課題解決のアイデアを短期間でテスト・検証するために使われるフレームワーク、「デザインスプリント」。シリコンバレー生まれのこの手法はデザイン思考を基礎とし進化を続けてきました。アイデアを出し、試作品を作り、ユーザーテストを行い、その結果を元に意思決定することで、最短で最良の答えを導き出す方法とは?
デザインスプリント
デザインスプリントとデザイン思考、この両者の関係についても考えてみます。 「デザイン思考」とは、人々が持つ本当の課題を解決するための考え方(マインドセット) であり、人間中心思考とも呼ばれています。サービスや製品を使う「人」を中心とした、という意味であり、人の体験を考えの中心に据え、体験や生活にある課題に着目し、解決策を探していくという考え方です。
始まりが誰かの日常生活における課題だったとしても、社会や世界中で同じような課題を抱えている人すべての助けとなる可能性も秘めています。そして、より大きな課題、例えば社会の問題や世界の持続可能性といったテーマでも、課題を起点としたアプローチが重視され、デザイン思考は課題解決の共通言語として、世界の多くの企業で用いられています。
デザインスプリントは、デザイン思考の考え方・マインドセットをベースとした課題解決のためのフレームワークです。デザインスプリント自体は方法論ですので、「具体的に何をするか」が参加者に明確に示され、ワークショップの内容はわかりやすく作られています。参加者全員がデザイン思考を知っておく必要はありません。ただ、基礎となるデザイン思考を知っていれば、デザインスプリントの各ステップを効率よく理解し、より成果を上げることができるようになるでしょう。
逆に、デザインスプリントを経験することで、デザイン思考の重要な要素である「人間=ユーザーの理解」「チームの活性化」そして「素早く失敗する」ことについて、ワークショップの中で実際に体験することができます。デザイン思考の総本山であるd.schoolの方針には、「Learn by Doing」という言葉があります。「体験から学ぶ」とでも訳しましょうか、デザインスプリントを実際に行い、経験することで、デザイン思考とは何か、どのように課題を解決するのか、という共通の理解を促進することができるはずです。
課題解決のためのフレームワーク、体験から学ぶというスタイルで実際に行い経験することでデザイン思考に触れる機会を得ることから始めてみよう。
データドリブンな組織づくり
データドリブンな組織、つまり意思決定の判断材料となるデータの捉え方についても、デザインスプリントを通じてアップデートしていきましょう。デザインスプリントを体験することで、組織に起こせる変化があると考えています。
1つの変化は、データの民主化です。データの共有を加速する、とも言えるでしょう。
実際、多くの組織では「データの共有」が軽視されがちなところがあります。例えば、データサイエンティストやマーケティング担当といったチームが収集し、分析した結果はどのように共有され、活用されているでしょうか。
せっかく作ったダッシュボードやユーザーリサーチの結果は、組織内のステークホルダーと共有されていますか? これらのデータは、ビジネスの判断や意思決定にちゃんと用いられているでしょうか?
関係者の元にデータが届いていなかったり、ましてやデータがどこかに放置されてしまうことすらあるのでは、そのデータ本来の役割である、意思決定や顧客体験の向上、収益の増加、そして新しいアイデアやイノベーションの創出には役立てられないでしょう。
デザインスプリントを行う際には、リサーチが非常に重要だと述べました。ここでいうリサーチとは、市場データ、ビジネスデータ、ユーザーデータ、そして技術的な実現可能性といったサービスや課題に関する情報を集めて分析し、置かれている状況の全体像を把握するための素材でした。
特にポイントとなるのは、ワークショップ初日に行われる「専門家に聞こう」セッションでリサーチとその分析結果を共有することです。
デザインスプリントの魅力は課題に対する解決策を考え、短期間で意思決定することですが、重要なポイントとして、データに基づくインサイトから実際のアイデアを生み出し、検証する機会を得ることができるというものがあります。
意思決定者を含めたステークホルダーがリサーチデータの読み方や中身を共有し、そこから課題を解決するアイデアを探すという一連の流れを体験してもらうことで、データの重要性を理解すること、そしてデータ共有の必要性を理解していくための第一歩となるでしょう。
これは、フィードバックを取り入れた「Close Loop(閉ループ)」の構築にもつながります。ワークショップで重視したデータの1つとして、ユーザーテストを通じたフィードバックがありました。
データドリブンな組織を目指すのであれば、何かを判断する際に、フィードバックを判断に組み込んでいく必要があります。フィードバックを勘案しない判断とは、古いタイプのエアコンのようなものです。制御システムの世界では「開ループ」と呼ばれるシステムで、室温が何度であろうとも、設定された温度の空気を送り続けます。エアコンは指示通りの仕事をしてくれているのですが、室温というフィードバックがないために状況に合わせた調整ができず、無駄な電力を消費してしまいます。我々が目指すのは「閉ループ」と呼ばれる、外部のフィードバックを理解し、取り入れた形です。データによる分析に加え、ユーザーのフィードバックを常に確認し、判断材料としていく。よりユーザーの体験に共感し、声を聞き続ける組織を目指しましょう。
デジタルツールでチーム内でデータを共有することが容易になった今、これを使わない手はない。フィードバックも楽々行えて情報の取りこぼしがない。誰かのところで作業が滞るなんてことも回避できるのでおすすめです。
デザイン思考をベースにビジネスシーンを駆け抜ける。情報過多な時代の情報共有から始まるデータドリブンな世界を覗き、それを自分の仕事に落とし込むための教科書。
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