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『THE VISION あの企業が世界で急成長を遂げる理由』江上隆夫

創業わずか20数年で1兆ドル企業へ。Amazonは、なぜ究極の成長力を手に入れられたのか!?激変の時代に成功する組織をつくるたった一つの方法がここに。ビジョンの理論、事例から創り方まで集約した決定版!未来を担うすべての人にビジョンのパワーをトップコンサルタントがその全てを詳細に解説。

予測不可能な未来を生きるために

未来は個別の事象においては予測不可能ですが、大きな潮流に関しては大体のところ予測可能なものでもあるのです。

人間の頭脳は不確定な要素を予測し、様々な事象に対処するよう知恵をしぼるようにできている。進化の過程で我々の祖先から受け継いだ能力である。この知恵によって我々は、人間よりも俊敏な捕食者たちから食料にされるという難を逃れ、不安定な天候でも農作物が取れるよう農業を発展させてきた。予測し対処する能力は我々の中にデフォルトでインストールされた能力である。

坂の上の雲を見ず、坂の下に幸せを見る

劇作家・平田オリザ氏に『下り坂をそろそろと下る』(講談社)という本があります。日本という国は、このタイトルに象徴されるように、下り坂を下っていかなければならない時期に差しかかっています。というよりも、もはや下っていること、つまり国力としては衰退に向かっていることを私たちがどう認識また共有し、どう「その坂をゆったりと、かつ明るく元気に下って行けるのか」という方策を考えなければならない、その真っ只中にいます。

日本のGDPは2030年には世界4位(3位はインド)で、2050年には世界8位とどんどんランクが落ちていくというのが米シティグループの予測となっています。2010年に日本を少し上回る程度だった中国のGDPは2050年には日本の12.5倍にまで膨れ上がるそうです。一人当たりの購買力平価なども調査によってばらつきはあるものの、現時点でも世界20位以下でお隣韓国と同水準。多くの人は日本はまだ大丈夫と高を括っているが、こうしたデータを紐解いて見ると日本の国力は衰退の一途をたどることになりそうだ。ゼロからマイナス成長でも一人一人が幸せに暮らせる次世代のためのビジョンを作ることが急務とも言える。

ビジョンを失うとすべての衰退がはじまる

では、なぜ、全盛を極めたソニーが長らく不振にあえいだのか。日本企業全てに言えることかもしれませんが、インターネット時代への対応が遅れたということが一つです。つまり、ハード時代からソフト時代への転換です。それはソフトがすべてを制していく時代に、ハードの役割や位置づけは何か、という問いを突き詰めるということでもあります。また、それはインターネット以前と以後で、自己認識を改め、自己変革を意識的に行わなければならないということでもあります。

AppleのiPod、爆発的に売れたこの商品もソニーが簡単に作れるような商品でした。なのに後追いとなってしまった。傘下に音楽会社を持っていたソニーなら、iTunesを含めた音楽市場の生態系を牛耳ることだってできたはず。なのにソニーにはその発想がなかった。隆盛を誇った企業でもちょっと道を誤ると衰退の道へ突き進むことに。Appleだって、iPhoneXsをはじめとする新機種が中国による不買運動などによって伸び悩んでいる。前回のiPhoneXから値段が高いわりに新機能が魅力的でないという理由で見送っていた人もいるだろう。今後は5G対応の機種が出るまで僕も買い控えする予定。何を思ったのかAppleはプレス向けにこの秋に新型iPhoneを3機種を発売予定などというわけのわからない発表をした。秋に新型が発表されるのはファンの間ではすでに通例なのであえてそんな報道流さなくてもいいのにと思った。Appleもなりふり構っていられなくなったのだろう。

ビジョンを持った企業だけが生き残る

GAFAをご存知でしょうか。Google、Apple、Facebook(フェイスブック)、Amazonの頭文字を取った呼び方です。この4社に動画配信サービスのNetflix(ネットフリックス)を加えたFAANGという呼び方もあるようです。ここにMicrosoft(マイクロソフト)を加えれば、いま世界を席巻しているアメリカのIT系企業が揃うことになります。Apple、そして Amazonは、企業として時価総額が史上初めて1兆ドル、日本円で110兆円を超えました。

これらの企業に共通するのは強烈な自負を抱えたトップが経営に携わっていること。今までにないビジョンを携えて世の中に登場し成長を続けているのです。僕はこの中でもAppleとGoogle、 Amazonへの依存度が高くないとこれらの企業が生み出す商品やサービスなしではもう暮らせません。MacBookProとiPhone、iPad、そしてGoogleの検索とアドセンス、 Amazonでの買い物は僕の買い物の7〜8割を支えています。

お金に換算できないものそれがビジョン。世界を舞台に破竹の勢いで成長する企業は、不振や衰退の一途をたどる日本企業とどこが違うのか。それをビジョンという観点から色々と分析する書籍。これからリーダーになる人、初めて部下を持った人など人の上に立つ人には読んでほしい本となっております。

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