いかもしれない。ダブルB以下のジャンク債も、デフォルトのリスクを十分に承知した上で投資するのであれば、高い利息収入が得られる。そもそも、デフォルト率はダブルBでも当初の五年間なら数パーセント程度。自己責任においてきちんと覚悟して投資するのであれば、格付けは我々に投資の選択肢を拡大してくれることになる。

巷に溢れる多くの格付け。うまく利用すれば、良い選択の助けになるが、それに踊らされて痛い目を見ないためには、あくまでも民間会社の一意見と捉える必要がありそうだ。株式投資なんかではトリプルAやダブルAよりもシングルAやトリプルBの方が株価が上昇する際、大きな利ざやを稼げる場合もある。格付けはあくまで参考程度にとどめておき、絶対的な信頼の置けるものではないことを覚えておこう。

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