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国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶|加谷珪一|他の先進国が消費を拡大する中、なぜ日本だけが沈み続けるのか

日本以外の先進国が消費を拡大する中、なぜ我が国は沈み続けるのか?その原因は緊縮財政、消費税?いいえ、それは「日本人の性格」なのです。猜疑心が強く、他人の足を引っ張るという隠れた国民の本性が、「失われた30年」で明らかに。後ろ向きな心持ちでは景気向上はあり得ない!!そんな日本の問題解決方法とは?

コロナ感染は自業自得と考える日本人は欧米の10倍

このところ「自己責任」という言葉を見聞きする機会が増えています。

投資やビジネスの世界では、結果の責任はすべて自分が負うという意味で「自己責任」という用語がよく使われてきましたが、今、日本社会で多用されている自己責任論はこれとはかなりニュアンスが違っています。本来の意味を超えた過度な自己責任論は、社会的にはもちろんのこと、適切な経済成長を阻害するという点において経済的にも問題があると筆者は考えます。

自己責任という言葉は、投資の世界における「自己責任原則」を除けば、明確に定義されているわけではなく、自分の行動がもたらした結果は自分が責任を負うという程度の意味合いです。責任が及ぶ範囲がどこまでなのかについては、その言葉を口にする人によって様々であり、明確な共通認識はないと思ってよいでしょう。

投資における自己責任原則のように投資活動に限定した使い方であれば、この言葉が多用されたところで大きな問題は発生しません。株式投資はまさに自己責任の世界ですが、どの株をいくらの値段で、いつ買うのかを決めるのはすべて自分であって、それ以外の要素が入る余地はほぼゼロです。ビジネスの世界も同じであり、公平な競争環境が存在しているのなら、失敗はすべて自分の責任であり、他人のせいにすることはできません。

明確にルールが定められているわけではありませんが、経済活動における自己責任論というのは「相応の意思と能力を持った人が参加」することが大前提であり、そうであればこそ「自分自身がすべての結果を負う」という暗黙のルールが成立しています。

ところが近年、日本において声高に叫ばれている自己責任論は、それとは大きく異なっています。

コロナ感染のように感染対策をした上で生活していても罹患してしまうほど感染力の強いウィルスでも感染すると自己責任と言われる風潮は日本特有のものらしい。欧米諸国では政府の対策が問題視されたりして矛先が国民に向くということは少ないそう。国民性ですね。とりあえず感染した人を腫物扱いしてしまう日本人の底意地の悪さ。そんな国で国民として恥ずかしい。

消費低迷を映すイノベーションの進展度合い

では、個人消費というのは、どうすれば拡大するのでしょうか。

ケインズ経済学では、人間は稼いだお金の一定額を消費に回し、残りは貯蓄すると説明されています。古典派経済学では、人間は完璧に合理的であることが前提になっていますから、消費と貯蓄の比率は基本的に利子率に依存すると考えます。

人によって個人差はありますが、全体を平均すると、同水準の所得がある人の消費水準はほぼ一定の範囲に収まりますから、大まかな理解としては、ケインズが言うように所得の一定割合を消費すると考えて差し支えないでしょう。

しかしながら、所得の一定割合を消費するという概念はあくまで全体を単純化したものであって、その比率が硬直的であるとはケインズは考えていません。消費が変化する要因についてケインズは、「支出の動機は相互に絡み合っており、それらを敢えて分類しようとすれば、誤った分類をしてしまう恐れがある」(『雇用、利子および貨幣の一般理論』) として慎重なスタンスを崩しませんでした。その上でケインズは消費を決定付ける要因を、客観的要因と主観的要因の2種類に分類しています。

客観的要因としては、企業の人件費の比率(厳密には賃金単位)、企業の原価償却の水準、株や不動産など資産価格の推移、期待インフレ率(将来、どのくらい物価が上がると消費者が予想しているか)、税制の変化、などが該当します。これは比較的定量化しやすい項目ですが、問題は次の主観的要因です。

主観的要因としてケインズは、リスクに対する消費者の感覚、将来予想される所得の変化、貯蓄に対する価値観、将来に対する主体的な意思の有無、ケチあるいは浪費癖といった個人の性格など、多くの項目を列挙しています。

どれだけ貯蓄に回すかは悩ましい問題だが、日本人は貯蓄が大好き。欧米では投資に回るお金が大半なのに対し日本では元本割れを嫌ってか貯蓄率が高く眠ったお金は莫大な金額となっている。政府は鈍化した経済成長を抜け出すため、貯蓄から投資へと誘引する策をあの手この手で練っているがなかなか響かない層がいるのも事実。お金お稼ぐのは汚いことみたいな日本人の根底にある変な美意識みたいなのが邪魔をしているのだろうか?

日本人の性格の悪さが日本低迷のキーとなっていると唱えるこの書籍。読んでみると確かにその通りと感じることも多く、反省すべき点は反省しようと。

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