現在の日本における人間関係は個人主義や契約に関する精神が根付いた欧米とは大きな隔たりがある。「ウチ」「ソト」を強く意識する日本的社会構造にはどのような条件が考えられるか?単一社会理論によってその本質を考えます。
「タテ」組織の象徴「親分・子分」
場 の共通性によって構成された集団は、前述のごとく、 枠 によって閉ざされた世界を形成し、成員のエモーショナルな全面的参加により、一体感が醸成されて、集団として強い機能をもつようになるわけであるが、これが小集団であれば、特に個々の成員を結ぶ特定の組織といったものは必要ではないが、集団が大きい場合、あるいは大きくなった場合、個々の構成員をしっかりと結びつける一定の組織が必要であり、また、力学的にも必然的に組織ができるものである。
この組織がまたおもしろいことには、日本のあらゆる社会集団に共通した構造がみられることである。筆者はこれを便宜的に「タテ」の組織と呼ぶ。
理論的に人間関係をその結びつき方の形式によって分けると、「タテ」と「ヨコ」の関係となる。たとえば、前者は「親子」関係であり、後者は「兄弟姉妹」関係である。また、上役・部下の関係に対する同僚関係も同様である。社会組織においては、両者いずれも重要な関係設定要因であるが、社会によって、そのどちらかがより機能をもつもの、また両者とも同等の機能をもつものがある。
前章に述べた、資格の異なるものを包含する社会集団というものを前提とすれば、その構成員を結びつける方法として、理論的にも当然「タテ」の関係となる。すなわち、「タテ」の関係とは、同列におかれないA・Bを結ぶ関係である。これに対して「ヨコ」の関係は、同質のもの、あるいは同列に立つX・Yによって設定される。個々人に共通する一定の資格によって集団が構成される場合は、その同質性ゆえに「ヨコ」の関係が機能をもつ。
この「ヨコ」の関係は、理論的にカースト、階級的なものに発展し、「タテ」の関係は親分・子分関係、官僚組織によって象徴される。
上司などの上下関係と同期みたいな感じで会社に入ると嫌でもついてくる関係性。縦の関係をなくすよう努力を重ねる企業もあるがやはり縦社会はなか抜けきれない。最近ではこの縦社会を嫌う若者が多く会社側も極力縦の色が出ないよう努力するように努める企業が増えている。今は移行期間といったところか?先輩社員が若手に気を遣っていないとハラスメントだと言われる恐怖たるや(笑)今まで以上に扱いづらくなったのではなかろうか。
「タテ」組織に代わるもの──契約
以上述べてきた「タテ」に結ばれるエモーショナルな関係は、理論的にみると、社会組織の基盤となる人と人との関係のあり方の代表的な三つの方法の一つを示すものである。
この他の方法としては、すでにふれたように、この反対の「ヨコ」の関係がある。すなわち、子分をもってくる代わりに、兄弟とか、同類の者をもってくる方法である。この方法は、古くから多くの社会で使われてきたものであり、今でも、インド・東南アジアなどには強く機能している(興味あることは、この方法が非常に機能を発揮しているインドには、親分・子分という関係がほとんど存在していないことである)。これはいわゆる「 縁者びいき」やカーストや階級形成に通ずるものであり、特権がある集団に独占される危険性を十分もっており、親分・子分関係より、決してすぐれているといえないであろう。また、日本人の素質からしてできるものではない。
もう一つの方法は「 契約」関係によることである。ちょうどケネディが「ケネディ政権」を創設したときに、ケネディ自身全然関係のなかったラスク氏や、共和党の(日本流にいえば敵陣営に属すると考えられるような)マクナマラ氏などを、その実力によって抜擢し、政権をつくったように。こうしたやり方は、「コントラクト」精神なしには絶対にできないことで、英米において、政界のあり方が日本のそれと比較にならないほどすぐれているのは、まさに「コントラクト」の可能性にあるのである。 ところが、筆者の分析によると、「コントラクト」精神は日本人にはまったく欠如しているものであり、ほとんど絶望に近いと思われるのである。
欧米は契約社会が根付いていて会社と幾つもの契約を結びそれが権利を守っている。日本ではこうした動きというと遅れていて会社が強い立場のままだ。会社が主体となている場合これが改善しにくい。
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