政府の働き方改革実現会議で有識者議員を務めた著者は、真の働き方改革とは言わば「会社の魅力化プロジェクト」と説く。本書で取り上げた働き方改革先進企業では、改革を経て、低迷商品の売上V字回復、制約社員の活躍、職場の雰囲気改善などの成果が出ている。また、働き方改革は社会も変える。女性活躍・少子化改善・地方創生にも効果を発揮することが分かってきた。第一人者による、新しい働き方の理論とノウハウを徹底解説した1冊。
働き方改革の何が問題なのか
「働き方改革は経営改革」ということだ。人材が豊富だった頃の、またコンプライアンスが緩く、正社員を無制限に働かせていた時代につくったビジネスモデル自体を改革しなければいけないという、かなりの大事だ。「個人が生産性向上してがんばって残業を減らしましょう」というだけなら、むしろ企業にとっては残業代も浮くし、大歓迎。法的上限規制に経済界があれだけ抵抗をするわけがないではないか?今こそ経営者の覚悟が問われるときなのではないだろうか。そして働く側に求められるのは「変われない経営者のもとを去る覚悟」なのかもしれない。
若者の就活状況が改善傾向にある今。もし間違ってブラック企業に入ってしまったら、すぐに察知して辞める覚悟も働く側には必要なのかもしれない。経営者の側も、より働きやすい環境を整備していかないと、人材難になり人手不足で経営が立ち行かなくなる可能性が大いにある。一度ブラック企業とレッテルを貼られてしまったら、信頼の回復に時間がかかるので、注意が必要だ。
働き方改革はどうすれば成功するのか
電通の新入社員だった高橋まつりさん(二〇一五年入社・当時二十四歳)が二〇一五年のクリスマスに投身自殺をした。一〇〇時間超の長時間労働やパワハラ、セクハラがあったことが記録からわかり、二〇一六年九月に労災認定された。高橋さんの母親と弁護士の川人博氏が同年十月に記者会見を開いたことから、社会問題として大きく報道されるようになった。さらに「一〇〇時間程度で情けない」という年配の大学教授のSNSでの投稿が波紋を呼び、「長時間労働を是とする世代」との世代間対立も可視化された。 「命より大事な仕事はない」という高橋さんの母親の訴えが社会に投じたものは大きい。日本の労働基準法は、事実上残業無制限の青天井であることも、クローズアップされた。高橋さんの直属の上司の幹部社員の男性一人と、電通が労働基準法違反(長時間労働)の疑いで書類送検され、電通の石井直社長は同年十二月に引責辞任する意向を表明した。厚労省の過重労働特別対策班による異例のスピード捜査、支社、子会社までへの追及と、経済界に与えた影響は大きかった。電通ショックで、明らかに経済界の「長時間労働問題」に対する空気は変わった。「当たり前」とされていた長時間労働を放置すると、ここまで重大なリスクに発展するのだと、認識を新たにしたのだろう。
若い人たちに言いたい。仕事がキツすぎると感じたら、迷わず転職を考えること。上司に相談してみるのもいいが、大抵の場合その上司に問題があるから仕事がキツくなっている訳で、上司が変わるのを待っていたら自分が壊れてしまいます。転職して、給料が下がったりするリスクもありますが、それでキツい状況から脱することができるならよしとしましょう。
先端事例に「働き方改革」の実際を学ぶ
四十代の青野社長はグループウェア国内シェアナンバーワン(※)を誇る上場企業サイボウズ(一九九七年八月創業)の経営者であると同時に、二〇一〇年から三回の育児休業を取得した三児の父、イクメン社長としても話題の人物だ。青野社長とはインタビュー、セミナーなどで何度か一緒になっているが、「一〇〇人いたら一〇〇通りの働き方があっていい」という発言から、「未来の働き方」に近い経営をしている経営者としてずっと注目してきた。サイボウズのユニークなところは、「働き方が選べる」ことだ。サイボウズは二〇〇七年から「ライフ型」「ワーク&ライフ型」「ワーク型」(二〇〇七年導入選択型人事制度)のように社員が給与と働き方を選択できる制度を持っている。なんとユニークな、と驚くと同時に理想的な働き方ではないかと思った。理由も育児だけではない。介護、ボランティア、勉強、副業など、個人の事情に応じて何でもいい。しかもその選択もひと月ごとに変えることができる。今はさらに進化して「ウルトラワーク」という多様な選択になっている。サイボウズがこのような働き方を打ち出すに至ったのは、「必要に迫られて」のことだった。 ノークリサーチ社「2016年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」グループウェア部門において
多様な働き方を持つ会社がこれからは生き残っていくだろう。人材難の今、待遇面や、働き方で自由度の高い制度を持つ会社の方が魅力的に映る。働き方改革はそうした成功事例を元に行なっていくのがいいだろう。
多様性が求められる時代、とりあえず残業を減らしたりするだけでは、物足りない。バリバリ働いて給料を稼ぎたい人、そうでもない人、いろんな人が同じ会社で働くために必要な制度を取り入れているかが重要だ。
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