精神科医として、大学教授として、テレビや雑誌など様々なメディアで活発に発言する存在として、香山リカは多面的な活動を続けている。だが、その素顔については、意外に知られていないのではないだろうか。幼少時代、上京、受験失敗、就職、仕事、「香山リカ誕生秘話」、そして恋愛・結婚、老い・別れまで。いま初めて語られる、その知られざる半生。
父と母からの影響
両親には申し訳ないと若干思いますが「親の望む方向に子は育たない」っていうことだと思うんです。親が「こう教えたい」と思うことは伝わらずに、まったく無自覚にやっていたことが影響を与えたりしているんではないでしょうか。それは患者さんを診ていても思います。患者さんの親が来て、「ウチはこういうふうに教育しました」と言っていることと、目の前にいる子どもの姿がまったく違っていることもあるんです。ですから、親は最初から「子どもは望みどおりには育たない」と思っておいたほうがいいと、私は考えます。でも、思わぬことが子に影響を与えるというと、怖いとか思うかもしれませんが、たぶん、同じような環境で育っても、それに影響される子どもと、そうではない子どもがいるわけだから、どういう道を歩んでいくのかは、子ども側の選択だと思うんですね。それこそ、きょうだいでも、まったく似ていない場合があるわけですから。ただ、だからといって親が手抜きしていいかというと、そうでもなくて、できることを親なりにやって、「後は子ども次第」と心がけていることが大事だと思います。親子だけでなく、恋愛でも、夫婦でもそうだといえると思いますが、診察していて思うのは、「お互いのことって本当にわからないものなんだな」ということです。それは「わかりあえないからダメ」と思うのではなく、「しょせんは他人なんだから」と心がけておくのが大事だということです。
親子といえども所詮ひとりの個、性格だって育つ環境だって親とは違うわけで、親の思うように育たないのは仕方がないこと。僕も父親が高学歴なので、僕も同じようなレベルの大学に受かればいいなと思ったがどうも勉強が苦手。結局二浪の末、夜間の大学にしか受からなかった。遊んでいたせいもあるが、そんなもんだ。大学に入ってもこの勉強嫌いは治らず、昼間サークルの部室を訪れると数人の昼間の大学生の友達とたわいもない話をして気づくと夜間の授業が始まる時間に。それでも自主休講とか言って、友達とおしゃべりし続けた結果2年で大学を中退。そのときやっていたバイトに心血を注ぎ契約社員になり店長にまでなるが、統合失調症にかかり再びドロップアウト、転職も病気のおかげであまりうまくいきませんでした。流れに身を任せて自分というものを持っていなかったせいか、失敗の連続。父親の影響を受けたことといえば、趣味にはお金を使うということぐらい。
恋愛・結婚
患者さんに、「自殺したくなるほど、それほど好きだったの?」と聞いてみると、意外にそうでもなかったりするんです。「その人のために自分が死ぬような価値が、その人には本当にあるんですか?」 と聞けば、 「いや、そうでも……」とかいう答えが返ってくる。じゃあ、なんでそうなるのかといえば、たとえば、「自分がフラレるなんて許せない」みたいな、自分にある種のプライドが強くあり過ぎたりする場合が多い。「その人にフラレた」ことではなく、「フラレた」っていうこと自体が許せないタイプです。それから、「ただ執着している」のか「本当に好き」なのか、よくわからなくなっている場合もあります。そこで、「その人じゃないとダメだという理由が、本当にありますか。どうして、その人がそんなによかったんですか?」と少しずつ聞いていくと、「理由は……あんまりないですね」という話になったりする。当てつけというか、「悔しいから死んでやる」という心境で、「彼をギャフンと言わせたいから、リストカットして病院に運ばれてみた」というパターンもあります。 「もし万が一、そこでやりすぎて死んじゃったらどうなるんでしょう?」と聞くと、「死んだら向こうはすごく後悔して、 悶え苦しむからいい気味だ」という答えが返ってきます。 「その悶え苦しむ姿は、あなたが死んだらもう見えないかもしれないですよね。死んでしまって、別の世界があるとして、そこに行ってから『しまった!』と思っても、もうこの世界の様子は見えなくて、彼が本当に苦しんでいるかどうかわからないじゃない」と言うと、「あ、そうですね」とか言って我に返ったりする。
失恋して死にたくなるほどのきつい思いをしていると、実際死んでしまったらどうなるのだろうとか考えたりする。僕は恋愛経験は少なく女友達はいたが、そこから恋愛に発展したのはわずかに2例だけ。相手を振る方と、振られる方、両方経験しました。振られてみてわかったのは、相手を振る時は圧倒的にもう無理と思わせるように振らないとダメということ。変に可能性を匂わせるとあとで痛い目にあいます。
著者の半生を振り返りながら恋愛、仕事、別れなどを分析。タイトルに「だましだまし生きる」とあるようにうまくいかないもどかしさを、成功した人でも抱えているのだなと親近感をおぼえました。
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