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からだの中の外界 腸のふしぎ|上野川修一|最大の免疫器官にして第二のゲノム格納庫

進化の極み、驚きの臓器、年間1トンもの食料を消化、吸収、病原菌にも日々晒されれている内なる外。最強の免疫機関であり独自の遺伝子を持つ「腸内細菌」との共進化の場。第二の脳とも呼ばれる一億個にも及ぶニューロンを擁す腸の能力を深掘りします。

なぜ最初につくられるのか?──腸と発生

ハンス・シュペーマン(1869~1941年)は、高校の生物の教科書に必ず登場する「発生生物学」の巨人である。イモリの胚の分化を誘導する因子(オルガナイザー)を発見した功績により、1935年にノーベル生理学・医学賞を受賞している。一つの受精卵が分割をつづけ、「発生」──つまり生物の形ができてくる過程──というプロセスをたどる生命のふしぎを明らかにしたパイオニアである。

生命の誕生後、どのようにしてからだが形づくられるのか見てみよう。

受精後、卵はその大きさと形を変えずに分割をつづけ、多細胞化していく。 16 分割されたときの形は、まるで縫い目の見えるサッカーボールのようである。このサッカーボールの表面に、さらに細かい縫い目が入ると同時に、内部に空洞ができていく。

その後、「 原口」と呼ばれるへこみができ、これが球の口に陥入すると「原腸」ができる。この原腸が、腸の原型である(図1‐1)。脊椎動物ではこの原口は「肛門」になり、さらにもう一つ反対側に穴があいて、こちらが「口」になる。

こうして、からだの中に〝管〟ができ上がる。

「プロローグ」で、腸はからだの中にはあるが実は外界と接していることを紹介した。外界から取り込んだ食をからだの内部のすみずみまで能率的に届けるため、からだの内部に深く入り込む構造になっているのだ。このようなからだの〝内なる外〟の構造をつくり上げるためには、発生の最初期の段階で原型をつくり出しておく必要がある。

生命の維持に不可欠なのは食であり、それを効率よく吸収するには腸が必要である。そのためにも、腸を最優先してつくる必要があると考えられている。

腸ができた後に、脳や神経、皮膚、そして筋肉や心臓がつくられる。神経をはじめとする他の器官ができ上がっていくようすは、まるでまん丸のガラスの球に複雑に手を加えながら、さまざまな生物の形をつくり上げる、巨匠による前衛芸術を思い起こさせる。

生命の根源を辿ると一番最初に腸が形成されるという衝撃。腸は脳よりも賢いという人もいてその特徴には驚くばかり。

推定の 10 倍以上の種類がいた腸内細菌

かつて、私たちの体内で暮らす腸内細菌は、100種程度といわれていた。ところが近年、腸内細菌の種類について、細菌の全DNAを抽出して構造を調べる「メタゲノム解析」による新しい報告が相次いでいる。

従来の細菌学では、細菌を分離し、その性質を詳しく調べる方法がとられていたが、メタゲノム解析では直接、DNAを抽出するため、両者の情報を統合することで、これまで以上により正確で豊富な情報を得ることができるようになってきた。

このメタゲノム解析の結果、腸内細菌の種類は1000種以上に及ぶと推定されるようになっている。これまで培養による分離ができなかった細菌たちが、既知のもののおよそ 10 倍の種類のものが腸内にすんでいるといわれるようになった。ただし、種類は増えたものの、100兆個という腸内細菌の総数には変化はないものと考えられている。レーウェンフックやティシェが聞いたら、びっくりするような時代が到来したのだ。

地球上に生息する全細菌の種類は6800種といわれているが、未確認のものも多く、実際にはこの 10 ~100倍は存在するものと推定されている。1000種と聞くと非常に多いと考えてしまうが、地球上の細菌から見れば一部にすぎないのも事実だ。無酸素状態で、かつ大腸内に存在する栄養分のみで生きてゆくことが可能な細菌のみが選ばれた結果であろう。

また、1000種の細菌が均等に共存しているわけではなく、大腸内ではビフィドバクテリウムやバクテロイデスが主要勢力を形成している。これらの菌を含めて、上位 30 ~ 40 種の細菌で、 90%以上の数を占めている。

最近では腸内環境を整えるために腸内に菌を育てるための飲料や食べ物が出回っているので定期的に摂取している人も多いかと思います。普通に便通が良くなったり腸内環境が整うと目に見えてわかる効果も多い。

体の中の外界、腸について語られた書籍。その働きは多様で腸の不思議は多い。そんな腸について深掘りする書籍。

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