これからの世の中を生き方・働き方の変化を見ながら「仮想空間シフト」していく様子を言語化・体系化。アフターコロナ、災害続きの世の中でより多くの「進化できる人」を生み出すための書籍。
仕事はオーケストラからジャズになる
尾原 そういう意味では、仮想空間における仕事はオーケストラ型からジャズ型に変わる、と言えると思います。
例えば打ち合わせを必ず一時間確保しようとすると、忙しい人が多数集まる会議の場合はなかなかスケジュールが合いません。だから「二週間後に集まりましょう」というようなスケジュール感になっていました。
ひとつのことを決めるのに二週間もかかって、そこで出てきた新しい課題を考えるのはまた二週間後。一つのプロジェクトが二週間、二週間、二週間というようなリズムでしか進まなくなることも多くて、そうなると「いやいやその間にライバルは先に進んじゃうぞ」となっていました。
これは音楽に例えるとオーケストラ型なんですよね。目標とする日に向けて、しっかりパートを割り振って、個別で練習して、みんなで集まって練習して、いざ本番の日がきた、というところでそれを披露するという。
一方でジャズ型のセッションというのは、その場の雰囲気で「俺ドラム入るわ」「俺ギター入るわ」と言う風に参加者が集まってすぐに音楽を奏ではじめます。
仕事もそんな風に、二週間に一回のサイクルから、毎日人が増えて行って良いものが生まれる、という形になっていくはずです。
山口 私は音楽もやっているので、その例えは非常によくわかります。オーケストラの楽譜っていうのは、縦軸は音の高低、横軸はタイムフレームというマトリックスになっています。タイムフレームは例えば四分音符が一分間に一二〇個、という風にきっかり決まっていて、必ずそのリズムで演奏は進むわけです。誰か一人がそのリズムから外れてしまうと、やはりおかしな演奏になってしまう。
一方でジャズというのはそのタイムフレームが伸び縮みするというのが特徴なんですよ。
オーケストラ型からジャズ型へわかりやすいたとえだ。関係者全員集めて会議するなんていうのは時代錯誤になりつつあるのかもしれない。リモートでのZOOM会議なども最近では多いがそれも煩わしいと感じる今日この頃。ジャズ式の仕事術はこれからフリーランスで働く人などを中心に広まっていくだろう。
社会や生活が変わると、自分の見つけ方が変わる
尾原 というわけで、アフターコロナの世界に起こる仮想空間シフトについて山口周さんとお話してきたわけですが、今まとまった原稿を読んでみて、改めて感想戦のようなものをできればと思います。
山口 よろしくお願いします。
尾原 山口さんは原稿を読んでみて、改めて何か語りたいことはありませんでしたか。
山口 本文で「スプラトゥーン」の例があったじゃないですか。アイデンティティのでき方と言う話で。
尾原 人のアイデンティティは環境によって定義されるけど、今のZ世代やその下の α 世代は仮想空間の中で自然とそれをしているという話ですね。
山口 はい。その中で、「スプラトゥーン」は五分ごとに対戦相手やチームメイトが切り替わっていくから、リーダーとして動くときと、フォロワーとして動くときがあるという話がありました。あれって宇宙飛行士の話と一緒だなと思ったんですよ。
尾原 ほう。
山口 宇宙飛行士の選抜試験って、いろんな試験があるんですけど一番最後に「閉鎖環境テスト」ってあるんですよね。
尾原 あ、それ『宇宙兄弟』で読みました!
山口 その中でもいろんな項目をチェックしているんですが、ひとつはリーダーシップとフォロワーシップの切り替えを見ているんですよ。宇宙空間って何が起こるかわからない。未知のトラブルが起こるわけですよね。当然、その問題によってどんな能力がある人がリーダーシップを発揮すべきかが変わってくる。
だからこの人がリーダーですと決めて何があっても全員がその人についていくというチームではうまくいかないんですよ。状況に応じてリーダーにもなれるしフォロワーにもなれるという風じゃなきゃいけない。それをチェックするために、すごくいろいろな試験を課すわけですね。
リーダーとフォロワーがフレキシブルに変わっていく仕事の方法論。どちらもこなせるようでないとこれからはなかなか難しいのかも。得意分野を伸ばす意味合いでも専門性に溶かしたリーダー選出は理にかなっている。
誰もが「知」の高速道路になれる時代。AIやその他のIT技術の進化で働き方も多様に。そんな時代の良いところを余すことなく享受するためのガイド本。
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