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「面積あたりのGDP世界1位のニッポン 地震と火山が作る日本列島の実力」地震大国ゆえに享受しているもの

GDP世界トップ10の中での「面積あたりGDP」順位――1位:日本、2位:イギリス、3位:ドイツ。M6以上の地震の約20%が集中するといわれる日本。実は、それゆえにエネルギー、鉱物資源、水、温泉、地熱、海底資源など大きな恩恵を享受している。日本を「面積あたりGDP世界1位」にしている要因を徹底解剖紹介する書籍。

水資源豊かな日本列島の秘密

突然、天から度を越した淡水が供給されると、気象庁は「かつて経験したことがない豪雨」といった表現とともに警報を発する。しかし逆に考えると、例外的に局所を襲う集中豪雨を除けば、日本は淡水の恵みを常に享受できる国でもあるのだ。

世界の年間平均降水量880ミリに対し日本は1,717ミリに達する。これは熱帯雨林気候の代名詞でもあるアマゾン流域のジャングルを持つブラジルでさえ、大差ない降水量だ。そもそも世界の水事情がどうなっているのか、多くの日本人は関心がない。生活に直接関係する水(淡水)がどれほどあるかというと、全体の2.5%にしかならない。日本なら少し歩けば一級河川に出会えるが、地球上における河川水の割合は、たった0.00016%足らず。豊かな淡水に恵まれた日本の常識が世界の非常識であることがわかる数値だ。この淡水を商売にしたのがミネラルウォーターだ。ガソリン1リットルが120円程度なのに対し、ミネラルウォーターは500mlで100円以上する場合も。組み上げる設備への投資は置いといて原材料の水はタダである。うまい商売を考えたもんだ。銘柄も多彩で、サントリーは「天然水」シリーズ、日本コカ・コーラは「い・ろ・は・す」と「森の水だより」、アサヒ飲料は「おいしい水」シリーズなど挙げればきりがない。

温泉天国日ニッポンの全貌

二〇一四年度の全国延べ宿泊利用人員は、約一億二八〇〇万人と集計されている。宿泊料を安く見積もって一泊あたり一万円とすれば、総額では一兆円を超す巨大産業となる。このように温泉観光一つとってみても、日本の経済において、火山活動や活断層が無視できない存在となっているのだ。

もっとも宿泊利用人員が多いのは北海道で、次に静岡。両地域とも延べ年間一〇〇〇万人以上の集客力を誇っている。上位に地域に大きく水をあけられて、長野、神奈川、群馬、大分、栃木、兵庫、和歌山、福島と続き、延べ四四〇万〜七六〇万人の人が訪れる。これらの温泉は必ずしも活火山と結びついたものではないが、そういった地域の兵庫や和歌山も活断層に起因する温泉であり、地震災害と無縁とは言えない。

再生エネとしての地熱の優位性

人間活動に伴って大気中に放出される二酸化炭素やメタンガスの増加は、大気による温室効果を加速した。それによって地球温暖化問題が世界を席巻した。(中略)電気エネルギーの獲得には、化石燃料を大量に消費する火力発電(石油・液化天然ガス・石炭)が大きなウエイトを占めている。そこで、二酸化炭素を大量に排出しない原子力発電への移行が各国でも進みつつある。とりわけ日本は、地球温暖化問題を契機に、原子力発電所に対する依存度が大きくなった。そう言った状況下、二〇一一年三月一一日に発生した東日本大震災によって、電力情勢は一変した。

地熱発電では、蒸気発生ボイラーを地球に肩代わりしてもらうため、燃料費が一切かからない。しかも、排出される二酸化炭素も火力に比べ少ない。メリットも多い地熱発電、政府の補助金がカットされたことなどの国内事情とは裏腹に、地熱発電用の蒸気タービンは、日本企業3社(三菱日立パワーシステムズ、東芝、富士電機)が世界シェアの約70%を誇っている。ハード面では、世界に遅れをとっているわけではなく、むしろ世界をリードしている。施設が比較的小規模で済み、地熱発電のメリットでアルベースロード電源としての役割も期待できる。しかし他の発電所と違って、地下の熱水貯留状況を十分把握できないと発電規模が確定しなかったりと建設コストが原子力や石炭火力発電の倍以上かかるなどの問題点も。

減災で日本は環境資源大国へ

日本のような「自然災害の巣窟」では、いってみれば「ハイリスク・ハイリターン」の宿命を背負って生活せざるを得ない。だからといって、座して死を待つ必要もない。たい規模自然災害の場合、その規模の大きさゆえ、完全なリスクヘッジが不可能なのは確かだ。だから、防災という言葉は似つかわしくない。しかし、完全とまではいかないまでも、生命を脅かす壊滅的な自体だけでも避けること、すなわち減災ができれば、被害ウィ最小限にとどめ、再起への可能性が残せる。自然に対する畏怖の念とは、現代的に言い換えれば、減災思考そのもので、触らぬ神に祟りはないのだ。

確かに自然の脅威は時として人命を脅かす。しかし、昔から自然に対する畏怖の念は日本人の心の中に存在する。地震や火山の噴火が起こった時、最小限の被害で済むよう、建物の耐震性をあげ防火性能を上げていく。土砂崩れなどが起きないよう乱暴な土地開発を行わない。など自然の恵みを享受しつつ減災対策を怠らないことが重要だ。

面積あたりGDP世界1位と「まだまだ捨てたもんじゃないぞ日本!」。僕たちが当たり前のように享受してきた大地や山からの恵みは、他の国にはない大変貴重なもので大事にしていかなくてはならないと思える書籍でした。

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