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人を信じられない病 信頼障害としてのアディクション|小林桜児

統合失調症にかかると重い症状のときは全てが信じられなくなる。世界中が悪意に満ちた世の中というのを想像してみてほしい。そんな中で生きるのは辛すぎるでしょう。この本では依存症について考察。どうしてわかっていてもやめられないのか?依存症の誤解を具にみていきます。

アディクションと生育歴

アルコールと向精神薬は、覚せい剤と違って所持することも摂取することも違法ではない。危険ドラッグも、少なくとも二〇一二年の時点では違法化されていない薬物がいまだ多数残っており、一般的に当時は「合法ドラッグ」「脱法ハーブ」などと称され、違法というイメージが乏しかった。つまり、アルコールや違法性に乏しい薬物の患者たちは、違法性が明確で反社会的な傾向が最も強い覚せい剤や、何でも手当たり次第に乱用するという点で衝動性が最も高い多剤の患者たちと比べれば、誰が見てもすぐにわかるような過酷な生育歴や社会からの早期の脱落は経験していない者が多い。しかし、アルコールの患者は酒乱傾向の親に子どもの頃から振り回され、危険ドラッグの患者は自分自身の慢性的な体の病気に悩まされてきた可能性はある。誰も自分の親が酒乱傾向であることを周囲に言いふらしたくはないし、喘息やアトピーのつらさは、それをみずから体験したことのある人でなければ、なかなか周囲にはわかってもらえないものである。どちらの悩みも、第三者からはわかりづらい、本人だけにしかわからないものであることが特徴と言えないだろうか。  私の生育歴調査からは、アディクションの反社会性や衝動性が高ければ高いほど、誰が見ても明白な生きづらさを思春期に至るまでに抱えてきた確率が高く、逆にアディクションの反社会性や衝動性が低く、思春期以降もそれなりに学歴や職歴を重ねてきたアディクトたちは、表面上は家族や学校生活、就職などに恵まれているものの、その裏側に何か彼ら独特の暗黙の生きづらさを抱えてきた確率が高い、というおおまかな傾向が見てとれるのである。

僕は退院後お酒とタバコはやめることができた。酒とタバコ代が浮いたので、様々なサブスクリプション(AppleMusic、アマゾンプライム、Adobe、Kindleなど)に課金して日々の生活に彩りを加えることが出来た。タバコと酒は中毒性があるのにいまだにやめようとしない人が多い。病気になって初めて後悔する人が多い。

アディクション支援のパラダイムシフト

アディクションを続けようかやめようか、迷っているアディクトの言葉には、常に現状維持の言葉と変化の言葉が入り交じっており、援助者の言葉のかけ方次第で、アディクトから否認、つまりは現状維持の言葉を誘発することも、あるいは変化の言葉を引き出すこともできることを動機づけ面接法は教えてくれるのである。一方で注意しておかなければならないことは、動機づけ面接法は、断酒断薬の必要性を一切感じておらず、まったく迷っていない患者には効果があまり期待できないという点である。動機づけ面接法は、あなたがしてほしいことを相手にやらせるように人々の心を操作する方法などではもちろんない。動機づけ面接法を使えば、相手の心の中にまったく存在していない動機づけを、新たに作り出すことができるわけでもない。

切羽詰まった状態になると中毒性のあるものの嗜好者も考えを改めるきっかけに。僕は酒に呑まれることが多いのにウィスキーが好きだったので、しょっちゅう泥酔していた。家飲み派だったのも線引きができない理由の一つだった。

アディクションと司法の関わり

違法薬物の使用や窃盗癖、違法賭博などはアディクションという精神疾患であると同時に、同じ行為が刑事罰の対象ともなるという点で不思議な病気である。同じアディクションでも、全身にくまなく病魔がおよぶという点でむしろ覚せい剤より医学的には危険かもしれないアルコールは、所持でも使用でも逮捕されない。同じ薬物でも、睡眠薬や市販の風邪薬は所持しても使用しても逮捕はされない。アルコールや睡眠薬のアディクトには医療を通して回復が期待されるが、覚せい剤のアディクトは専門医療につながるチャンスを逃して逮捕されてしまうと、刑罰を用いて「更生」が期待されることになる。アディクションを専門とする臨床医の立場からいうと、違法と規定されている薬物のアディクトを司法機関が「逮捕」という形で事実上強制的に保護してくれる制度は決して悪くないと思っている。私たち医療関係者はせいぜい頑張って往診には行けるものの、アディクトを強制的に病院に連れてくることはまず不可能である。アルコールのアディクトの場合、一定期間乱用していると肝臓や膵臓、胃腸、手足の末梢神経などがかなりの確率で障害を受け、栄養障害で体重も激減し、場合によっては転んで骨折までして自然と内科や救急病院に連れて行かれることになる。そこからアディクションの専門病院へと紹介されてくることになるので、ある意味逮捕しなくても待っていればいつかはアディクションの援助につながってくれる確率が、覚せい剤よりは高いのである。

精神疾患の一種であるのにその行為が違法性のあるものというのもおかしなものだが、取り締まらないわけにもいかないだろう。でも一番悪いのは違法薬物を流通させている輩たちなのを忘れてはならない。

人を信じられなくなる病、信頼に障害をきたすアディクションについて一つ一つ例を挙げて解説した書籍。様々な中毒患者のリアルがここに。

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