SNSは私たちの情報行動、ライフスタイル、そして価値観までも一変させてしまった。そのSNS上でのコミュニュケーションが写真や動画中心になってきている。本書は、それをビジュアルコミュニケーションの実践と捉えつつ、ユーザーの情報行動がどう変わっているのか、そして「シェア」がいかに重要になってきているのかを論じるものだ。特に以下のような課題感を持つ人にオススメしたい。
- SNSの現在の動向や今後ん美向けたトピックスを知りたい
- 同時に、時間的な耐久性のある考え方のフレームを身に付けたい
- 若年層を中心とした、新しい情報行動のかたちについて把握したい
- どのSNSとどのように向き合い運用していけばいいのか知りたい
- WhatやHowの水準に加えて、Whyの水準でのなぜそれが流行っているのか、の領分まで理解したい
- なぜシェアされるのか、シェアの本質とは何かという切り口から考察を読みたい
- マーケティングはもちろんだが、より社会学的な、メディアリサーチ的な視点で考えるための視座を得たい
- 理論と紐づけたキャンペーンのケーススタディを学びたい
近年のハロウィンの盛り上がりぶり
「祭り」=ソーシャルの部分ーーその二つのニーズが一番良い具合にミックスされたのがハロウィンというイベントの真髄であるかもしれない。祭りという一つの「言い訳できる機会」をてこにして、普段とは違う自分に変身するということ。翻ってみればそのこと自体は「祭り」が持っている伝統的な社会的機能に違いない。しかし、現代版ハロウィンが異なるのは、ユーザーが普段よりも自分をどうより良く演出するかーーすなわち、どう、「盛る」かという視点が強くなっていることであるように思われる。
女性の盛りの歴史を見ていくとプリクラから加工アプリへと進化し自分を「盛る」ことをソーシャルに「盛る」(いいね!を稼ぐ)ことと結びつけている。写真に一言二言添えてSNSに投稿するのはブログやなんかと比べはるかに簡単でお手軽。だからこそ、そこにあげる写真は「盛ったものでなければ」という意識が働くのだろう。この「盛る」技術が優れている人は友達の間でも尊敬されたりするというのだから時代は変わったのだなと感じてしまう。
情報テクノロジーとユーザーニーズの共進化
「バービー人形」が60年かかった10億台発売という大台をiPhoneは2016年、つまり2007年の初代発売より9年で達成してしまったことである。つまり、スマートフォンの代名詞ともなっているiPhoneは歴史上もっとも速く世界中に普及した工業製品であったのだ。スマートフォンは私たちの生活を急速に変えていったような感覚を持つが、それはこのようなデータ上でも明確に立証されている。
僕も多分に漏れずiPhoneユーザーで2〜3年に一度メジャーアップデートがあると買い換えるようにしている。iPhone XのフェイスIDなどは多少角度が違ってもiPhone Xを持ち上げて見つめればそれでロックが解除され、スピードも速い。そんな新たな体験を与えてくれるAppleは信者にとって神のような存在。爆発的な普及率は競合他社の格安スマホに押されて鈍化してはいるが、それでもいまだに高い人気を誇っている。
スマホの搭載されるカメラも各社年々スペックが上がっており、感覚的で手軽なビジュアル要素を活用し、SNSなどみんなとシェアしたいというユーザーニーズとが相まって進化しポートレート写真なども綺麗に撮れるように改善している。
デバイスシフト
老若男女がスマホを通じて接続する世界に生きている。ウェブブラウザからアプリへ。そして、キーボードで文字を打つ代わりに、私たちはカメラを向けて目の前の現像を切り取り、記録し、加工して遊びながら、シェアするようになっている。
人々、特に若者の間では、パソコンからスマホやタブレットへのデバイスシフトが進んでいる。文字入力だってフリック入力(おじさんの僕はこれが苦手w)、さらには音声入力(僕は滑舌が悪いのでこれも無理ww)。パソコンが一切使えないという学生も増えているのだとか。僕の学生時代は、サークル内で授業でパソコンが必要なので、買換え等でいらなくなったパソコンを友達に回したりしていたものだが。社会に出るとパソコンを使うシーンが今でもあるので、学校は生徒にパソコンを支給すべき。
I share, therefore I am.(我シェアする、故に我あり)
誰もが小中学生のときに、校長先生や担任の先生から、「家に帰るまでが遠足です」と言われたことがあるかもしれない。それに倣えば、「SNSでシェアするまでがイベントです」と言い換えられるだろう。実際に体験したことをオンライン上でもシェアし、そこに他の人からのいいね!などがつけばさらにその体験の価値は高まる。
より価値の高い体験を求め若者はインスタ映えする食事を食べに行ったり、旅行に行ったり。経済を回すという点では「シェア」は確かな原動力となっているのは明らかだ。
「シェア」という文化にそって人々の行動を細かく分析していてなかなか面白い。SNSにまつわる様々なトレンドを追いながらシェア(SNSの情報環境)を読み解いていく書籍でした。
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