リーダーに必要な力ってなんだろう?いろいろな本がいろいろな力が必要だと訴えかける昨今、自分自身がリーダーとしてやっていくための力は何が必要なの?何が足りないの?が見えなくなりつつあります。本書は、多岐にわたるリーダーに必要な力を50項目に細分化して紹介し、それぞれの力について、読者に足りない力が何か、読者が持つべき力が何かが明確に分かるようにさまざまな事例を通じて考ていく内容です。
リーダーシップのイメージって?
リーダーシップといえば、どんなイメージを持つでしょうか。夢を語る人、カリスマ的な存在感、ぐいぐい引っ張る行動力など、力強いリーダー像が思い浮かぶことでしょう。また、人柄が素敵な人、知識や技術が豊富な人、正しい判断を下してくれる人、メンバーにとって有益な情報を持っている人など、控えめだけれどもメンバーがついていきたいと思えるような人を思い浮かべるかもしれません。一人ひとり、育ってきた環境や経験が違うため、リーダーシップのイメージも人によって違うのです。
一口にリーダーといっても様々なタイプがいる。それに立場上下の人間が上層部に働きかけ進言するような場合は逆転のリーダーシップだってあり得るのだ。誰だってリーダーになることはできる。ここからはリーダーの行動を見ていこう。
リーダーの行動50
■影響をあたえる
- 信念 その人が正しいと信じている大切な考えで、意思決定のより所となるもの。
- 役割認識 期待される役割を理解すること。
- 権限の行使 決定や行動についてあたえられる権利を使うこと。
- 決断 いくつかの選択肢の中から意思決定して、他の選択肢を断つこと。
- 任せる 仕事の判断や実施を、メンバーの思うようにさせること。
- 率先垂範 人の先頭に立って行動して、模範を示すこと。
- 取りまとめ チーム内外の情報を集約したり、メンバーの心をひとつにしたりすること。
- 上司の補佐 上司の役割を助け、補うこと。
- 前向き 今よりもさらに良くしようという気持ちや考えのこと。
- 説明 相手に事実や考えなどを伝えて、理解してもらうこと。
- 説得 相手の自由意志を尊重しつつ、こちらが望むとおりに、相手の行動を変える働きかけのこと。
- 合意形成 表面的な意見だけでなく、本音や価値観も明らかにして、全員が満足する一致点を作ること。
- 質問 情報を収集するために尋ねることや、気づきをあたえるために問を発すること。
- 傾聴 事実だけではなく、気持ちまで含めて共感的に理解する聴き方のこと。
- 見える化 状況をより正しく認識するため、文字・図表・グラフなどで見えるようにすること。
- 報連相 報告・連絡・相談それぞれの頭文字を撮ったもので、協働を促進するためにチーム内外の関係者へ働きかけるコミュニケーションのこと。
- 褒める 相手の成長を願って、相手の考えや行動の良い点を称えること。
- 叱る 相手の成長を願って、相手の考えや行動の良くない点を指摘して改善させること。
他にも、
■事をなす 状況把握、ビジョン形成、目標設定、役割分担、連携体制づくり、実行計画、資源活用、活動の推進、評価、改善、調整、問題発見、課題形成、原因分析、解決策の立案、リスク管理
■人をいかす 育成目標の設定、OJT計画の立案、動機づけ、ティーチング、コーチング、OJTの評価、キャリア開発の支援、目的共有、チームの約束事、雰囲気づくり、働きやすい環境づくり、助け合い、相乗効果、意識改革、多様性の受容、コンプライアンスの遵守
などがリーダー行動50に挙げられる。巻末にはこれらをカードにして様々な問題解決に役立てる組み合わせを自分流にアレンジして使えるよう付録がついている。
第二章からは、先に挙げたリーダー行動50のカードの使い道を、例を挙げて一つずつ解説している。それぞれの行動に例が加わる事でより使い方がわかりやすくなるよう工夫されている。
リーダーとしてのキャリアを高める
リーダーシップの成長とキャリアには強い関係があります。年齢と経験を重ね、周囲からの期待が大きくなり、自分がやりたいことがはっきりして、仕事と人を動かす範囲が広がるからです。例えば、初めてリーダーになり、小さなチームを運営し始めます。試行錯誤を続けて経験を重ねるうちに、自分なりのリーダーシップのコツをつかみます。そして、周囲の期待がもっと大きくなって、大きな組織のリーダーを任されるようになると、取り組む仕事とメンバーが広がります。
キャリアの発達段階を4つの分けると、「準備」「遭遇」「順応」「安定化」という4段階になります。キャリアの節目はこの中の「安定化」段階にこそあります。居心地がよくルーチンワークで仕事を楽々こなせるようになったら次のステージに向けて「準備」を始めてもいいかもしれません。
昇進や抜擢でリーダー初体験となる人に向けた問題解決のメソッドが紹介されています。紹介されている例もわかりやすいのですが、個々の事案にフレキシブルに対応するためにはちょっと工夫が必要です。巻末のリーダー行動50のカードを利用して問題解決に当たりましょう。
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