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『時空のからくり 時間と空間はなぜ「一体不可分」なのか』

私たちの日々の生活と切っては切れないものーー人それぞれにさまざまあると思います。しかし、この宇宙に(そう、宇宙に!)存在するすべてのものにとって切っては切れないものとなれば、その候補はかなり絞られてくるでしょう。それに間違いなく含まれる〝鉄板候補〟に、「時間」と「空間」があります。ゴムのように伸び縮みする色も形も無い時間と空間の不思議を見ていこう。

光だけが持っている性質

何に対しても光の速度は同じで、常に秒速30万kmなのです。光の速度こそ「絶対速度」です。これこそが「光速度不変の原理」です。光の速度は誰がどう測ろうとも、観測者が動きながら測定しようとも光源がうごいていようと、はたまた観測者も光源もどちらがどちらの方向に動いていようと、観測者が測定する光速は、秒速30万kmというたった一つの値しか示さないのです!(正確には299792.458km/s。この値は「光速度の定義」になっている)。ただし、秒速30万kmという値は、あくまで真空中でのものです。光は、ガラスや水などのような透明物質に入り込むと減速されますが(だからこそ、屈折現象が起こる)、真空中では光の速度というものは何に対しても同じで、変化がないということなのです。

どうして光だけがこのような性質を持っているのかは、誰にもわかりませんが、様々な思考実験で「光速度不変の原理」が説明されていて面白かったです。

相対的とはどういうことか?

「君は背が高いな」日常でごく普通に使うこのような表現には、暗黙のうちに「平均身長と比較して」ということが含意されています。「高い/低い」はあくまで相対的なものにすぎません。では相対的とはどういうことでしょうか?「特殊相対性理論」では二つの慣性座標系を考え(たとえば慣性座標系Aと慣性座標系B)、慣性座標系BはAよりも早い一定の速度で走っているものとします。ここでは、慣性座標系Aの速度を時速3万kmとし、Bの速度を時速10万kmとしましょう(これくらいの速度でないと、〝相対論的効果〟が出てこないので)。すると慣性座標系A内にいる観測者の腕時計が示す時間よりも、慣性座標系B内にいる観測者の腕時計が示す時間の方が遅く進みます。

慣性座標系Aが静止、慣性座標系Bが時速7万kmで走っている場合も、同じことが起こる。二つの慣性座標系間の「相対速度」が同じ時速7万kmであるからだ。相対性理論においては、「絶対静止」も「絶対速度」も「絶対時間」も考える必要はありません。全て比較の問題で「相対的」なものだからです。

見える宇宙はなめらかな空間

地球の表面は山あり谷ありのデコボコ状態ですが、十分に遠くから見ると表面がほぼなめらかな球体に見えるのと同じように、平均化すれば「見える」宇宙はなめらかな空間でできているといえます。細かく見ると温度のムラ(温度の高いところと低いところ)があるものの、宇宙もまた大局的にはどこから見ても一様で、どこもかしこも同じように見えるからです。

地球を離れ、他の天体から宇宙を見たとしても宇宙は同じように見えます。つまり、宇宙には中心がなく、どの地点も中心になり得るということです。これを「宇宙原理」と言います。このような空間が「宇宙の晴れ上がり」以降、ずっと膨張し続けてきたのです。

上空(高層階)にいる人は早く歳をとる!?

さて、みなさん!50階建てのビルの1階で仕事をしている人と最上階(50階)で仕事をしている人とを比べて見ましょう。50階の方が1階よりも重力ポテンシャルが高いことは明らかですから50階における時間の方が1階より速く経過することになります。ということは‥‥、50階で仕事をしている人の方が1階で仕事をしている人よりも早く老け込んでしまう!?高層階で働いているみなさん、あわてて1階に駆け下りてきても後の祭りですよ!年齢(時間)は決して、後戻りはしてくれません。

スカイツリーの展望台で仕事をしていたり航空機で上空1万メートルを飛んでいる人たちも同じように早く歳をとります。う〜ん?それって本当?と実際に僕たちが感じている肌感覚から乖離している言い分なので、疑う声が聞こえてきそうですがww

ならばいったい、上空(高層階)にいる人はどれくらい早く歳をとるの?もちろん、ほんの少しです。具体的には、100年につき100万分の一秒くらい。全く心配するような問題ではありません。50階で働いているみなさん、どうかご心配なさらずにお仕事に精を出してください。東京スカイツリーで展望台にいるみなさん、ゆっくりと眺望を楽しんでください。旅客機で太平洋を横断しているみなさん、楽しい空の旅を!

重力による様々な影響が身近な例や図版を使って解説されていきます。理系でない僕にはちょっと抵抗があるような感も否めませんが、わかるところだけでも十分楽しめる感じです。

後半では4次元時空とアインシュタインの方程式と銘打ってさらなる不思議に迫ります。宇宙誕生後の原始重力波とは何かとか難しそうな内容もありますが、物理アレルギーの方でも時空のカラクリがなんとなく理解できるんじゃないかと思います。

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