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手にとるようにNLPがわかる本|加藤 聖龍

皆さんのなかにもNLPという言葉を聞いたことがある人は多いのではないだろうか。実践心理学で優れた人たちの思考や行動、言葉遣いなどを分析、誰にでも応用できるようにモデル化したものです。コミュニケーションスキルとしても注目されているNLPをこの一冊に!!

何気なく使っている「言葉」には大きなパワーが!

たとえば、医師が何も言わずに処方せんを書いて薬局の窓口で薬を手渡すのと、処方する薬について「この薬を○○の条件で飲むと、××の効果があって、△△はこのように改善されます」と指導してから患者が薬を飲むのとでは、効き方に差が生まれるといいます。同じ薬を飲んだにも関わらず、なぜ効き方に違いが起こったのでしょうか。それが、「 言葉の力」です。脳は2つ以上のことを同時に捉えるのが苦手だと述べました。そのため、相手に言葉をかけられると、意識はそちらに向きます。すると、「脳の 勘違い」システムによって、薬を飲むと症状がよくなるという未来の体感リハーサルを勝手に行うのです。その結果、全身にもその反応が伝わって、現実においても効果が表れやすいといえます。悲しみにうちひしがれているときに、「あなたって本当にかわいそうね。いま、悲しみのどん底にいるのね」と言われるのと、「大丈夫よ。夜明けのこない夜はないわ」と言われるのとでは、感じ方に違いがあるのがいい例です。 言葉のかけ方しだいで相手の意識の方向を決定し、現実をも変化させてしまうのが「 言葉の力」です。そこで、NLPではこの「言葉の力」に注目し、利用していきます。

気分が沈んだ時ポジティブになれる言葉をかけるのが上手い人っていますよね。そんな能力を体系化させたのがNLPです。声のかけ方次第で相手の沈んだ気持ちを上向きにさせたり、ポジティブな気分にさせたりすることができるのです。「言葉の力」に着目してNLPを学んでいきましょう。

NLPの辞書に「失敗」という文字は無い!

NLPでは、 すべての行動や習慣、感情には肯定的な意図や意味が存在すると考えています。「失敗」だと感じる出来事について、肯定的な意図をくみ取った上で、それでも改善したい場合はどうしたらいいのでしょうか。そんなときに取り組みたいのが「 フィードバック」です。フィードバックは単なる反省ではなく、うまくいった点や改善点を考える行為です。フィードバックは何度でも行うことができます。そして、フィードバックを行っても望ましいゴールと異なるときは、また新たな方法でうまくいくかテストしてみればいいのです。フィードバックを行うことで、「失敗」だと思っていたことが次のステップに進むチャンスになり、さらなる成功への道(ストラテジー)が開けていくのです。

フィードバック、とにかくフィードバックを無限に行うことで「失敗」を意識しないこと。よくPDCAサイクルを高速で回すなんてことを言う人がいますがそれと似たところがあると思います。とにかく前を向いてこれからの未来がより良くなるように改善を続けることで理想に近づけます。その先に成功があるのです。

リフレーミングとポジティブシンキングは違う

たとえば、「子どもの頃、両親が仕事で忙しく、あまりかまってもらえなくて寂しかった」という記憶を持つ相手がいたとします。その思い出を、「両親からとくにうるさく指示されることなく育ったので、自主性を持てたり、自分でできることを探すのが得意になったんじゃない?」というようにリフレーミングしたり、「両親がいない時間が長かったので、一緒に過ごす時間のすばらしさを誰よりもわかっているのね」というリフレーミングを行うことも可能です。どんな相手に対しても(自分に対しても)、現在でも過去でも視点を変えてあげることで、暗い印象を持っていたものをパッと明るくすることができるのです。そして、リフレーミングの視点はひとつではありません。同じことがらに対して3つ以上のリフレーミングをできるように練習しておくと、ボキャブラリーの引き出しが広がって役立つことでしょう。

リフレーミングはまず視点を変えることから、同じ事柄でも多くの視座からみることでボキャブラリーにバリエーションが生まれ結果違った答えにたどり着くように。

「なぜ?」と聞かれると本能的に言い訳を考える

「なぜ?」という言葉は、相手に言い訳を考えさせるだけでなく、 相手を否定してしまうニュアンスが入りがち だということにも注意が必要です。大事な会議に遅れてしまったとき、大勢の同僚が見ている前で「なぜ、遅刻したんだ?」と上司から強い口調で言われたとしましょう。このような状況においては、「(遅刻をするなんて)お前はどうしようもないヤツだ」というようなニュアンスを受け取りがちです。そうすると、言われた本人は 萎縮 してしまったり、 恥 をかかされたように感じ、怒りの気持ちを持つような事態に陥る可能性があります。このような状態で答えられる内容は、単なる言い訳のことも多くあり、その答えから肯定的な解決法を得るのはむずかしくなります。では、このようなとき、どのように質問をしたらいいのでしょうか。一例としては、「どうしたの?」と聞くことで、「何があなたを遅刻させたのですか?」というメッセージを相手に与え、相手の存在を否定することにはなりません。 相手の存在は認めたうえで、その原因やプロセスにスポットライトが当てられる ことになります。 「なぜ?(Why)」と尋ねるのではなく、「 何が?(What)」とか「 どのように?(How)」と聞いてあげることが、相手とよりよいコミュニケーションを図り、成長を促すために重要なポイントでしょう。誰かに注意を促すときや、部下や子どもを叱るときなどに応用できます。

「なぜ?」と聞かれると言い訳をしたくなるもの。そこで「何が?」「どのように?」と言う質問に変えると相手の成長につながる答えを導き出せます。

言葉は知っていたが今まで触れてこなかったNLP。入門編として読めばNLPのなんたるかが分かります。

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