どうやら日本の政治には、若者という視点は存在しないようだ。民主党政権は、国家公務員二割削減のために新規採用枠を四割近く削減した。目玉の子ども手当の財源も、結局は赤字国債である。まかり通る不公平。いまや政治のあらゆるプロセスが、次世代の若者たちに問題を先送りにしている。いまこそ若者は声をあげて立ち上がるべきである!本書では「雇用」「社会保障」「政治参加」「子育て・教育・家族」の四つの視点から、世代間格差の本質を明らかに。そして具体的な政策=ワカモノ・マニフェストを提案する。
文句を言わない次世代へツケを回す高齢者
ある経済学の先生が、新聞に高齢者の医療費の自己負担を引き上げろという論文を寄稿したら、全国の老人から抗議の電話があったらしい。また、不動産などの課税強化を提案した識者のところには、不動産業を営まれる方々からいろいろな電話がかかってきたそうだ。政策とは、こういう利害調整のフィルターを通って生み出される複雑なパズルのようなものである。ところで、この話にはオチがある。 「どんなに不利益な政策を実施されても、一言の文句も言わない連中がいるんだ。それは若者さ」事実、政治のあらゆるプロセスは、このオチの通りに運営されているように見える。九〇年代を通じて、日本は「不況の時には財政出動が有効だ」という、とっくに先進国では否定された誤った経済政策に基づいたバラマキが続けられ、巨額の債務残高を築いてしまった。理由は簡単。「景気が悪い」とダダをこねる有権者に対し、一言の文句も言わない次世代へのツケでサービスしたわけだ。
若者の意見が反映されるよう若者の投票率を上げよというが、それも難しいだろう。未来の自分たちにツケを回そうとする高齢者たちのことなんて知りもしないんだから。だから若者の投票率をあげるのではなく、世代ごとの投票者数をパーセンテージで見るなんてことも必要かもしれない。これなら政治に疎い若者の意見は投票しに行った意識の高い人間に委任される形になり若者の意見も反映されやすい。偏った意見になるのはこの際しょうがないとして、自分たちの利益を守ろうとする若者の意見を尊重しようじゃないか。
自分たちの置かれている境遇に満足しているわけではない
いまの若者たちが、自分の置かれた境遇に満足しているわけではないだろう。それどころか、将来の仕事や職場での立場に対して、言いようのない息苦しさを感じている若者のほうが多いはずだ。誰も、好きこのんで「消極的な生き方」を選んでいるわけではない。努力せずに何でもかんでも「社会が悪い」と 責任 転嫁 する姿勢はよくないが、いまの日本に、若者が消極的にならざるを得ない閉塞状況があるのは事実である。そしてその状況は、口を開けば「近頃の若い奴らは」と漏らす年長世代が用意(もしくは温存)したものにほかならない。それでも上の世代に対して若者から抗議の声が上がらないのは、そもそも自分たちが不利な社会システムを押しつけられていることに、彼ら自身が気づいていないからではないだろうか。
老害たちは口を開けば「最近の若い奴らは」という言葉を漏らす。僕は自分の生きた時代と状況が変わっていることを棚に上げたこのような発言はなるべくしないよう心がけているが、それでもついついこの言葉が出てしまう。こうした言葉は古代からあったようで、古代の文字を解読していたら、老人たちの最近の若いもんはといった言葉が残されていたのだとか。
「年功序列」
若者が感じる閉塞感の根源には、必ず「年功序列」というシステムが横たわっていることがおわかりいただけただろう。これが、若者から意欲やチャンスを奪う諸悪の根源だと言ってもけっして過言ではない。さらに言えば、これまで日本型雇用システムの恩恵にあずかってきた中高年の正社員の中にも、いまや年功序列によって閉塞感を味わっている人たちが少なからずいる。たとえば五〇代のサラリーマンの場合、すでに第一線から外されて、名誉職的なポストで暇をかこっている人が多いだろう。年功序列の「後払いシステム」によって、楽をしながら多額の給料がもらえるのだから、 端 から見れば不満などないはずだ。しかし、そういう人たちの日常はけっして愉快なものではない。出社して新聞を何紙も読み、それが終わると、回ってきた書類に判子を押す。やることといえばそれぐらいで、あとは同世代の仲間とゴルフや飲み会の相談ばかり。それでも会社の業績が順調に上がっていれば気持ちも晴れるだろうが、先行きの見えない中で、ほとんどの会社が迷走を続けているのが実情だ。そのため彼らは、酒を飲みに行っては、こんな不満を口にするようになる。「オレならもっと上手く仕事をやってみせるのに。上はわかっちゃいない」自分のような人材をうまく使わずに、業績を向上させられずにいる経営陣のやり方が、納得できないわけだ。ならば自分のキャリアや能力を生かせる会社に転職し、定年前にもうひと暴れしたいところだが、五〇歳を過ぎてからの転職はきわめて難しい。
日本もこれからは年功序列が崩壊していくだろう。そんな中スキルを持たない中年以降のサラリーマンはどんどん社会の隅っこの方へ追いやられるだろう。
世代間格差を考えることは、今後の日本のあり方を考えることにつながります。自分たちの利益ばかり考えて、未来にツケを回す行為は世代間格差を生みます。持続可能な社会のためにも中高年が意識を変えるべきだと感じました。
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