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図解 身近にあふれる「元素」が3時間でわかる本|左巻 健男 , 元素学たん

何気ない普段の生活の中に溶け込んだ元素の存在。私たちの生活のあらゆるシーンに登場し不可欠な元素ばかりを取り上げその成り立ち、仕組みを解説します。

一番最初に誕生した元素って何?

元素合成は、約138億年前の「ビッグバン」のあと、すぐに始まりました。やがて恒星や超新星爆発が元素合成の舞台になり、私たち人間もそこで生まれた元素からできています。

すべての始まりは「ビッグバン」

今から138億年前、宇宙の始まりは目に見えないほどの小さな超高温・超高密度の火の玉のような状態でした。それが爆発し、すさまじい速さで膨張して空間が広がっていきました。この爆発は ビッグバン と呼ばれます。

ビッグバンによって宇宙が生まれた一瞬後、 クオーク という陽子や中性子をつくるさらに細かな素粒子が誕生します。クオークはあちこちで生まれたり、消滅したりしながら、そこらじゅうで集まったりしていました。

宇宙誕生から0.0001秒ほどたって温度が下がると、クオークが集まって 陽子 や 中性子 ができ、水素の 原子核(陽子1個) の他にヘリウムの原子核(陽子2個と中性子2個) がつくられました。

原子核だけの状態が約38万年間続きましたが、原子核は周囲を飛び回っていた電子を捕まえて、最初の元素である 水素 H と ヘリウム He ができました。

それまでは、飛び交う電子に光がぶつかってまっすぐ進めず、宇宙は「電子の雲」におおわれた状態でしたが、元素ができると光がまっすぐ進むようになりました。宇宙は透明になったのです。これを 宇宙の晴れ上がり といいます。

水素とヘリウムだけの世界って想像がつかないけど、宇宙の始まりを感じます。何もないところから現在の複雑な元素の構成に至るまで、宇宙は元素でできていると考えるとロマンがある。

液晶や有機ELの元素って何?

ここ10年ほどで、携帯電話の主流はスマートフォン(スマホ)になり、テレビは液晶や有機ELのディスプレイに変わりました。これらにはどんな元素が使われているでしょうか。

液晶ディスプレイの構造

1枚の液晶ディスプレイは、複数の素材を重ね合わせて構成されています。その中心部にある液晶セルは、《偏光板+[ガラス板+透明電極+液晶+透明電極+ガラス板]+カラーフィルター+偏光板》という構造になっており、その背後には白色光を出しているバックライトなどがあります。

ガラス板にはケイ素 Si やナトリウム Na やカルシウム Ca、透明電極にはインジウム In やスズ Sn といった元素が含まれています。偏光板やカラーフィルターは樹脂(プラスチック) でできており、炭素 C や水素 H や酸素 O といった元素でできています。バックライトには白色LEDが使われることが多く、アルミニウム Al やガリウム Ga、イットリウム Y、セリウム Ce などが用いられています。

最近のスマホ画面やテレビなどに多く使われている液晶や有機ELのディスプレイには様々な元素が用いられている。その構成により私たちは綺麗な画面で動画やスマホ画面を見ることができ、生活に必要不可欠なものとして君臨している。

地球もスマホも元素の組み合わせでできていると考えると面白い。複雑に交わり物質を構成するため如何様にも化けることができるのが元素。その仕組みを詳しく解説します。

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