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ロングエンゲージメント──なぜあの人は同じ会社のものばかり買い続けるのか|京井 良彦

SNS時代のマーケティング論。企業や商品サービスを消費者をつなぐ存在の広告はSNSの登場で随分変わってきている。そんな時代に即した広告とは?

カンヌ国際広告祭

2010年度にこのチタニウム部門のグランプリを受賞したのは、「Best Buy(ベストバイ)」(※6)というアメリカの家電量販店の「TWELPFORCE(ツウェルプ・フォース)」と名付けられたキャンペーンでした。これも例にもれず、従来の広告とはちょっと、いやかなり違ったものと言えるでしょう。 「TWELPFORCE」とは、ベストバイが開設したTwitterのアカウントです(「TWELP」は、「Twitter(ツイッター)」と「Help(ヘルプ)」を組み合わせた造語)。ユーザーがこのTwitterアカウントに対して家電に関する質問をつぶやくと、知識豊富な全国のベストバイの社員が即時に答えてくれるという仕組みです。たとえば、「娘が大学に進学するのだが、パソコンは何がいいだろうか?」とつぶやくと、「今ならMac(マック)がいいでしょう。しかし学校によってはWindows(ウインドウズ)しか作動しないプログラムを使っているところもあります。まずは学校の環境を確認してみることをお勧めします」などのように、回答コメントがすぐに返ってきます。それもひとりが答えたら終わりではなく、いろいろな意見が飛び交います。さらに、商品をセールスするでもなく、ただ質問に答えるだけなのです。

最近は企業もSNSを上手に使うところが出てきていて気軽にアカウントにリプするときちんと返信が返ってくることも。エゴサーチをうまく利用して顧客の不満を吸い上げている企業も多い。文句を言う人は改善すればまた顧客となってくれる人が多い。一方、何も文句を言わずに離れていく客が企業として一番怖いのだ。

近未来には広告地獄が待っているのか

インターネットという革命的情報ツールの登場です。さらにブログやSNSなど、ソーシャルメディアの登場も加わったことで、それまでとは比較にならない爆発的な情報インフレーションが起こったのです。もはや世の中の情報量は、「ブレード・ランナー」に描かれていた近未来都市での情報量をはるかに超えるものとなっていると言えるでしょう。 ボードリヤールは「広告さえ見せればよい」と説きましたが、今や世の中の情報量が増え過ぎて、他の情報に埋もれることなく「広告を見せること」自体が難しい状況になっています。その結果、広告は生活者とのコミュニケーションよりも「アテンション(注目)」を獲得することを優先し、どんどん派手で、刺激的で、目立つことを重視するようになりました。事実、広告の熾烈なアテンション獲得競争は加速するばかり。伝えるための表現であるべきクリエイティブまでもが、アテンションを獲得するための表現になってしまっているように感じることもしばしばあります。

Instagramなんかではビジネスアカウントにすると投稿に対するインサイトを見ることができる。僕の場合はフォローしてくれている人のリーチが割合が70%程度。投稿に対するフォローはいつも「0」「1」とか‥‥。

ソーシャルグラフ

たとえば、スターバックスのファンサイトには、既に1000万人以上の人がファンとして登録しています(1000万人という数は、日本人口で言えば 10 人に1人ということです)。スターバックスは、このファンサイトを活用して、コストをかけることなく、いつでも1000万人と新商品や新キャンペーンに関するコミュニケーションを展開することができるのです。 ソーシャルグラフからオープングラフへ  Facebook上で構築された、ユーザー同士の人物相関に基づくデータベースは、「ソーシャルグラフ」と呼ばれ、これがFacebookの資産となっています。  狭い意味でのソーシャルグラフは、人と人とのつながり、つまり友人関係を指しますが、Facebookは、もっと広い意味でソーシャルグラフを捉えており、実名やメールアドレスなどのコンタクト先情報、学歴などの属性情報や、さらにはウェブの閲覧情報や購買行動履歴など、人とモノとコンテンツのつながりをも整理しようとしています。このデータベースを活用することにより、「ソーシャル・アド」と言われる「推薦人の顔が見えるレコメンド広告」が可能になりました。

スターバックスは支払いに便利なアプリも出していて僕も使っています。キャッシュレス決済にはずいぶん前から取り組んでいて顧客の囲い込みがうまいなと思います。

Twitter、Facebook、Instagram、ブログ、YouTube、ソーシャルメディア時代を生き抜く戦略がロングエンゲージメント。なぜあの人は同じ会社の商品ばかり買うのかと言う疑問に答える書籍。

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