主人公がマックス老人とともに上司と部下の理想の関係を探った1冊。部下の能力はそれを育む上司の能力にかかっているし、上司の仕事の成果は部下にかかっている。仕事の楽しさも同様である。となれば、仕事を楽しむためにはやはり、上司と部下の関係を考えてみる必要がある。
人と人との結びつきを仕事に取り入れる
きみの求める答えは〝仕事をしない〟ということではないと思う。必要なのは、人と人との〝結びつき〟を仕事に取り入れることなんだ。最高の仕事は人間同士の結びつきから生まれるものだ。なのに僕たちはそういう性質を仕事からむしり取ってしまった。古くさい命令系統は崩れつつあると思ったが、多くはそう見えるだけ。チームだのコーチだのと言っても、ほとんどは委員会や管理職が呼び名を変えただけだ。
人と人との結びつきを仕事に取り入れると大抵、変な派閥のようなものや古い体質の強固な上下関係ができてしまうのではないかと思う。チームなど組織には統治機構も必要だが、ちょっと前にワイドショーを賑わした、貴乃花と相撲協会の角質なども古い体質が機能不全に陥ったいい例である。報告を上層部にあげなかったのは、不祥事をもみ消されてはたまらんという彼の思いもあったのだろう。組織では彼のような人間は疎まれるが、一石を投じるにはあのくらいやらないと古い岩盤は破壊できないような気もする。
その人と一緒にいるときの自分が一番好きだね
「ポルシェ社の元CEO、ピーター・シュッツが、いま話しているような人間関係のことをこう表現したことがある。〝その人と一緒にいるときの自分がいちばん好きだ〟とね」それを聞いて答えがわかった。そんな上司にあったことは一度もない。彼は次に、私自身の部下の管理方法について聞いてきた。「部下との関わりといえば、彼らの問題を解決してやることばかりです」私は悩みを打ち明けた。「列をなして待っている部下たちの相手をするだけで、一日が終わってしまいます。彼らは、困ったことになったとか、ヘマをしてしまったと言って、途切れることなくやってくるんですから」私は部下たちの力になってやるうちに、本当の仕事、つまり好きで得意な自分の仕事を放り出してしまった。そして組織のための配管工として、水漏れしている企画や流れの悪い処理家庭に対応する日々を送っていた。
〝本物の部下〟とは管理される必要がなく、上司にいい仕事をさせ、部署全体をより高いレベルに引き上げるような部下だ。優れた人材を確保するには、「他社に負けない給料」では普通と同じと捉えられることに。「環境が整っている」というのも同じ理由からダメ。並みの上司は他社に負けない給料や待遇を示し、「うちで働かないか」と誘いをかける。優れた上司は「きみ自身の才能を開花させるチャンスのある、素晴らしい環境で働かないか」と誘いをかける。職場を最高の人が働くのにふさわしい最高の場所にすることだ。
権限を手放す
権限を手放すことも、優れた上司の特徴だ。それも、ただ手放すんじゃなく、誰かの手にポンとゆだねるんだ。ナンシー・ロフティンは、アリゾナの大手公益企業APSで主席法律顧問を務めている。前任者はCFO(最高財務責任者)に昇進したんだが、彼の姿を見かけるとみんな彼に法律上の意見を聞きたがったそうだ。ロフティンは言った。『重役たちが長いこと頼ってきたのは他ならぬからのアドバイスでしたし、それに、女性がこの地位につくなんて、それまでの会社ではまったく考えられないことだったんです。おまけに彼はものすごく頭の切れる人で、記憶力もずば抜けていました。みんなが彼のところに質問しに言ったのも無理はありません。なのに彼は一切答えようとしなかった。ただこう言ったんです。僕にはわからないーーナンシーに聞いてくれ、って。もちろん彼はわかっていました。ただ、わからないと答えることで、彼なりにバトンを渡してくれたんです』
大企業でなくてもコンビニのアルバイトなんかでも上司が権限を手放すとアルバイトの学生やなんかは優秀に育つ。レジしかできないとレジにかじりつくものがいる中、自分なりにマニュアルを読み込んで学習するものや、商品の発注などもそつなくこなすものも出てくる。サービス業はここまでやったらOKという上限のようなものがない。お客は常により良いサービスを求めるので、マニュアルを超えてサービスを提供できるアルバイトが育てば店も繁盛するだろう。スターバックスのように研修は行うが基本サービスについては個々に考えて行うよう求める会社も少なくない。権限を部下に譲渡すれば、上司はより難度の高い職務に集中できるので一石二鳥だ。優秀な部下は、試されることを望んでいる。簡単にはこなせないような仕事を是非させてくれ、と挑むように上司に懇願するものだ。
優秀な人材はみんな良い条件で働いているもの。必要な人材を引き抜くには20%の上乗せされた給料よりも、100%の自由と興奮を与えてみてはいかがだろうか。
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