A氏のマンションは3200万円。B氏のマンションは800万円。両者のマンション査定額には4倍もの差がついている。35年前の購入時にはほとんど同じだったのに、なぜこれほどまでに差が開いてしまったのか?これは明らかに分譲マンションの資産価格における「格差」である。築年数や修繕状況など資産価値を落とさない管理組合の果たすべき役割とは。賃貸か分譲かという永遠のテーマもそれぞれの立場を論じています。
マンションの資産価値とは
中古マンションの新築時販売価格もその気になって調べればすぐにわかる。中古で購入を検討している方も「これは〇年前の新築時に〇〇〇〇万円だったから」と言うことを参考にする。はたまた、売却する側も、同じマンションで売り出されている別の住戸について、「あそこは新築時の価格から〇〇〇万円下げて(上げて)いるから」ということを指標に使う。しかし、そういうことを機にするのはせいぜい築10年くらいまでである。築20年になった中古マンションについて、「このマンションは新築時に〇〇〇〇万円だった」ということがたとえ話題になっても、それは遠い昔の話。そんなことよりも、駅からの徒歩分数や修繕積立金の残高といった、そのマンションの持っている様々なスペックの方がより影響する。
僕のマンションも築20年なので、スペックで判断される面の大きいだろう。駅近で徒歩圏内に総合病院(高津中央・帝京)や保育園・幼稚園・小中学校があり、子育てには便利。溝の口と二子玉川が近く二つの雰囲気の違う街を使い分けることができるのがメリット。反対にデメリットは昔ながらの繁華街の中にあるので帰り道は酔っ払いに遭遇する確率が高く女性は少し心配といった声も。あるマンション口コミサイトでは3.73点という微妙な点数でした。
公表されていない欠陥マンションも多数ある
多くの場合、管理組合と売主であったデベロッパーとの話し合いになる。そして、間に入った売主デベロッパーの子会社である管理会社が、「あまり騒ぐとこのマンションの資産価値に影響しますよ」という殺し文句を使い、管理組合側に不利な条件で和解させている。実際、私のところにも、さまざまな相談が寄せられている。名前を出してしまうと、まさしく「資産価値に影響する」ので書けないが、そういう意味ではマンションのブランドなどというのは、幻想に過ぎない。
「あまり騒ぐとこのマンションの資産価値に影響しますよ」というのはひどい話、「騒いだら殺すぞ!」的な傍若無人な言いようだ。かつて、一級建築士が構造計算を意図的に甘くした「姉歯・耐震偽装事件」が起こり、これらのマンションは売主企業が倒産したことによって責任を取らせることができなくなったのでほとんどが購入者の自己負担で建て替えられた。詳しいお金の話はわからないが僕の叔母もこれに巻き込まれた。交渉の末、高齢者世帯1戸が建て替え費用が賄えず泣く泣く売却して引っ越していったという。こうなると悲劇以外の何物でもない。
マンション界のユニクロ!?
「長谷工のマンションはどうなのですか?」今まで何回もいただいた質問だ。私はいつも答えている。「長谷工のマンションは、ユニクロの服みたいなものです」ユニクロといえば、使い勝手はまずまず、安価に大量生産、ただしデザインは‥‥というのが世間の評価だろう。それをマンションに置き換えれば、容積率消化とコスト低減を最優先、デザインは後付け、となる。確かに、デベロッパーにとって長谷工の低コストは大きな魅力だ。そして何より日本で最も多くのマンションを作ってきた実績があるので、品質が安定している。引渡し後のクレーム対応にもノウハウが蓄積されている。さらに便利なことに、長谷工はワンストップでマンション開発・分譲事業をプロデュースしてくれるのである。
マンションのブランドなどというのは、幻想に過ぎない。と著者は主張しているが、長谷工的にマンションを生産すれば、グッチやシャネルのような均質的に高水準とはいえないまでも、ユニクロ的な品質への期待は抱くことは可能だ。グッチやシャネルの製品なら、購入してから20年の時を経てもそれなりの輝きを失ってはいないはず。一方、ユニクロ製品のデザイン面においては20年の耐用性はないとも言える。大量生産大量消費が基本だ(元々、ファストファッションは流行の大量消費がコンセプトだから仕方がないが)。こういった側面を持つ場合住み続けることでそのリスクは回避できるかもしれない。「マンションのことならわかるんだ。作ってきたからわかるんだ」のフレーズも浸透し認知度も高い一方、ユニクロと揶揄されてしまう一面も。修繕などにも力を入れてワンストップで行うのは利用者にとってもありがたいと思うのだが。
標準仕様と比べ1000万円高い内装で3000万円多く払わせるビジネスモデル
現在、マンションの建築コストの目安は、80㎡くらいの3LDKで戸当たり2000万円と言われている。これを超豪華仕様にしてもせいぜい3000万円。これが高いのか安いのかの議論は措くとして、一般的なマンションの建築コストというのは、所詮その程度なのである。(中略)特に億を超える価格のマンションを作る場合、売主側は外装や内装はもちろん、住戸内の設備にも思い切ってコストをかける。しかし、標準仕様と比べて1000万円以上も予算を積み増しているケースがどれほどあるだろうか。
売主に「設計デザインや設備・仕様にはおカネをかけ、隅々まで徹底して高級品を採用しています」と言われ、相場よりも3000万円高く買わされ、実際のところ2000万円も多く払わされるケースも少なくないという。
賃貸VS分譲の戦いによるメリットデメリットなども含めマンション格差の原因となるさまざまな指標がわかる書籍です。これからマンションを購入する人に向け、特別附録では「デベロッパー大手12社をズバリ診断」と題して診断している。参考にしてみてはいかがだろうか?
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