ノマドという仕事形態が定着しつつある今、世界のどこにいても仕事ができるという人も増えてきているように感じます。しかし、下層ノマドという稼げない人々が生まれるという事態も。会社から独立したものの仕事がいっこうに入らずランサーズとかの低額案件でとりあえず食いぶちを稼ぐなんて人も多いのでは。そんな時代を生きる人のための書籍。
本社業務こそ<ノマド化>する
仕事がどんどん国を超えて移動してしまう。では、どういう仕事がそのように移動してしまうのだろうか。まずは、仕事を、その性質から二つのタイプに分けて考えよう。 仕事には、世界のどこでやっても同じ仕事と、その国に張りついていないとできない仕事の二つがある。 世界のどこでやっても同じ仕事としていちばんわかりやすいのは、工場での生産業務だろう。タイでつくられた部品と中国でつくられた部品。同じ品質のものができれば、どこでつくろうと同じだ。だから工場は、より賃金の安い海外に行ってしまう。これは誰でも理解できる。問題は、物を組み立てたりするということのほかにも、その手の、世界のどこでやっても同じ仕事というのが存在するということだ。 たとえば、給与の計算という仕事。各種手当や有給や税金といったものを勘案して給与を計算し、給与明細をつくり、従業員に給与を支払う仕事だ。これは、いままでは、日本の本社の中の人事・労務部門でおこなわれていた。しかし、これを、わざわざ東京の本社ビルの中でおこなう必要があるのだろうか? ほかにも、コールセンターはどうだろうか。電話がつながり、日本語がしゃべれる人がいて、適切な対応がとれればいいのだから、電話の先のオペレーターが日本国内にいなくてもよいのではないだろうか。 こうした業務は、人事、経理のほかにもまだある。為替のリスクヘッジといった金融業務、インターネットサーバーなどのデータセンター、ソフトウェアの開発、システムの保守管理、マーケティングですらそうだ。 木島氏は、これらの仕事を、「世界のどこでもできるという意味で、場所を選ばない。これらを、〈ノマド化した業務〉と名づけましょう」という。
本社は何も都市部になくてはいけないということはないが権威の象徴というかいまだに都市部に多い。業務の全般を地方に移転すれば固定費が下がったりするので中小企業にはメリットも多い。特に都市部に本社を置く理由がない場合などは本社のノマド化が功を奏する場合もあるので試してみる価値はあるだろう。
コールセンターという、もう一つの<ノマド化>
いままでは、企業の仕事のうち、マーケティングなどの高度な技能がいる仕事が海外に流出し、それにともなって〈ハイパーノマド〉民が、海外に出ていくという話であった。さらに、経理・給与計算、コールセンター、組立・製造といった仕事も、同じように世界のどこでやってもいい仕事なので、遅かれ早かれ、国を離れて、世界中でもっとも都合のよい場所に移動していく。 マーケティングは高度な技能が必要で、それらの教育を受けた人が集まるような場所に集約されたが、経理・給与計算、コールセンターや組立・製造といった仕事はどうだろうか。 いわずもがな、もっとも〝コストの低い〟場所に向けて集約される。つまり、人件費がもっとも安い場所に向けて、どんどん移動していくということだ。 たとえば、コールセンターの歴史と進化を考えてみよう。これは電話さえつながれば世界のどこにあっても成り立つ仕事だ。 昔は、東京や大阪にコールセンターをつくり、大きなフロアを借りて、正社員がこれをおこなっていた。いまは、そんなことはない。コールセンターには、ごくわずかの正社員(オペレーターを管理するマネージャー)が配置され、実際に電話を受けるのは、派遣社員だ。 そして、ITの進化により、旧来の電話回線はインターネット網の上の音声データに置き換わった。従来はコールセンターは比較的全国に分散して存在していた。長距離電話の料金が非常に高かったので、お客さんが、最寄りのコールセンターに電話がかけられるようになっていたのだ。 しかし、音声がデータとして配信されるようになると、距離別電話料金という概念がなくなった。センターを全国に置いておく必要はなくなり、むしろバラバラに運営することが非効率になってくる。 場所の制約を受けなくなると、センターは移動していき、集約される。一つないしは二つの場所ですべての電話を受けるということが可能になった。そうして、国内のコストの安い場所にコールセンターは移転していった。 場所でいうと、沖縄などがそうだ。沖縄は国内でも賃金水準が低く、しかも若い人が多い。その特徴は、コールセンターを開設するのに最適である。こうして、コールセンター雇用は沖縄などに移った。
コールセンターを海外に置くケースも増えていて犯罪組織も海外に拠点を置くぐらい浸透している業務先の移転。働き方改革の推進にもつながる<ノマド化>はこれからどんどん進んでいくことだろう。奇しくもコロナウィルスによってテレワークの推進に舵を切らなくてはならなくなった企業群に、政府も重い腰を上げざるを得なくなった。ハンコやファックス文化をなくす良い機会ではないかと思ったりもする今日この頃です。
ノマド化というと聞こえはいいがその下では下層ノマドなどの問題が噴出。同じような仕事でも会社に属しているときとは違う報酬に戸惑ったりする人も多いはず。適正な賃金で働けるようになるよう世の中が変わらなければこの問題は終わらないだろう。
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