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医師がすすめる 太らず 病気にならない 毎日ルーティン|石黒 成治|食事法、レシピ、筋力トレーニング法

生活スタイルに加え、病気の予防のための運動習慣の重要性を解く。食事法、レシピ、筋力トレーニング法、体験レポートも加え習慣化に必要な戦術もレクチャー。

健康はすべて「腸内環境」が決める

病気の裏にはいつも「腸内細菌」の異常 がある

最近では腸活という言葉がテレビでよく流れるようになったので、腸内細菌はなんとなく重要なものだという認識は広がりつつあります。

20 世紀初頭、ノーベル賞受賞者で免疫学者であるロシアのメチニコフは、腸に存在する細菌が、加齢に伴う多くの疾患の発症に関与しているという仮説を立てました。しかしこの考え方は 20 世紀の間はほとんど放置されてきました。そして 21 世紀になってようやくこの考え方にスポットライトがあたります。腸内の細菌についてはこの 20 年で爆発的に研究成果が発表されています。

そして得られた結論は、 僕たちの体が健康状態を保てるか、病気になるかは腸内細菌による影響が大きい。僕たちの腸の中でどのような腸内細菌が働いてくれるかが僕たちの健康を決めるということです(Front Microbiol.2018)。腸内細菌を理解することが、真の病因や治療法に革命をもたらす可能性があります。

高血圧、2型糖尿病(注1)、肥満、動脈硬化の人が持つ腸内細菌は、健常な人とは明らかに組成が異なっています(Stroke.2019)。病気の人の腸内細菌を調べると、善玉菌である乳酸菌の割合が著しく変化します(PLoS One.2017)。その結果、腸内細菌が生み出す物質、特に 短鎖脂肪酸(酪酸、酢酸、プロピオン酸) が著しく減少していました。

短鎖脂肪酸とは、腸内で食物繊維やレジスタントスターチ(注2) を細菌が発酵して作る物質です。小腸で栄養分を吸収された食事の残りかすは大腸内に流れ込みます。食物繊維については、人は分解する酵素がないため、小腸で分解されずそのまま大腸に移動します。大腸内で腸内細菌が食物繊維を処理した結果、短鎖脂肪酸が作り出されます。作り出された短鎖脂肪酸は吸収されてエネルギーとしても使われます。すなわち、腸内細菌が食事からおよそ 10%余分にカロリーを抽出していることになります(FEMS Microbiol Ecol.2012)。

また、短鎖脂肪酸は大腸の粘膜の炎症を抑える作用があります(Cell Metab.2011)。腸内細菌の生み出す短鎖脂肪酸がなければ、腸内は炎症が持続し、腸内環境がどんどん悪化していきます。

腸活、最近よく聞くようになってきて健康に関する書籍を読んでいると必ず出てくるキーワードに。研究が進んで腸内細菌の効果を実証するデータもたくさん出てきている。

頑張らない「筋トレ」が万病を防ぐ

運動は 万病の薬である

運動が健康にいいことは誰でも知っています。「運動は体にいいと思いますか?」という質問に「いいえ」と答える人のほうが珍しいはずです。

しかし、現在のライフスタイルに、定期的な運動を取り入れている人はいったいどれくらいいるでしょうか?

健康食品や健康グッズのように、その商品を購入すれば健康になれる、健康状態が改善するという表現はわかりやすいですが、運動が健康によいという表現そのものは漠然としています。人はこれだけすればよいという単純な「ワン・イシュー」(one issue) の表現に弱く、短期的に変化が起こることを期待します。しかし、ちょっと運動をやったところで、あまり体調の変化は感じません。ましてやダイエットしたい、脂肪を落としたいと思って運動を開始しても、1週間程度では体型が変化するはずもなく、そのまま何らかの言い訳をしながら運動することをやめていきます。

運動を続けられない要因としてまず挙げられるのが、運動の健康上の 本当の利点を理解 できていないことです。2000年以前には、運動は健康増進に役立つという認識で、運動は健康にいいからやったほうがいいですよという程度のメッセージでした。

しかし 21 世紀に入ってからは、運動の有効性に関して捉え方が全く変わりました。 運動不足は、慢性疾患や死亡の実際の原因 である、と分類されるようになったのです(JAMA.2004)。それは運動不足が喫煙やアルコール、悪い食習慣と同じく病気の原因であるという意味です。そしてこれからは、運動不足は喫煙よりも重大な健康上の問題となっていくだろうと予想されています(Compr Physiol .2012)。「運動」と「健康」の間の関連性を示す研究はこれまで 10 万件以上も存在しています。そして現在では、運動不足は心臓病、認知症、乳がん、大腸がんなど 35 もの疾患の原因であると定義されてきています(J Physiol.2009)。

運動は健康に目覚めた一部の人たちがやるものではなく、病気を予防したいすべての人が取り組むべき課題です。

僕も中年で老後を意識するようになる年齢になり、足腰のために筋トレを毎日やるようにしている。しかし、特にマッチョになるような激しいものでは続かないと思い軽いものを続けています。運動の効能はわかってはいてもなかなか習慣にするのは難しい。学生時代、部活などで運動習慣があった人には苦もなく続けられるだろうが、帰宅部だった僕には結構きつい(笑)

肥満と健康にきく毎日のルーティーンをあなたの日常にインストール。ちょっとした工夫で毎日続けられれば万全な状態が保てます。

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