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すべての日本人のための 日本一やさしくて使える税金の本|久保憂希也|税金の基本的な仕組みについて学ぼう

税金の基本的な仕組みを学び、政治家や専門家に任せっきりにせず、納税者としての権利と義務を知ること。日本一わかりやすい税金の入門書が爆誕!

日本の税金は安い? 高い?

それでは、現代の日本における税金がどうなっているのか見てみましょう。

日本は国の税金に関して「申告納税制度」 を採用しています。申告納税制度とは、納税者が自ら税務署などに申告をして税額を確定させ、その確定した税額を納付する制度のこと。一方、「 賦課 課税制度」とは行政が税額を確定させて課税する制度です。

かつての日本は賦課課税制度を採用していましたが、戦後に「経済の民主化」の一環として申告納税制度が採られました。申告納税制度は、納税者が正しく税制を理解して、それにそって申告・納税するという民主的な制度なのです。納税者の申告がなかったり、申告が間違っていたりすれば、税務署長が正すことになっています。

つまり、 国民の代表である国会が税制を決め(承認し)、その税制にそって申告・納付する。間違いは国(国税庁)が正す、 ということになっているのです。

申告納税制度が成立するには、税金に対する知識が必要ですね。私の実感では、経営者は法人税に詳しいです。資産の多い人は相続税に詳しい。よくそんな細かいところまで、と思うくらい、知っている方は知っています。それは、ダイレクトに自分の会社や資産に関わるからでしょう。

一方、サラリーマンで所得税に詳しい人はあまりいません。クマダさんが言っていたように、日本は「源泉徴収制度」+「年末調整」によって、自分で申告する必要がない場合がほとんどです。

源泉徴収制度は、戦時中の昭和15年、当時のドイツにならい取り入れられました。戦費調達が重要なときに簡単に徴税できる方法として導入され、それが戦後もずっと続いています。国からすると「税金を取りっぱぐれない、いい制度」なのでしょう。

アメリカ、ドイツ、イギリスなど海外の主要国にも源泉徴収制度はあります。しかし、日本に特徴的なのは、年末調整です。サラリーマンが自ら申告のために税務署に行く必要がないのです。他の国の多くの場合、個人が確定申告をします。申告書の作成に多少時間がかかっても申告するのは、還付されることがほとんどだからです。

所得税について、さらに詳しくは第2章でお話しします。ここでは、日本の特徴だけ覚えておいてください。

さて、安西さんは「日本の税金は安い」と言っていました。税金には種類があり、それぞれの中で税率も細かく分かれていたりしますから、ひとことで言えないのですが、「租税負担率」の国際比較を見ると「安い」と言うことができそうです。

租税負担率とは、国税と地方税を合わせた税額が国民所得に占める割合。国民負担率とは、租税負担に健康保険料などの社会保障費を加えた額が国民所得に占める割合です。

サラリーマンをやっていると特に税制について勉強しなくても問題なくて、親が死んだ時にやっと相続関連で税制を知るなんてことがほとんどかと思います。申告納税精度は民主的ですが、それを逆手にとって様々な手段で節税するなんて個人事業主も多い。脱税もその一つです。いつも疑問に思うのだが確信犯的脱税も申告し直しできちんと納付すれば逃げられてしまうので、逃げ得になっている人が数多いることが問題。不公平なこの現象どうにかならないものか。

相続トラブルはなぜ起こる?

安西さんはひと呼吸おいて、あらためてミキに聞きました。

「さて、ミキさんの場合ですが、ミキさんが相続税を払えなくても、お母さんは一緒に住んでいるのだし、お母さんが相続した預貯金があるのなら払えるのでは?」

「はい。私のコミュニケーション不足が問題なんです。ふだんあまり家にいない不良娘なものですから……。仕事以外のことは無頓着だし、常識もなくて」

「でも、仲が悪いわけではないのでしょう? 相続税は、相続人どうしの仲が悪いと、本当に大変なんです」

「相続の額でもめるんですよね。よくサスペンスドラマとかで見ますけど」

「それだけではないですよ。自分が受け取った額に税率をかけるのではなく、総額に税率をかけるということは、あとからいろいろ問題になることがあります。たとえば、誰かが遺産の一部を隠していて、それが発覚したときには、相続税の額が変わってしまうでしょう? 隠していた本人も他の相続人も、納めるべき税金が増えます。自分が受け取った額は変わらなくても、税金だけ増えちゃうわけです。さらに、当初の申告が過小申告だったとして、加算税まで課せられてしまいます」

「遺産額が大きかったりすると、そういうことも起こるのでしょうねぇ」

「遺産総額がわからないと、自分が受け取った額だけでは税金の計算ができないというのも問題です。遺産総額を教えてもらえなくても、なんとか調べて申告しなくてはならないんです。しかも、連帯納付義務があるので、相続人のうち誰かが相続税を納めずに逃げてしまったら、連帯責任で他の相続人が納めなくてはならない」

「仲の悪い親族が、納税せずに逃げたりしたら最悪ですね。幸い、うちはコミュニケーション不足なだけで、そこまで仲が悪いわけではありません。もう少しちゃんと相談してみようと思います」

ミキのグラスはもう空になっていました。

「どうされますか?」

ミキは首を横にふりました。安西さんはそっと水を出します。

「今度の休みの日は、母親に彼氏を紹介しようかしら。ビックリされるだろうな……」

「年下の彼氏ですね」

安西さんはにっこりと笑いました。

連帯納付義務が怖い。「相続人のうち誰かが相続税を納めずに逃げてしまったら、連帯責任で他の相続人が納めなくてはならない」親族にお金にルーズな人がいると大変なことになりかねない。意外と知らない人が多いこの制度、相続の際はご注意を!

税金のあれこれ、サラリーマンだと意外と知らない税制について優しく学べる1冊です。消費税から相続税まで知らないでは済まされない国民の義務をしっかりおさらいしておこう。

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