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儲かる会社に変える貧乏人の発想金持ちの行動|大谷 将夫

赤字会社をV字回復させ9期にわたり連続増益に導いた男の剛腕っぷりを描いた成功秘話。倒産、リストラが後を絶たない厳しい経済状況の中、生き残り、社員に笑顔が絶えない会社の秘訣とは?

経営は結果が全て

私は「経営は結果がすべて」だと考えている。理屈ではない。口先でどれだけ立派な理論を展開しようと、会社がよくならなければ、経営者としては失格である。だから、できるだけ理屈や理論をこねることはやめて、私が実際に体験したこと、感じたこと、考えたことをありのままに述べていきたい。企業活動の最終責任は、言うまでもなく社長が負っている。わるい結果が出たときに、取締役や社員たちのせいにはできない。結果がわるければ、社長はクビ。それでいいと私は考えている。社長にその覚悟がなければ、会社全体も引き締まらない。最終責任は自分にあると自覚するからこそ、シビアにものごとが考えられ、社内にも厳しい目が向けられる。この覚悟が中途半端な経営者は、ゴチャゴチャとつまらない言い訳が出てくるのだ。経営者に言い訳はいらない。いまの世界経済や国内景気がどうであるとか、あるいは優秀な人材が会社にいないとか、そのような言い訳はいっさい通用しない。自分で経営方針や事業計画を打ち立て、それにしたがって企業活動を進めた結果がわるければ、すべて経営者の責任である。業績悪化にしろ不祥事にしろ、原因はさまざまあるだろうが、経営者がそれを並べだしたらキリがない。原因分析は原因分析、責任は責任だと別問題として受けとめたい。なぜ、こんな話からはじめたかといえば、最近どうも経営者の責任感が薄れてきたように思えるからだ。とくに、社長は最終責任者という自覚が足りない。覚悟が中途半端な社長は、第一に、自分で結論を出すことができない。

問題が起きた時あなたの会社の社長はきちんと責任を取ることができるだろうか?最近不祥事が相次ぐ大手の会社でも社長にその意識が低いと思われる事例は多数ある。売上低迷や、不祥事で社長が責任を取らなければ、その所在はどこに求めれば良いのか分からなくなってしまう。このような覚悟がないなら社長になるなと言いたい。それだけ他の社員と比べて大きな報酬を得ているのだから当然のことなのに、それを理解していない社長が多すぎる。もし自分に非がなかったとしても、社長である以上責任はあなたにあります。

合理主義と人間主義

経営者は合理主義(業務改革)と人間主義(意識改革)の両刀づかい──講演会などでも私は必ずこの話をする。そのときに、質問を受けることがある。このふたつは、私のなかで矛盾し対立することはないのか、と。私はこれまで対立すると考えたことは一度もない。言葉の印象ほど、この両者は対立しないものである。業務改革と意識改革は、いわば経営の両輪である。意識改革で社員のやる気が高まるから、それだけ業務改革が進むのだと言ってもいい。だから、合理主義に偏った経営姿勢を見ると、私にはどうもバランスを欠いているように思える。このバランス感覚は、経営者の要件であり、私にとって経営者を評価するときの重要な基準となっている。これまで、優秀と呼ばれる人材を数多く見てきたが、六八歳となったいま、「どんなタイプが優秀だと思うか?」と問われたら、迷わずこう答える。 「バランス人間」この呼び方が正しいかどうかはわからないが、私のなかではバランス人間こそ優秀な人材、組織をまとめあげ引っ張っていけるリーダーの器だと思っている。別の言い方をすれば、両極端と思われる性質を併せもった人間のことだ。大胆さと繊細さ。優しさと厳しさ。合理主義と人間主義。理想主義と現実主義。一見すると矛盾した性質のようでいて、本人のなかでは自然に両立しているのがバランス人間である。

経営者に求められるバランス感覚。これが崩れた歪なバランスの経営者はどこかで弾かれることだろう。大胆さと繊細さ。優しさと厳しさ。合理主義と人間主義。理想主義と現実主義。全て経営者に必要な要素です。

ロマン語り

ロマンを語ることは、経営者にとって仕事の一部と言っていい。自分の人生を豊かにするだけでなく、会社を発展させていく力、社員を引っ張っていく原動力になる。会社の長期ビジョンといえば、誰もが納得しながら耳を傾ける。ビジョンが示されなければ、働きがいを感じないと社員たちも言う。会社の長期ビジョンは、平たく言えば「こんな会社にしていきたい」という経営者の夢だ。  タカラ物流システムと長崎運送の一〇年後についても、私はしょっちゅう語っている。これだけの規模にしたい、働きがいのある会社にしたい、こんな事業を成功させたいと一〇年後の夢は尽きることがない。「継続的成長をめざす長期戦略」と言えば経営者らしいが、私にとっては同じことだ。

いかにロマンを語って、ビジョンを共有するかが肝。ビジョンが明確であるほど社員の行動指針は強固となり、それがオペレーション全体の質を押し上げる。そんな会社が生き残るのだろう。

会社をV字回復させるために送り込まれた社長の経営理念とはどういうものか。実際にどのように動けばいいのかが書かれた書籍。一度黒字化させたら今度は維持というミッションが。儲かる会社に変えるということはこういうこと。

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