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『insight』ターシャ・ユーリック

成功と失敗を左右する、最も重要なのに最も見逃されている要素、「自分を知る力」
仕事での成果や良好な人間関係、そのカギは「自己認識」にある。しかし、多くの人は思い込みにとらわれ、自分の可能性を狭めてしまっている。ビジネス界でも活躍する組織心理学者が膨大な先行研究と自身の研究・実践から、自己認識の構造を理論的に解明し、思い込みを乗り越え、より深く自分を知るための方法を伝える。

自己認識の解剖学

自己認識について研究者たちも驚くほど似た道のりをたどってきた。考古学者たちに発見される何百年も前からマヤの遺跡が存在していたのと同じように、自己意識というテーマの存在も紀元前六〇〇年ほどにまで遡ることができるが、研究の対象となったのは、ここ四〇年ほどにすぎない。何千年にもわたって、自己認識は哲学や宗教といった領域に限定されたものだった。ローマ時代の哲学者プロティノスは、真の自分を知ることによって幸福が達成されると考えていた。そしてよく知られているように、ギリシャ七賢人はデルフォイのアポロン神殿の入口に「汝自身を知れ」という言葉を刻んだと言われている。のちにプラトンがソクラテスの教えを説く際に取り上げ、さらに広まった言葉だ。

多くの人は「自己認識」を仏教関連と考えるが、ほぼ全ての宗教で昔から自己認識の重要性は説かれている。そんな自己認識を自分ごとと捉え「自分を知る力」を醸成するために必要なことはなんなんだろうという疑問に対する答えをみていこう。

自分とフィットする場所、自分が幸せで存分に力を発揮できる環境を見つけられれば人は以前より少ない労力で多くのことを達成できるようになる。そして良い時間を過ごしたという充足感で1日を終えることができる。それらを実現するには、具体的に、自分は旅行をしている時が幸せだとか、ランチタイムにちょっとゴージャスな食事をとることに幸せを感じるとかシンプルなことと共に、どんなパートナーとならとかどんな職場環境ならとかなど、より幸せに暮らす手助けになる深いインサイトを得る必要がある。

内から外、外から内へ 外的自己認識の重要性

自己認識をめぐる大きな間違いのひとつは、「ひたすら自分の内側を見つめればいい」というものだーーつまり、内から湧き出るインサイトだ。しかし自分自身の観察のみに頼っていると、誰より熱心に自己認識へ至ろうとするものでさえ、パズルの重要なピースを見落とす危険性がある。

仕事仲間に冗談を言った後、相手は心の底から楽しんでいるだろうか?それとも呆れ顔?パーティーで出会ったばかりの人に身の上話をした時の相手の反応は?相手は興味を持っているだろうか?それともさっさとその場をさりたいと思っているかも。真の意味で自分を知るためには、自分を理解することも大事だが、周りがあなたをどうみているかという視点が重要に。自分の内側ばかり見ていては不完全だ。唯一信頼の置ける価値基準の情報源は、他人にあるのだ。自分がどう見られているかについてのインサイトが完全にかけている人をよく見かける。自分は事細かく行き届いた指示を出すマネージャーだと思っていても、実際には部下たちからは、「あいつイラつく!」と思われているかも。一度自分の内から離れて、外から俯瞰して見ることも大事だろう。

目標を立てればなんでもいいって訳ではない

内的自己認識の向上においては、目標を立てればいいというわけではない。キャロル・ドゥエックとディーナーが指摘した「うまく学ぶ」子供たちと同じように、目標を、自分がどう学び成長するかという観点から表現したとき、まったく新しいレベルのインサイトと達成への道が開ける。ある研究では、大学生たちに人生の大きな目標と、それを達成するための方法について二段階の文章を書いてもらった。興味深いことに、学びや成長という観点を絡めて目標を書いた学生たちは、およそ四年後に自己認識や、成熟度や、幸福度が向上していた。

問題をどう成長につなげられるかと考えられるようになれば、たちまち主体的になり、望むものを手に入れやすくなるということだ。真のインサイトを得るためには、真実を聞く方法を学ぶ必要がある。ただ単に他人の意見に耳を傾けるだけでなく、本当の意味で「聞く」必要がある。ありとあらゆるフィードバックにリアクションしていくことでそれは得られる。自分に都合の良いフィードバックにのみ反応するようでは成長はない。

フィードバックを得る際の基本ルール

  1. 抵抗したり、防衛的にならない。好奇心を持ち、聞いた意見は現実なのだと心に留める。
  2. メモを取り、不明な点のみ質問する。
  3. オープンな心で、善意のものだと受け止める。
  4. メンバーに感謝する。フィードバックをするのは簡単なことじゃない!

フィードバックをする際の基本ルール

  1. 一般的なものは避ける(「あなたはいつも」や「あなたは決して」など)。
  2. 人ではなく行動に焦点をあてる。
  3. 相手の行動に対する自分の解釈を語らないーー行動だけについて語る。
  4. 具体例を出す。

以上のことを踏まえて、フィードバックをもらったり、与えたりしてみよう。

自分を知るというテーマはこれまであまり陽の目を見ることがなかった。それよりも、結果や成果、勝利や戦略、スキルやナレッジといったわかりやすいテーマの取り扱いの方が多い中、とことん自分の内側にこだわった書籍。単なる一過性のスキルやノウハウ本ではないため生涯にわたってあなたのバイブルになるはず!

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