IT界、いやビジネス界のカリスマ、スティーブ・ジョブズ。死してなお多くの本が出版され、映画化も幾度か行われ、未だに「もしジョブズがいたら」と言われる存在……。彼の伝記は多数出版されているが、写真やグラフィックを多用して、視覚的に彼の功績やビジネスの軌跡を理解できるものは本書が初めてである。彼の出生の秘密や、学生時代の破天荒な生活、やがてコンピュータがもたらす未来に魅せられ、相棒ウォズニアックとアップル・コンピュータを設立。以後、多くの転機を経て、iMac、iPod、iPhone、ipadなど亡くなる直前まで「未来」を語り続けたスティーブ・ジョブズ。本書は偉大なる彼の軌跡に改めてスポットを当て、今一度、天才と呼ばれた男の生き様に触れることを意図した伝記である。
創造性は何かをつなぎ合わせること
盛り上がりを見せるエレクトロニクス分野に夢中な仲間を増やしたい。当時そう感じていたフェルナンデスはジョブズに友達を紹介する。はんだ付けや回路基板のプロジェクトで困った時にフェルナンデスがまず助けを求めに行くのが、同じ通り沿いに住むスティーブ・ウォズアニックだった。ロッキード社のエンジニアの息子であったウォズアニックは、地元のエレクトロニクスフェアで入賞を重ねており、この界隈では有名な電気少年として知られていた。IQ200という頭脳を持ち、11歳で電子版マルバツゲームを完璧な論理回路の設計で完成させている。10代後半にはプログラミング言語のFORTRANをマスターしていた。
ジョブズはこの出会いによりパートナーを得ることに。雄弁でビジネスに対しての嗅覚が鋭かったジョブズと違い、ウォズアニックは根っからのオタク気質。自作のパーソナルコンピュータを完成させた時も、その設計図を無料で仲間たちとシェアしようとしたが、それをジョブズに止められる。ビジネスへと変換させたのだ。アタリのテーブルテニスゲーム「ポン」を作った際にはジョブズに700ドルの報酬と期限内によりスマートな部品の少ないマシンを設計したことで得たボーナス5000ドルが支払われたが、ジョブズはこれを独り占めし、700ドルを折半し350ドルだけウォズアニックに支払った。ウォズアニックがこのボーナスについて知ることとなったのは10年もあとのことである。この時、友情や正直でいることを重んじるウォズアニックは楽しい仕事だったしお金は二の次、だけど友人なんだから教えてくれても良かったのではないかと振り返っている。どんだけいい人なんだよww
アップルのロゴ
アップルをクライアントとして迎えたマッケンナは、この新興会社が当時使っていた複雑すぎるロゴの作り直しを決める。チーフアートディレクターのロブ・ヤノフはシンプルでわかりやすいものを考案するようマッケンナから指示を受けた。最初のデザインは今日お馴染みの、片方がかじってある虹色のリンゴのロゴだ。当時のアップルのキャッチフレーズ「Byte into an Apple」(訳注:コンピュータの情報単位を意味する「byte」と動詞「bite(かじる)をかけている」)を連想させる。のちのインタビューでヤノフは、最初の目標は「プチトマトと間違われないようにする」ことだったという。ジョブズは親しみやすいデザインとAppleⅡのカラー表示を象徴する虹色の縞模様を気に入る。そして細部までこだわるジョブズは、リンゴの葉のある上部に緑色が来るように彩色を調整させたのだった。
僕がMacを初めて買ったのはPower Macintosh G3時代だったのでこの虹色のロゴから水色リンゴのロゴに変わっていた。その後のロゴも片方かじったリンゴというところは変わらず、色だけがガラス調になったり白黒になったりと変化して、現在はガラスのような反射するロゴが用いられている。ロゴだけ見ても歴史を感じさせる。
iPhoneの始まり
今日のiPhoneの始まりは、2003年にジョニー・アイブ率いるデザインチームが行なったブレーンストーミングまで遡る。このミーティングでデザイナーのダンカン・カーは入力機器部門と行っていた研究成果を披露した。この部門はマックの新しい操作方法を模索していた。カーがスクリーン上で新しいマルチタッチ技術を紹介するとアイブやチームメンバーは驚愕する。未来への新しい可能性が秘められていると興奮したのだった。このデモは従来の一本指でなく2、3本の指を使ってズームや回転などを行い、画面上の画像を操作する方法が紹介された。
このスクリーン上での操作のデモからiPhoneは生まれた。当時ライバル会社は、キーボードがない携帯電話なんてありえないなどと否定的であったが、消費者には新しい操作方法は浸透していくのであった。
スティーブ・ジョブズの生涯がグラフィックやデータを用いた伝記となって登場。古くからのアップル信者もiPhoneくらいからアップル製品を使うようになった人までジョブズの偉大さがわかる書籍となっております。同じハイテク業界に身を置いた登場人物の数々はこの時代を彩った人ばかりで、ちょっと感動。
【サブスク】 Kindle Unlimited
僕が利用している読書コミュニティサイト
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