企業・職場には問題が山積みされている。全ての問題を解決していくわけにはいかない。真の問題を見つけ、それに集中するための技術を解説。ロングセラー『仮説思考』の姉妹版。最も重大な過ちは間違った問い、不要な問いに答えること。成果を出すには、「正しい答え」ではなく、「正しい問い」が重要だ。正しい論点で問題解決力が劇的に向上する。
ケーキを半分に分けるには?
【問題】AさんとBさんの前にケーキが一つある。二人が納得するようにケーキを二つに分けたい。さて、どのように分けたらよいだろうか。
このクイズは正確に二等分することは問題ではないのである。大切なのは「二人が納得するように」という部分だ。厳密に二等分されていなくてもいい。どうしたら納得できるか、が問題なのだ。いかがだろう。あなたは正しく問題をとらえることができただろうか。ゆえに正解は、Aさんができるだけ半分になるように切り分け、Bさんに好きな方を選ばせる、というものだ。Aさんは自分で二等分するから、どちらを選んでも納得できる。Bさんは自分が得だと思う方を選べるから当然納得できる。「どうしたら正確に二等分できるか」を問題と考えると解決するのは大変だが、「どうしたら納得できるか」を問題と考えると解決策を実行するのはとても簡単だ。
もしAさんが意図的に大きいケーキと小さなケーキに分けて二等分したらどうだろうか?これはギャンブルである。もしかしたら相手が、大きい方を取るのをためらって(申し訳ないという気持ちがはらたらき)小さい方を取ってくれるかもしれない。この時Bさんには不満が残る問題解決には至らない。二人で話し合ってナイフを入れる角度を決めるなんていうのでも問題解決できそうだが、これもうまくいかなかった場合どちらかに不満が残る。この正解だともしAさんがミスって大きさの違う二つのケーキになってしまったら、不満は残るものの、自分が切ったのだから仕方がないと納得できるというもの。僕なら最初からこのような問題が起こらないよう事前に二人分の同じ種類のケーキを用意する。問題解決よりも問題が起こらぬよう配慮するのだ。
経営不振に陥ったレストラン
あなたの街にある経営不振に陥ったレストランをイメージしてほしい。そのレストランの問題はなにかと尋ねると、多くの場合、以下のような答えが返ってくる。
- 味がまずい
- 客が入っていない
- 行くのに不便
- 駐車場がない
- インテリア(内装)のセンスが悪い
- エクステリア(外装)がお粗末
- 価格が高い
- 従業員のサービスが悪い
- 店主の態度が悪い
これらは一見問題のように見えるが、これも単なる現象や観察事実であって論点ではない。なぜなら店主の態度が悪かったり、エクステリアがお粗末でも、味やサービスのレベルが高いために流行っている店は多い。もちろん、価格は高くても流行っている三ツ星レストランもある。
ようは、目に見える問題点だけを捉えてレストランの問題を解決することはできない。その奥に潜む真の問題、論点に気づくことが大事なのだ。「価格の割にまずいのでリピート客が来ない」そういった店では価格を見直すかサービスや味の向上が必要だろう。「車で行かないと不便な場所なのに駐車場がない」といった店なら、駐車場の確保が必要だろう。「味は良いのに外観がみすぼらしいので客が入らない」店なら新規顧客が入りやすいよう外壁を塗装し直すなどのリフォームが必要かもしれない。その店特有の論点に気づくことが必要だ。
二つ上のポジションに就いているつもりで仕事する
私は自分が教えているビジネススクールの学生たちに、つねに実際の自分よりも二つ上のポジションに就いているつもりで仕事をするようにといっている。一つ上ではない。平社員なら係長ではなく課長、課長なら部長ではなく本部長、平の取締役であれば常務ではなく社長の立場でものを考える。一つだけ上のポジションから見ようとすると自分自身のことを関連づけて物事を見てしまう、あるいはどうしても自分の利害が絡む。二つ上から見ようとすると、自分の立場を離れて考えることができる。二つ上の立場でものを考えることによって、自分の今抱えている課題すなわち論点がより明確に浮かび上がってくるものだ。
平社員なら自分がどんな課長になりたいか、どのようなリーダーシップを発揮すれば良いかを考える。もし自分が中堅なら、部長としてどう振る舞うか、あるいはどんなキャリアを積むべきかを考える。もちろんスキルだけでなく人的ネットワークをどう構築するかなんてことも考えなくてはならない。もしどうしても二つ上のポジションにある自分を想像できなければ職種の変更や転職を考えた方が良い場合だってある。
今あなたが抱えている問題を解体し論点を見つける作業をすることで、今まで気づかなかった視点を手に入れられるといったメリットも。正しい論点を見つけられれば問題解決能力が劇的に向上するのでぜひ試して見てほしい。
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