Book

世の中と足並みがそろわない|ふかわりょう|世の中との隔たりと向き合う “隔たリスト”

どこにも馴染めず、他人の色に染まれない。そんな社会との隔たりを感じる“隔たリスト”ふかわりょうの歪んで楽しいエッセイ集。

女に敵うわけない

こんな私でも、「写真撮ってください」と頼まれることがあります。勝手に撮られるのに比べれば悪い気はしませんし、芸能人はそう言われているうちが華。最近は、ほとんどの人がスマホで撮るので、自撮りスタイルで画面を覗くことが多いのですが、いつも気になっていることがあります。それは、スマホの液晶画面が割れている人が多いこと。ついさっき割れたばかりではなさそうです。大きく亀裂が入った状態のまま使用していると見られるのですが、決まって女性なのです。

大変申し訳ありませんが、ここから先入観と偏見に満ちた文章が続きます。

もちろん、男性でもいなくはないですが、私の統計上、圧倒的に画面が割れているのは女性。女性が100人いれば 10 人は割れているのではないでしょうか。いや、もっとかもしれません。私自身スマホもタブレットも割ったことはないのですが、ちょっとの亀裂ならまだしも、自分のスマホがバキバキに割れたら、そのままの状態で使い続けはしないと思うのです。女性はスマホを割りやすい理由があるのでしょうか。女性にとって画面の亀裂はあまり気にならないのでしょうか。車のフロントガラスにヒビが入ってもそのまま運転するのでしょうか。バキバキに割れている男性の腹筋のように、スマホもバキバキに割れている方がいいということでしょうか。それとも、フリーメイソンのような秘密結社の合図なのでしょうか。

先日、知人のライブで上演を待っているときのことです。

「もう、二回も割ったんだよ」

隣の男性二人の会話。私は、おそらくスマホのことを指しているであろうその言葉に、彼の画面が現在どうなっているのか確かめずにはいられません。果たして割れているのか。腰を持ち上げ、座り直すふりをして、彼の手元に視線を向けました。 「!!!」

二度も割ったという彼のスマホの画面には、一切亀裂が入っていません。やはり男性は割れたら直すのです。いつのことかわかりませんが、きっと「二度も」直しているのでしょう。男性はヒビが入ったまま使用しないのだと確信すると、開演のブザーが鳴りました。

割る人の数は男女でさほど変わらなくても、そのまま使う人が女性に多いから、遭遇する率が上がるのか。いずれにせよ、こんなにも女性のスマホが割れている原因を考えてみたくなりました。先ほども書きましたが、先入観と偏見に満ちた文章が続くことを予めお断りしておきます。

確かにスマホの画面が割れてるのは女性が多いように僕も思います。自分統計ですが(笑)スマホにガラスフィルムを貼っているのにそれが割れて張り替えていない人も。バキバキに割れていて操作に支障が出てきそうだがお構いなし。ずぼらな性格なのだろうか。

隙の効用

隙のある女性はモテる。雑誌等で見かけるフレーズですが、「隙」ってなんでしょう。男性の考えるそれと女性のそれは違うかもしれませんが、確かに口を真一文字にしているよりも、かすかに開いている方が柔らかな印象を受けます。グラビアを飾る人が、マリリン・モンローのように程よく唇を離したり、アイドルがあひる口や鼻にかかる声を発したりするのも、男性に「隙」を感じさせるためかもしれません。仕事で失敗しない女性が意外とお酒に弱かったり、私生活はどこか抜けていたり。キビキビと早口で 捲し立てる人よりも、ゆっくり話す人の方が声を掛けやすいのも「隙」のおかげでしょう。ほのかに計算が見え隠れするこの手の「隙」は、美人じゃないと単なる事故でしかないという厳しいご意見もありますが、「隙」が「可愛げ」や「親しみやすさ」に繫がるのは女性だけではありません。

昨今のSNSでもそうです。観る者にリアクションしやすい余白や「のりしろ」を作ってあげた方が「バズる」傾向にあります。言いかえるなら、突っ込みどころ。完璧なものよりも、未熟で未完成なものに魅力を感じ、そこに感情の入り口が生まれる。みんな関わりたいと思っているから、突っ込めることが嬉しくて。「隙」には多くの人を巻き込む力があります。完璧な舞台装置の上で魅了するアーティストもいれば、自宅で生活感溢れる中で歌う親近感。作り込まれた世界から、作り込まれていない世界へ。

「非の打ち所がない」という表現は本来褒める際に使用されるものですが、これからは「非の打ち所がたくさんある」ことも魅力になるでしょう。私がMCを務める『5時に夢中!』が愛される理由はそこかもしれません。突っ込みどころ満載。隙だらけ。予算やスタッフの不足から、どうしても滲み出てしまうローカルの香り。開き直ってはいけないですが、これも「隙」の力。

昔はテレビを観て、「隙」を感じることはありませんでした。完璧だとは思わないにしても、突っ込みたくはなりません。スポーツアニメやドラマがたとえリアリティーに欠けていても、そのまま受け入れていました。それが、SNSの普及とともにテレビの求心力が低下すると、視聴者の突っ込みが可視化され、それらが報じられるようにさえなりました。しかし、「隙」に注がれる容赦ない言葉は、番組への愛情以外の何物でもありません。

ツッコミどころのあるエンタメの方が視聴者の考える隙があるという事だろうか。確かに昔と比べて作り込みといったところでは今の方が視聴者の介入しやすい面はあるかもしれない。SNSでバズるにはそうした余白が必要。番組の内容についてツイッターで呟きながら視聴するスタイルはおじさんの僕には馴染めないが、順応性の高い人はそうやって番組を楽しんでいるようだ。

世の中の波に乗れずなんとなく世間とのずれを感じながら生きていく。そんな著者の感じる今を赤裸々に語る。共感できるところも多く陰キャにはおすすめ。

※この書籍はKindle Unlimited読み放題書籍です。月額980円で和書12万冊以上、洋書120万冊以上のKindle電子書籍が読み放題になるサービスが初回30日間無料となっております。PCの方はサイドバーのリンクより、スマホの方は下の方へスクロールしていただければリンクが貼ってありますので興味のある方はどうぞ。なお一部の書籍はキャンペーンなどで無料になっていて現在は有料となっている場合もありますのでその場合はあしからず。

【サブスク】 Kindle Unlimited

Kindle Unlimitedの詳細はこちら

僕が利用している読書コミュニティサイト

【本が好き】https://www.honzuki.jp/

【シミルボン】https://shimirubon.jp/

-Book
-, , , ,

© 2024 51Blog Powered by AFFINGER5