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天才・イチローを創った魔法の「言葉」なぜ、この人はブレないのか|児玉光雄

野球史に残る大記録を打ち立てたイチローが語った思考の源。どうすれば自信を持って成功に近づけるか?そしてスランプ克服法も。明日から使える人生のエッセンスを抽出。

だから、この人は「天才」になれた!

「成功」はすでに終わったこと。「失敗」はこれから挑むべきこと。5打数5安打の日は面白くない。なぜならその日は自分の実力が素直に出ただけで、そこから学ぶことは何もないからです。 (自分の「打撃論」について語った言葉) 選手にとって、5打数5安打の日は跳び上がるほどうれしいはず。もちろんイチローにとっても、うれしくないわけはない。しかし、〈すべてが好調で順調に運んだ日〉に学べることは実は何もないと、彼は考えられる。なぜかといえば、イチローはこれまでの選手生活の中で、数々のスランプを乗り越えることで成長してきたからである。イチローはスランプ状態に陥ったとき、そこから脱出するために深く思索を重ねることで、スランプに陥る前の状態よりもはるかに高いレベルへと飛躍を重ねてきた。この意味で、イチローにとっては〈好調でうまくいった日〉というのは、言い換えれば〈当然の結果が出ただけの日〉であり、淡々とした気持ちでとらえながら、受け流すだけのことなのである。なぜなら、「自分はこの結果に見合うだけの努力をしてきたのであり、これは当たり前の結果だ。別に騒ぐほどのことではない」ととらえているからだ。人の心は浮かれた途端に成長が止まる。結果を出したときこそ、自分を冷静な目で見つめ直し、さらにその先にある次の目標を見据えなければならない。

凡人は結果がよければ飛び上がって喜ぶことだろう。しかしイチローはそれは当然の結果として捉え、むしろスランプの時、もがき苦しむ時間をよしとする。良い結果に浮かれるのではないこの心の強さはなかなか真似できないが、成功する人の共通点として頭に叩き込んでおきたいものだ。

野生的な「五感」を磨く

人は好意を感じると、自分も好意を返そうとする。 そのやりとりが絆を強くしていく。 野手に関しては、僕以外のみんながカバーして、折れかけた心を支えてくれました。その中でも存在が大きかったのは、ムネ(川崎宗則)、青木(宣親)、ナカジ(中島裕之)の3人と、稲葉(篤紀)さん。 結果が出ない選手に近寄っていくことは難しいものです。 でも彼らは意識的に声をかけてくれて、結果に対するネガティブな意識を持っていることを感じさせないようにしてくれた。(09 年第2回WBCに出場したチームメイトについての言葉) 「好意の返報性」は、社会の中で通用している強烈な心理法則である。「相手に好意を示せば相手から好意で返ってくる。悪意を示せば悪意で返ってくる」のである。この「好意の返報性」を深く理解し実践することが、チームを勝利へと導く大事なカギとなる。イチロー自身、長い選手生活を通してこのことを充分に熟知している。第2回WBCでも、彼は積極的に他の選手たちとのコミュニケーションを取ることに努め、率直に感謝の念を表した。非言語コミュニケーション研究の第一人者であるレイ・L・バードウィステルは、自らの実験により、こう結論づけている。 「二者間の対話では、言葉によって伝えられるメッセージは全体の 35%にすぎない。残りの 65%は、話しぶり、動作、ジェスチャー、相手との間のとり方など、言葉以外の手段によって伝えられる」 周囲の人たちに対して「声をかける」だけでなく、表情や仕草で好意を示すことも大切なこと。いずれにしても、周囲の人間によって自分は支えられているという意識を持ちながら精いっぱい好意を示せば、難しい仕事もやさしくなる。

どうしても僕のような凡人は成果が出ると自分の手柄にしたいという心の動きが。自分はさまざまな人に支えられて生きていることを忘れがちになってしまうが、できた人間はそこを忘れない。特にチームプレーを必要とする分野では好意的に、そして支えられているという意識を持ちながらのアクションが必要だ。

「新しいこと」を生むルール

「高い壁」も、横から見れば「薄い壁」かもしれない。 もがいても、もがいても、何を考えても、何をトライしてもダメなときが人生にはあると思うんですけど、そういうときこそ、自分に重荷を課すことが必要だと思うんです。 (06 年春、努力と結果について語った言葉) 05 年のシーズンは、イチローにとっておそらくメジャー生活 10 年のキャリアの中で最も厳しい年であったといえる。679打数206安打、打率3割3厘。安打数、打率においては、 10 年間で最低の成績である。バーナード・ワイナーという心理学者が「原因帰属理論」というものを唱えている。これは、失敗の原因をどこに求めるかに関する理論である。ワイナーによると、失敗の原因は、「内的で変動的要因」(努力)、「外的で変動的要因」(運)、「内的で固定的要因」(素質)、「外的で固定的要因」(課題のレベル)の4種類に分けられるという。これらの原因のうちで、自分自身の力でコントロールできる要因は、「努力」と「課題のレベル」だけ。だから、問題を解決するには、もっと努力をするか、いまの課題のレベルを変更すればよい。それ以外では、悲観的になったり、考えすぎて落ち込むだけで、問題は解決できない。考えてもどうにもならないことよりも、何とかできることに意識を向け、全力投球する。これこそ運を向上させる秘訣なのである。

高い壁を正面から突破することばかりに気を取られてたら壁が薄いことに気づかない。なんなら蹴り一発で破壊できるなんてことも。そうしてもがき苦しむ中では悲観的になりすぎないことが大事。

天才、イチローを形創る魔法の言葉。あなたを更なる進化へ誘うこれらの言葉は人生で役に立つこと間違いなし。魂の言葉があなたを変える!

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