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お客様相談室の教科書|齊木茂人|相談室の魅力を打ち出し、役割全般を記した本

お客様相談室、カスタマーサービスの価値向上は、顧客や社会からの信頼を高め企業価値の向上につながります。どのような取り組みが価値向上につながるのかを伝えます。

お客様対応3つの方針「迅速」「正確」「丁寧」   KPIを設定する

お客様対応は、「迅速」「正確」「丁寧」の3つを対応方針とし、心構えだけで終わらせるのではなく、仕組みをつくることが大事です。

まず、1つ目の「迅速」な対応は、入電時に待たせない「つながりやすさ」の追求です。これを応答率と呼びますが、入電いただいた件数のうち、つながった件数の比率を指します。応答率は、 60%ほどの企業もありますが、 90%以上をKPI*3 として目指します。また、電話に出るまでの応答時間を数値目標として掲げることにより、お待たせしない意識が高まります。現状を把握した上で、平均応答時間の目標値を設定します。NTTやKDDIなど各社は、入電件数や応答件数などのサポート機能を持っています。時間単位、日別単位、月単位で取ることが可能です。

1回目の電話で問題が解決できた割合を1次解決率と呼びます。お客様に折り返しの電話をする場合や、他のメンバーに代わる場合は、迅速な対応とは言えません。1次解決率を高めるためには、電話応対メンバーの商品・サービスなどの知識を高めることが必要です。1次解決率のKPIとしては、 90%以上を目指します。

迅速な対応をするには、保留の時間を短くすることも大事です。保留時間のKPIは、企業ごとに設定しますが、無言で1分は、とても長く感じます。できれば 45 秒以内を目安にしたいです。 45 秒以内の返答が難しい場合は、中間の報告をいれます。「お時間がかかり申し訳ございません。只今、お調べしておりますが、もうしばらくお待ちいただけますでしょうか」または「お時間がかかり申し訳ございません。改めてお電話をいたします」とお伝えして了承を得ます。保留時、お客様はじっと待っているだけで時間を長く感じます。一方、応対メンバーは、FAQやホームページ、ネットを調べたり、周りのメンバーに確認したりと大忙しです。時間がお客様より早く過ぎて行きます。45秒や1分はあっという間に感じます。マネジャーや室長の役割は、応対メンバーがお客様と応対中であっても、保留時間のわかる仕組みをつくることです。現状を把握した上でKPIを設定し、毎日の結果を記録し分析することで課題点が見えてきます。

確かにカスタマーサービスに電話をかけて初めに対応にあたった人が詳しくてすぐに問題を解決できると好感が持てる。そして保留に時間も短い方がなお良い。それには熟達したメンバーが必要であり、よくある質問の共有が第一。日々のそうした個々の努力が対応時間の短縮につながる。

SNSに掲載すると言われた場合

画像や動画がSNSに掲載された場合は、担当窓口の人や担当部署任せとしないことです。お客様相談室に情報を集め、組織としての対応を行います。

訪問時に、お客様が動画を撮ってSNSに掲載すると言われた場合の対応については、毅然とした態度を取った上で、次のように伝えます。

「SNSへの掲載については、お客様の判断にお任せします」さらに「掲載内容が企業価値を損なう内容の場合は、顧問弁護士も交えて検討させていただき、しかるべき措置を取らせていただきます」との伝え方をします。仮に撮影が始まったとしても、きちんと訪問の目的を果たすことを心がけます。組織として対応していることに自信を持ち、ストレスのかかる場面ではありますが、毅然とした態度で接することが大事です。ただし、訪問した担当者の立場や経験年数、状況によっては、その場で訪問を中止することもあります。

その際は「お客様が動画を撮ってSNSに掲載するとおっしゃったので、とても緊張して冷静にお話ができません。失礼いたします」とだけお伝えします。

以下は、お客様対応全般の中でSNS対応を示したものです。難クレームとならないためにも、SNS掲載を想定した上での対応方針や日頃の準備を行います。

訪問時に動画を撮ってSNSに掲載するなんて客がいるなんて今時ですね。そうしたクレーマーには「掲載内容が企業価値を損なう内容の場合は、顧問弁護士も交えて検討させていただき、しかるべき措置を取らせていただきます」ときちんと説明していないと向こうの思う壺。悪意あるクレーマーには毅然とした態度を。

お客様相談室の対応をレベルアップさせるのに良い方法をまとめてくれた書籍。大企業ではすでにきちんとしたマニュアルがあるところが多いが、規模の小さい会社でもクレーム対応は日々の業務。そうした会社にレベルの高い顧客対応を実現するためのポイントを解説。

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