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ルポ コロナ禍で追いつめられる女性たち~深まる孤立と貧困~|飯島 裕子|コロナ禍の女性たちに何が起こっているのか

コロナ禍で困難が重複するシングルマザー、DV等でステイホームがままならない少女。非正規雇用の待遇に怒りをあらわにする人、孤立感から自殺まで考えてしまう人。コロナの影響を受け始めて数年。その間、世の中の女性たちに何が起こっているのか?取材によりこの国の変わらない実情が浮き彫りに。

感染に怯える介護士たち

介護の現場もまた逼迫していた。

コロナは人と濃厚接触すると 罹患 するため、身体介護など、利用者との濃厚接触を避けられない介護士は感染リスクが高い職種の一つである。特にコロナウイルスは高齢者が発症すると重症化するリスクが高いため、介護士は自分が感染源になってしまうのではないかという恐怖と常に隣り合わせだ。

2020年 10 月、広島県 三次市で一人暮らしをする 82 歳の女性が自宅を訪問した介護ヘルパーからコロナに感染して死亡した。遺族は訪問介護事業所が安全配慮義務を怠ったせいだとして、事業所の運営会社に4400万円の損害賠償を求めた。女性がコロナに感染して亡くなったのは2020年4月初め。介護ヘルパーは3月末に発熱や味覚・嗅覚障害があったというが、コロナ感染に関する情報が十分ではなかったこの時期、やむを得ないところもあっただろう。結局、審理開始前に和解が成立し、遺族側が訴えを取り下げたため、それ以上争われることはなかったのだが、感染の不安に怯えながら働くヘルパーの人たちに大きな衝撃を与えた事件だった。

その後も感染者が増えるたびに老人介護施設ではクラスターが発生。施設等では家族を含む外部からの面会禁止の措置が取られるようになった。食事は個室が基本。レクリエーションなどもなくなり、同じ施設に暮らす高齢者と接する機会はほとんどなくなってしまったという。訪問介護でも、接触を避けるため、たとえばこれまで利用者のキッチンで作っていた温かい食事が玄関先に置かれる弁当に替えられるなど、介護の現場はこの1年で様変わりした。

コロナ以前も介護士の就労環境が劣悪だという話を聞かされていたが、コロナによりその声は一層強いものに。クラスターに怯えながら自分の体調管理していてもコロナの触手は伸びてくる。クラスターが発生しようものなら大変なことに。外部との面会謝絶、食事は個室、高齢者施設の良いところでもある他の入居者と接する機会もなくなる最悪な状態に。コロナ禍で一変した介護の現場からの悲鳴が聞こえてくる。

〝井戸端会議〟の消滅

女性の自死が増えていることについては、ステイホームによるDVの増加、失業や経済的影響、著名人の自殺などに加え、人との接触が極端に減ったことにも影響していると村さんは分析する。自殺防止センターはその名が示すとおり、自殺念慮が高い人が利用するケースが多い。4月以降、そうした緊急度が高い人からの相談が増えている一方、他愛もない話をするためにかけてくる人も増加しているのだという。

「一通りお話をうかがった後、どうしてかけてこられたのか尋ねると『もうずっと誰とも話していないから』と答えるのです。一人暮らしで仕事をしていない人はコロナ禍で誰とも会わず、孤独の中で生きているのだと痛感しました。私自身を振り返っても誰かと雑談する機会が極端に減っていると感じています。友達に会いたくてもそれなりの理由がないと会ってはいけない気がする。どこで会うのか、食事するかお茶だけにするのかなど互いに気をつかってしまって、結局コロナが収束してから……というふうになったりするんですね。雑談でも何でも誰かと話していれば、ストレス発散になるし、互いの不調にも気づきやすい。そんな場が失われたことが女性のメンタルに及ぼしている影響はとても大きいと感じています」

女性の自殺者数が男性に比べて少ない背景には、愚痴を含めて外に発信する女性の〝おしゃべり力〟をあげる専門家も少なくない。コロナ禍においてそうした場が失われていることが女性の自殺率を高めているというのだ。

精神科医の松本俊彦さん(国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部)の外来診察にも5月ごろから若い女性が訪れるケースが増えているという。

「過量服薬やリストカットが増え、死にたいと訴える患者さんが出てきています。若い女性は販売や飲食などのサービス業に就いている割合が高く、コロナの影響で仕事が減るなど、経済的に困窮している人もいます。患者さんの中には厳しい家庭環境で育った人もいて、一日も早く独り立ちしようと家を出ますが、若い女性が安定した収入を得られる仕事はなかなかありません。その結果、コロナによるダメージが大きかった水商売や風俗など、いわゆる夜の街で働いている人も多く、経済的にも精神的にも追い詰められているのです」

松本さんによれば、「死にたい」と感じる理由は男女では大きく異なっている。男性は仕事がうまくいかない、お金がないなど外面的な要因であることが多いのに対し、女性は身近な人との人間関係がうまくいかないなど、内面的な要因であることが多いという。

比較的女性に多い井戸端会議などのおしゃべりタイム。ガス抜きの時間が減った事により悩みを言葉にできなくて苦しんている人が。それが自死につながるほど深刻な状態に陥っている場合もあるという。僕は動画配信アプリの住人なのでその傾向を実感しています。アプリの特性上女性配信者が多い配信アプリ。井戸端会議がなくなったせいかどうかまではわからないが、愚痴を中心にたわいもないおしゃべりをするだけの配信者もちらほら。外向きに発信されるおしゃべり力を実感しています。

コロナ禍で女性たちの環境がどう変わったか?取材をもとに現代の問題点を炙り出します。そこにはおうち時間の増加による分断が鮮明に。

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