家族がいても孤独でもボケても寝たきりでもどうせ最後はみんな死ぬ。なので食生活や財産、医療との付き合い方、死後のことまできちんと考えておこうという趣旨の書籍。死について考えることは人生をより良く生きるため最も大事なことと語る著者による老いの必読の書。
どうせ死ぬんだから。 好きなことをやり尽くそう
当時、「がん放置療法」で知られる近藤誠先生と本をつくるために何回か対談をしていたこともあり、がんが見つかっても、治療は受けないことに決めました。手術や抗がん剤、化学療法を受けたりしたら、体力がひどく落ちて、やりたいことができなくなる。
その頃、抱えていた仕事もたくさんあったし、まだまだ書きたい本もありました。膵臓がんといっても最初の1年くらいはそれほどの症状は出ないだろうから、とりあえず治療は何もしないで、好きな仕事を思いっきりしよう、金を借りるだけ借りてでも撮りたい映画を撮ろう、というふうに思ったわけです。
30 代の頃から、人間はいずれ死ぬのだから生きているうちに楽しんでおかなきゃ損だとは思っていましたが、リアルに自分の死というものに直面して、残りの人生をどう生きようかと真剣に考えました。
そして、延命のためにがんと闘うのではなく、がんは放置して、残された時間を充実させようという選択をした。「どうせ死ぬんだから、自分の好きなことをやり尽くそう」と開き直ることができた のです。
結果的に、いくつか受けた検査で、がんは見つかりませんでした。見つけられなかっただけなのかもしれませんが。ただ、そのとき考えたことは、 62 歳のいまも私の人生観のなかに息づいています。
僕もがんと診断されても治療は受けないという選択肢もありかなと思います。手術で体力が落ちてしまった身内を見ていたのでそれならば動ける体のうちは動きたい。もちろん早期発見なら治る病気ですが、自身の子供もいない僕は自分のことだけ考えれば良いという立場なので。
がんになってもなるべく手術しない
高齢者が恐れる病気の一つは、やはりがんでしょう。1981年以来、日本人の死因のトップはがんであり、罹患率は 70 代から急増しています。
国立がんセンターの統計によると、 60 歳男性では7・8%、女性では 12・4%なのが、 70 歳では男性 21・9%、女性 21・2%に増え、 80 代になると男性 43・6%、女性 32・8%に跳ね上がります。
しかし私は、高齢者には、がんはなるべく手術をしない、化学療法なども受けないことをすすめています。
私が勤めていた浴風会病院の病理解剖で、 85 歳を過ぎてがんのない人はいなかったとお話ししたと思います。死因ががんだった人は、そのうちの3分の1程度なので、残りの人はがんを知らないまま「飼っていた」ということです。高齢になるほどがんの進行は遅いといわれますが、確かにその傾向はあると思われます。
繰り返しますが、そもそもがんというのは、手遅れになるまで自覚症状が出ないことが多いように、実はそんなに痛かったり苦しかったりするものではありません。いよいよというときまでは案外、普通に暮らせるものです。とくに高齢者の場合は、そういう印象があります。
私はこれまで高齢者でがんの手術をした人と、していない人を数百人単位で診ていますが、手術には成功しても、体力が低下しておいしいものも食べられずに痩せ細り、一気に見る影もなくショボくれたお年寄りになってしまうケースはめずらしくありません。
化学療法を受けても相当に体力が落ちて、亡くなるまで不調が続くということもよくあります。
高齢でがんになったら、かなり体力が衰えることを覚悟で手術を受けるか、それとも、がんと共生しながら栄養をつけ免疫力を上げて残りの人生を元気に暮らすか、をよく考えて選択することが重要です。
もう一つ、不安に振り回されるよりはソリューション(問題解決法)についての情報を集めることをおすすめしたい。
日本人はがん検診、健康診断は頻繁に受けるのですが、がんだとわかったら、どこの病院で治療を受けるかを下調べする人はほとんどいない。コロナも同じで、なったら怖い、怖い、怖いという予期不安ばかりがふくらむのです。
がんの手術を受けるにしても、体力を落とさないために、がんだけ切り取ってまわりの臓器は切らない手術をお願いする、という手だてもないわけではありません。しかし、それができる病院は、事前に探しておかないとまず見つからないでしょう。
先手を打っておけば、検診でがんを見つけた病院で、治療をすすめられ、不本意な医療を強制されるリスクは大幅に下がるはずです。何も調べず、ただ不安をふくらませるよりも、きちんと勉強し、解決法を探しておくほうが賢明です。
手術前はそこそこ元気だったのに手術後に体力が落ちてしまいやりたいことができない体になるケースは案外多い。若いうちの早期発見ならば体力回復のためのリハビリにも積極的になるかもしれませんが、年老いてからだとその気力があるかどうか。
後悔せずに逝くための人生マニュアル本。年老いてから老後のことを考えるより若いうちからもしもの時のことを考えておくことは重要。がんになったらどうする?治療法や方針は?元気なうちの色々と考えておきましょう。
※この書籍はKindle Unlimited読み放題書籍です。月額980円で和書12万冊以上、洋書120万冊以上のKindle電子書籍が読み放題になるサービスが初回30日間無料となっております。PCの方はサイドバーのリンクより、スマホの方は下の方へスクロールしていただければリンクが貼ってありますので興味のある方はどうぞ。なお一部の書籍はキャンペーンなどで無料になっていて現在は有料となっている場合もありますのでその場合はあしからず。
【サブスク】 Kindle Unlimited
僕が利用している読書コミュニティサイト
【本が好き】https://www.honzuki.jp/