若手がリーダーに抜擢されたとき「チームリーダーがまずやるべきこと」、部下を持つ人の振る舞い、どうすれば部下がついてくるのかをロッテリアのリニューアルを手がけたコンサルタントが丁寧に解説。
コミュニケーション下手を隠さない
スタッフの立場であれば、人前で話したり、指示を出したりする必要はなく、自分の仕事だけを着実に仕上げればいいのですが、リーダーになると否が応でもコミュニケーションをとらざるを得ません。
章の冒頭でも触れましたが、コミュニケーション能力は、その人の資質にもよります。例えば、小泉純一郎元首相のようにひと言でバシッと決めて世論を盛り上げる人がいる一方、ぼそぼそとわかりにくい話し方の政治家もいる。国民の支持を得るには、小泉さんタイプのほうがいいのに、他の人は、あれだけ頭のいい方でも簡単にまねできないわけです。それだけ、人の心をつかむ話し方はむずかしい。一朝一夕には身につかないと思います。
「僕の話はわかりにくいようだ」「要領よく話せない」と感じたら、それを隠さないほうがいいでしょう。 隠そうとすればするほどスタッフからは不評を買い、本音や人間性が見えなくなってしまう。
むしろ、下手なことを素直に認めて表に出したほうがてっとり早いと思います。
「ごめん、僕の伝え方、わかりにくいでしょう?」「いやあ、もともと口べたなんだよね」「気になるところがあれば、教えてくれる?」などと口に出し、協力を求めましょう。
ただ、それで終わりではいけません。周囲を観察して、話し方や間の取り方などを参考にしてください。身近な先輩や上司、テレビのアナウンサーでもいい。フレーズは短く区切る、大事な部分は繰り返して強調するなど、ポイントを見つけて少しずつ取り入れていきましょう。
話すより書くほうが得意なら、メールを活用する手もあるでしょう。
前述したタクシー会社の社長さんは、運転手さんの携帯アドレスあてに「○○通信」というメルマガを送っていました、自分のメッセージを一人ひとりの社員に届けたいという思いからだそうです。私も見習ってときどき、社員に「ようこ通信」を送っています。メールも使い方次第。単なる伝達にひと工夫して、口では伝えきれない部分を文章でフォローするのも有効な手段だと思います。
お手本にしたい人をよく観察。話すのが苦手ならメールの利用も視野に入れて。
コミュ力不足はリーダーにとっては耐え難い欠陥。もし面と向かって喋るのが苦手ならメールやLINEのようなツールをうまく使っていくのが良いかと思います。意外と喋るのが苦手な人は書くのが得意だったりするので。最近ではSNSやLINEなどで手軽に送れるギフトなんかもあったりするので、ちょっとしたギフトと一緒にメッセージを添えて送るのも良いでしょう。飲みニケーションに変わる手段として使ってみては?
「しかる文化」ではなく「ほめる文化」を
人はだれでもほめられるとうれしいものです。自分が評価された、役に立っている、働きぶりが認められたと実感できると、はりきって仕事に取り組めます。ほめられることであがるモチベーションの効果は、はかりしれないものがあります。
ただ、リーダーが声に出して、「あなたのここはすごい」「あの仕事はよかった」「この部分は人よりすごく能力があるね」と口に出して言わないと、意味がありません。 恥ずかしがらずに、心の中で思っているだけでなく、言い過ぎなくらいに口に出して伝えましょう。
ガソリンスタンドの大手チェーンでは、シバジムがご提案した「気づきプログラム」を実施しています。今日の発見、いいと思ったことなど、スタッフそれぞれが「気づきメモ」として紙に書くのです。
たとえば、スタッフのAさんが同僚の仕事ぶりを見て、「Bさんがトイレの掃除をするときは、ドアノブまで拭いていることに気づいた。すばらしいなと思った」とメモに書く。すると、メモを見た店長は、Aさん・Bさんの2人をほめられるわけです。
メモを書いたAさんには「ドアノブまで拭いているなんて気がつかなかった。教えてくれてありがとう」。丁寧に掃除をしていたBさんには「お店を隅々まできれいにしてくれてありがとう」。
1枚のメモで感謝が自然に出てくるし、ほめられた2人もすごくうれしい。仕事に対する意欲もあがるというわけで、全社的に非常に盛り上がりを見せています。
ほめる文化、ほめる習慣を当たり前のことにすると、日々会社の空気が浄化されて気持ちがいいものです。 通いやすい、毎日行きたくなる仕事場をつくるとモチベーションは確実にあがります。仕事を通して、自分のいいところを発見できれば、何事にも前向きになれる。人の長所を見いだだしてほめるということは、それぐらい大きい力を持っています。
ほめる文化をつくるために「気づきメモ」を導入してみましょう。
褒めるのが苦手な人は一定数いるかと思います。僕もその一人。まず何を褒めていいかわからない時は、その人のちょっとした行動やなんかで褒められる点を探してメモっておくと良いでしょう。それをタイミングよく発する。「気づきメモ」で褒めて普段の感謝の気持ちを伝えよう。ポストイットに一言添えたり先ほど紹介したSNSやLINEを使ったギフトなども効果的かと思います。
「リーダーに抜擢されたけど何すればいい?」に答えてくれる書籍。リーダーの資質は努力でもある程度補えるものです。カリスマ性がない平凡な人でも大丈夫。人事や上司があなたを推してくれたのだから胸を張っていきましょう。
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