野球のようなスポーツではいい投手や野手がいる方が断然有利。弱いチームでどう勝ち抜くかという局面でいろいろな施策を講じてきた星野監督のことがには説得力がある。勝つための発想法を今解き明かす。
人の心を掴む
中国に「一怒一老」ということわざがありますが、怒る、叱るということは気骨が折れて人を早く老いさせてしまうという意味で、疲れるし、嫌われるし、不愉快でいやなことですから、わたしだって本当はあまりしたくはないんですよ。でも、大人にだって子どもにだって、人間には誰にだってひとりかふたりは怖い人がいた方がいい、必要なんだと、わたしは思っているんです。怖い人がいないと人間は 放埒 になる、不遜になる部分があるんです。だから怖い人というのは本当は〝大切な人〟なんです。大体は、怖いもの知らずは人間を駄目にするんです。怖さを知っている人間っていうのは逆に締まっているんじゃあないですか。だからここのところをもう一度、よく考えてみてください。叱る、怒る、怖いということは、叱る側、怒る側、態度でその怖さを教える側からすると、それは感情のはけ口でもなんでもない。良くしよう、良くしよう。良くなければ良くしよう、良くしよう。それを常に正していこう。もっと強くしよう、あるいはもっと、もう少し頑張らせてみよう。もっと向上させてやりたい、成功をつかませてやりたい、幸せになってもらいたいという、本当はこれは指導者の〝最高の愛情表現〟なんじゃあ、ありませんか──。
星野監督の時代の愛の鞭的暴力的指導は今じゃ世の中的に通用しないが、相手を思って叱ることは今でも大事。よりよく成長して欲しいから叱るわけで、決してそこに暴力は介在しないのが現代流。言葉でも行き過ぎるとパワハラだとか言われるけどそこをなんとかしのいで叱るべきなのである。若い子に矛先を向けずにベテランを叱るといったテクニックも披露。本当は若手が悪いのに、先輩であるベテランが叱られているのを見て若手は申し訳ない気持ちになるわけです。直接叱るよりも先輩に迷惑はかけられないと奮起させる方がスマートかもしれない。
時を掴む法則
どんな人でも、人から「見られている」という意識──その緊張感がプラスに働くということがあるもので、学生なら「先生に注目されているんだ」、サラリーマンなら「上司に目をかけられているんだ」と思えばぐっとやる気も出る。野球選手もそれは同じで、監督からいつも見られていると思えば「おれは監督から関心を持たれている。期待されているんだ」という気持ちになって、それがやる気につながっていくものだ。だからいつも「おれはお前を見てるよ」「おれはお前に期待してるよ、信頼してるよ」というサインを選手たちに送ることは大切だ。選手を生かしていくコミュニケーションにはふたつあって、ひとつはここは褒める場面か、叱る場面かの見極めで、もうひとつがこの選手に「おれはいつも監督に見られている」という意識を植えつける接し方、言葉のかけ方ということになる。試合前、外野でウォーミングアップしている選手のわきを通り過ぎながら「おい、奥さん、元気にしてるか」とか、「おい、子どもはいくつになった?」とか、あるいは「最近、お前、球場入りが早いなァ。どうした?」というように日常会話をするだけでもいい。 若い選手たちが合コンに出かけたという情報が入ると、彼らのところへ行って「なんで、おれも呼ばないんだ。おれだって今は独身やないか」というようなことをいうだけでもいい。簡単な、日常的な何気ないコミュニケーション、ジョークひとつでも笑顔と一緒に選手たちのエネルギーを引き出すことができるものだ。
日常からコミュニケーションを取ることで信頼を築き会うことは大事。ジョークの一つでも言える間柄なら指導もしやすいだろう。
自分を掴む法則
「星野仙一」というキャラクターがもう何年も、 10 年も 20 年も世間に出まわっているわけだけれど、内心ではいつも「おい、おい、おれはそんな大層な男でもすごい監督なんかでもないのに…」と思っている。よく「理想の上司」のアンケートなどで上位にランクされているというけれど、自分の部下だった人間がいってくれているのであればともかく、優勝した時や時の人になっている場合でのアンケートだとすると、それはイメージでいっているわけだから「どうかなァ」と思う。カミナリ親父風なキャラクターは今ではもう珍しいものだし、怖い人だ、闘将だ、改革者だとかリーダーだとか、そういう要素はなくはないんだけれど、世間一般のわたしに対するイメージや評価というものは似合わない服を着ている時のような、なにか居心地が悪いような気がする。わたしが自分自身に対してはっきりといえることがあるとすれば、個人的にも球界のなかにおいてもこれは一、二を争うほどの「幸運な男」だということだ。世間の人は自分のことを 70 パーセントが不幸で、幸福度は 30、 40 パーセントと思って生きているといわれるが、わたしは100パーセント、120パーセント幸せな男だと思って生きている。
自分のことを不幸だと思っている人は意外と多いのだなといった感じ。そこで自分は120%幸せと言い切れるのはすごいと思う。自分をしっかりキャッチしているということだ。
厳しく指導するイメージの星野元監督だがその指導の裏側には経験に裏打ちされた理論があったのだ。そんな法則を多数収録した書籍です。
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