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『間違いだらけの少年サッカー 残念な指導者と親が未来を潰す』

怒鳴り過ぎ、教え過ぎ、練習させ過ぎ――日本はアジアで、世界で、なぜ勝てなくなったのか? 日本の育成レベルは本当に高いのか? 気鋭のノンフィクションライターが少年サッカーの現場をつぶさに歩き、問題点をえぐる。

国民的スポーツにまで登りつめたサッカー

プロリーグがスタートして24年目を迎え、サッカーは国民的スポーツとなった。街で見かける少年の多くは、サッカーに 因んだウエアやシューズに身を包んでいる。日本代表に関するニュースが、あらゆる媒体で報じられている。一見、順調に歩を進めて来たように見えるが、日本サッカーの現状にはイエローランプが点っている。U 18、U 16、U 14 と若い世代もアジアで勝てなくなっている。それでも現在の小学生にとってワールドカップとは「母国が出場できて当然」であり、「近い将来、本気で優勝を狙う大会」だ。彼らは、かつてA代表が何度挑んでもワールドカップアジア予選を突破できなかったことを知らない。

各国のサッカー指導がレベルアップしているのに対し、日本はどうか?いまだに子供を潰すような指導法が行われている。これは日本サッカーの危機になるのではないかということで、名プレイヤーが育たない日本の問題点を探る。

サッカースクール

『○○の練習をやる』って言うと、向こうの子って必ず『どうしてそういう練習やるの?』って質問します。日本の子は、直ぐに並んで言われたことをやるじゃないですか。それが当たり前ですよね。ヨーロッパの子は『その練習は、本当に自分のためになるのか?』みたいに疑問をぶつけて来ます。だから、コーチも中途半端なメニューは考えられない。コミュニケーション能力や主体性の部分で、子供たちの差を感じました。僕が育った環境や、指導者になって付き合って来た子とはまったく違います。もちろん、指導者の質もあると思います。地域にサッカーが根付いていてトップリーグの試合を見られるとか、家庭での会話でも、親御さんがしっかりサッカーを知っているとか。文化ありきのなかで子供たちが育っているので、子供の目も厳しいというか、サッカーを知っているんです。日本の子たちよりも成熟している印象を受けました」

自分に必要なのはどんなトレーニングか?子供たちは自分の選手としてのキャリアを真剣に考え、最良と思われる練習をしようと頭をひねります。考えることは日本の子供たちには不足しているところ。右から左へコーチから教えられたメニューをこなすだけ。たまたま自分を指導してくれるコーチが有能であればいいが小学生とかだと、サッカー好きな父兄などがコーチをやっていることが多くそこには無駄も多いのだ。最近ではネットとかでも筋力トレーニングや体幹を鍛える方法が無数にあるのでそういうのを取り入れて正しいトレーニングを自分なりにおこなうことも必要なのではと思った。

アルゼンチン出身の指導者が見た日本

アジアは枠に恵まれていますし、30年前に比べると日本は良くなりました。力を入れて強化したからですね。でも、アジアというレベルの低い地域で勝てるようになっただけだと、認識しなきゃいけない。今後ベトナムとかシンガポール、香港なんかが力を入れると、どんどんアジア予選は難しくなってしまう。日本人は全然闘えていないから、抜かれてしまいますよ。ドログバ一人が入ったらビビっちゃうんだから、あれじゃ勝てない。もっと強いチームとやったら、どうなっちゃうのかな、と。コロンビアが最初から1軍を出していたら、酷いスコアになっていましたよ。ブラジルの気候、時差ぼけ、アウェイの大観衆、プレッシャー、全部含めて考えなきゃいけなかった。香川や清武は、あの細い体で闘えますか?ネイマールも細いし小さい。けれど速いし、闘える。倒れなくなったでしょう。オーバーヘッドでも何でも、いつもゴールを狙ってるし、怪我を恐れずに飛び込んでいくじゃないですか」エスクデロは首を振りながら言葉を続けた。「日本代表選手は、一体、何本のCMに出ていますか?CM制作って時間がかかりますよね。その時間があれば練習しなさい。フリーキックの練習、フィジカルトレーニングをしていれば、もっといいコンディションでブラジルに行けていたんじゃないかと思います。バランスをとるための体幹トレーニングを他の国はやっていますか?新しい練習かもしれないけれど、ボールを使って、コーナーキックとか1対1とか2対2とか3対2とかDFのまわし方とかやるべきでした。エアロビクスじゃないんです。グラウンドがあるんだから、シャトルランとか。〈闘い〉をやるための練習をしなきゃ。日本人の怪我がないっていうのは、試合に出ていないからなんですよ。

とにかく試合を大事にする指導法が印象的だった。CM撮影している暇があったら練習しろというのは手痛い言葉。

日本のこれからを背負う子供たち。サッカーを愛す気持ちは他の国も子供たちと変わらないと思うので、そこに向かう意識を変えていく必要があると感じた。大人たちは子供たちをより高みに持っていくためにきちんとした指導を行うべき。自分の子をスタメンにするために、実力のある子を控えに回すなどということがないように。

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