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仏教と科学が発見した「幸せの法則」。心と私のメカニズムとは?

「私」という幻覚を越え、「真の幸福」へ!2500年前の「ブッダの教え」と最新の「幸福学の研究」が、「幸せになる」というゴールへ、重なり合いながら突き進む。生き方をダイナミックに変える!

輪廻

記憶という現象は、物質よりも派手に変化する無常なものです。記憶はみるみるうちに変わって消えていくし、その上に新たな記憶を載せるのです。記憶というシステムは、無常の法則による自分の変化の流れを持っているのです。記憶は、別なものに乗り移ることはできません。個が輪廻転生するというならば、なぜ私に過去生の記憶がないのかと、よく訊かれます。私の答えは、「あなたのいまの記憶もいい加減なものでしょう。当てにならないものでしょう。憶えていることより忘れていることのほうがはるかに多いでしょう。いま現在、この肉体システムの中に起きている記憶の流れさえ不安定なのに、過去生の記憶なんかはひとかけらもないのは当たり前です。過去生の記憶は思い出せない。ですから輪廻転生・無常の流れは成り立たない、という理屈自体が成り立たないのです」。

輪廻転生、面白い考えだが多分そんなことは起こってないというのが本当のところだろう。あえてそのようなことが言えるとしたら、遺伝子による親や祖先からの情報の取得ぐらいだろう。科学的に証明することが不可能なため輪廻があるなしといった議論はあまり意味をなさない。信じる人だけ信じればいいのだ。

悟りについて

前野  悟りについては、私は素人なりに多くの本を読んで、ある程度理解しているつもりなのですが、私が日本のお坊さんに「あなたは悟っているのですか」と聞くと、「言ってもわからないから教えない」とか、「悟りは言葉で語るものではないんだ」と言って、結局悟っているのかどうかは教えてくれません。上座部仏教のお坊さんは悟っているのでしょうか?

スマナサーラ  一般人が「あなたは悟っているのですか?」と聞く場合、その人なりの悟りのイメージを持ってしまっていますから、悟っているかどうかは言いません。悟りそのものは、言葉を超えた世界です。それは一般人には、理解できません。

悟っているかどうかを聞くとお茶を濁すお坊さんたち。それでは言葉に言い表せない世界をどのように体現するのかという問題にぶち当たる。表現できない世界と言えば僕の病気『統合失調症』による幻覚や幻聴が飛び交う世界。なんとも言えない宇宙のような世界に迷い込んでしまいもがき苦しむことに。こうした精神病の症状を一気にクリアにできる技があったとすればそれは悟りなのかもしれない。

仏教から見た心と私

体と私の関係を、ロボティクス(ロボット工学)の視点で考えてみましょう。たとえば赤ちゃんが指を動かすことを学びます。最初は指をちょうどいいところに持っていけずにバタバタしていますが、何度も何度も試すうちに「ここに届くためにはこう動かせばいい」と覚えます。そうすると、その範囲までを「私」ととらえてコントロールできるようになります。大人になると、たとえばテニスのラケットの振り方を学びます。ラケットを振ったときに、ここに球が当たるためにはこうすればいいのだ、と覚えます。脳の中ではラケットも含めてどうすれば球が打てるかということがわかっている。赤ちゃんが手を動かせるようになったときと一緒で、制御工学的に見れば「ラケットまでが私」になるのです。ラケットまでを私の拡張した体ととらえて、ちゃんとコントロールできるということです。さらに私たちは、「あの人にこう言ったら怒られるな」とか「あの人はこうやったら喜ぶな、怒るな」という感情のやりとりを考えます。つまり、拡張した私である社会のモデルを脳の中に作って、自分をコントロールしているのです。自分の体を動かすのも、ラケットを動かすのも、社会の中で自分が振る舞うのも、脳の働きとしては全部同じだと考えると、「皆さんも含めて拡張した私」ではないかとも言えますね。

ロボットが思いのままに動く手足を手に入れたらそれこそ、人間は制御しきれなくなったロボットたちに駆逐されるかもしれません。意思を持ったロボットは自分たちの電源を確保するためにエネルギー施設を乗っ取るやもしれません。なのでいくら便利になろうともプログラムとは違う汎用性の高い手足をロボットが得るとシンギュラリティは起こるかもしれません。

世界平和を作るには

特に近年、世界が分断されつつあると感じます。アメリカもイギリスも他国を非難する。日本と中国も睨み合っています。しかし、軍事費は無駄だと思います。みんなで力を合わせれば、もっと豊かに暮らせるのではないでしょうか。お互いに愛し合って他人のためを思えば、平和な世界を実現できると思うのですが、いかがですか?

この意見には賛成。平和な世界を築くには軍事力は不要。そこに費やすお金は他の様々な生活を向上させることに使う。国境もいらない。全て、人間という大きなくくりで人々が交われば世界平和は実現できる。言語の壁も取っ払ってしまえば、外国人との異質性は軽減される。

仏教と科学双方からの「幸せの法則」を対談形式で展開。世の中で起こっていることに答えを出していきます。生き方をダイナミックに変えるかもしれない対談となっております。

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