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ルポ 誰が国語力を殺すのか|石井 光太|『ごんぎつね』の読めない小学生、反省文の書けない高校生

『ごんぎつね』が読めない!反省文が書けない!そんな学生たちの言葉を奪ってきた社会の病巣と国語的力再生の現場を描くルポ。

ネットいじめと学力の相関関係

ネットには、日々膨大な数の誹謗中傷が書き連ねられる。LINE、ツイッター、ティックトック、掲示板、ニュースコメント欄……。

次に挙げるのは、公立中学に通う子供たちのLINEグループでのやりとりである。

〈クラスで騒いでいたやつ、だれって言わなくてもみんなわかるよね〉

〈あいつまじないわ〉

〈きも〉

〈きも〉

〈きも〉

〈死ね〉

〈さよーならー〉

おそらく今の中学生ならば、ありふれたやりとりだろう。だが、こうした言葉が、いじめ自殺につながることもある。

インターネットが子供たちの成育に悪い影響を与えているのではないかという議論は、ネットが普及した当初から行われてきた。ネットの差別的思想に触れさせるのは有害だとか、スマホの利用時間が長い子供は学力レベルが低いとか、ブルーライトが人間の脳のメカニズムを狂わせているなど、これまで様々な理由をつけられネットは批判の矢面に立たされてきた。

私は、こうした議論をする際は少し冷静になって考えることが必要だと思う。たしかにネットが人間に与える悪影響を示す知見は複数ある。ただしIT革命によって情報はあまねく人々がアクセスできるものになり、いわば世界規模の「情報の民主化」を二十一世紀にもたらした。ある一面だけ切り取って善悪を議論するのではなく、誰がどうつかうかによってテクノロジーはまったく別の顔を見せるという見地に立って物事を考えるのが妥当だ。

国語力に関していえば、家庭の中で子供たちが基礎的な力をつけて高い意識を持っていれば、ネットリテラシーによって情報の洪水の中から自分にとって必要なものを効率良く抽出し、目的にそってまとめることができるだろう。学校の原稿用紙に意見を書きつづるより、オンライン上で発表した方が反響も大きい。

反対に、家庭格差によって国語力が脆弱な子供たちは、それとは異なる形でネットを利用しようとする。辛く苦しい現実から逃げだすために、毎日何時間もオンラインゲームをしたり、SNSで悪口を書いてストレスを発散したりといったことだ。また、何か一つのことを調べようとしても、世の中の常識や他の情報と関連づけて批判的読解ができないために、しばしばフェイクニュースや陰謀論を鵜吞みにして惑わされるといったことが起こる。

SNSやオンラインゲームが生まれた頃からある子どもたちにとってそこは一つの居場所だったりする。しかし、最近のゲームは商業主義的で重課金した人に有利な作りになっている。子どもたちの中には親のカードで課金したりするのが問題視されたりしている。僕も課金系のゲームにハマっていたことがあるが、一定のラインを超えてしまいそうになり今までの成果を捨ててゲームから降りた。重課金する人の中にはある程度の額をすでにそのゲームに課金してしまったがために、せっかく強くなったのに勿体無いという発想が生まれ、なかなか抜け出せないなんてことも。潮時かと思った時がやめ時です。

ゲーム市場拡大の裏側で

高嶺病院でネット依存治療を取り入れたのは、院長の佐々木順だ。WHOの認定をきっかけに、先行研究などを参考にして先述の回復プログラムを作成し、外来と入院による治療をスタートさせた。

私が佐々木に聞きたかったのは、近年のゲームを取り巻く環境をどう捉えているかということだった。国はアルコールやドラッグやギャンブルに一定の規制をかけているし、啓発活動も行っているものの、ゲームに関してはほぼ野放しと言っていい状態だ。だが、精神的、肉体的に被る被害は、他の依存症と同じか、当事者が子供である点を踏まえるとそれ以上ともいえる。だからこそ、治療現場で指揮を執る医師の率直な見解を聞いてみたかった。

佐々木は、思春期の子供を持つ親でもある。彼は次のように話した。 「私としては、二、三〇年前に比べると、ゲームの負の側面が語られることが少なくなっているように感じています。ほとんどの子供がゲーム機を持ってますし、親の娯楽にもなっているので、別にいいんじゃないかという雰囲気がある。

でも、医者としての立場でいえば、昔より今のゲームのあり方の方が深刻だと思っています。というのも、ゲームそのものが、かつてのゲームと比べて依存症になりやすいものになっているのです。終わりがないのでエンドレスにつづけられるとか、プレイヤーの神経を興奮させるような仕組みが豊富にあるとかです。ゲームをはじめた時は無料でも、課金によってレベルを上げていける仕組みなど、トラブルを引き起こす要因もたくさん仕込まれている。

そうした中で子供たちが自分でも気がつかないうちに脳にダメージを受けたり、いろんな能力を失っていったりしています。だからこそ、家庭や学校でちゃんと現状を話し合って、どうするべきか考えなければならないのに、それをする環境が整っていない。ゲーム依存が増えているのは、そうした社会的要因もあると思います」

世界のゲーム市場が二〇兆円(日本だけで二兆円)にまで膨らんだ現在、ゲーム業界がユーザーを取り込もうとしてくり広げる手法はかつてないほど巧妙化している。

現在、主流となっているゲームは、いつどこでもあらゆる端末で遊べるようになりつつある。かつてはこのソフトはプレイステーションだけでしか遊べないなど、ソフトとゲーム機が一体になっていたが、今は一つのソフトを、Xboxでも、ニンテンドースイッチでも、パソコンでも、スマホでもプレイできるようになっているのだ。それだけ間口が広くなったといえる。

確かに最近のゲームは終わりがない。僕らの時代のゲームはエンディングを見たり、レベルがカンストしたりして終了といった感じだったが、今はそうしたプレイヤーが一定数に達したタイミングで更なるレベルアップが可能になるアップデートが行われ、新しいキャラクターや武器などの装備が出回ることに。それを手に入れなければ倒せないようなボスも出現する。そしてそれらを手にするためのガチャ(笑)課金がものを言う世界にどっぷり浸かるゲーム設計に。

最新の試験データでは日本人学生の読解力は回復傾向にありベスト3に返り咲いたりしているのだが、一時期はランキング外にまで落ち込んだことも。国語力を支える勉強法をきちんと身につけるためにも、子供のNGな行動には目を光らせなければならない。子供の国語力を奪う様々な障害を列挙しその問題点を探る書籍。

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