「若者の○○離れ」というのをよく聞くが、人口ピタミッドが逆になりボリュームゾーンが高齢者よりになった今、実はそれは〝社会の若者離れ〟であり、その原因や背景を読み解くことは、若者にとってだけでなく、われわれ大人や社会、ひいては日本の未来のためにも重要なことである。若者が何を考え、何を欲しているのかが図版入りで詳しく解説された大人たち必見の書籍。
若者の「量の影響力」の減少
「量の影響力」とは、「ターゲットボリュームとして大きな世代である」「選挙において無視できない票数をもっている」など人数規模の大きさによる影響力をいう。その若者の「量の影響力」が減少している今、「どうせ若者は少ないから、彼らをターゲットにしても、数売れないでしょ」「若者向けの政策をつくっても、得票数はあまり変わらないだろう」と無視しても差し支えない程度しかいないし、労力をかけて向き合う価値がないといった状態が、様々な場面で起こっている。社会全体が「高齢者最適化」されていく中、結果として若者向けのサービスや商品、社会の仕組みが減ってきている。すっかり定着した「若者の○○離れ」というフレーズだが、若者から言わせれば、「そもそも僕らの方を向いてないでしょ?」「離れているのは大人の方じゃないの!?」という心境ではないのか。
若者の少数化を大きな要因として、「社会の若者離れ」という現象が起きているといえます。
海外の様子と比べて見てみる
「ミレニアルズ」聞きなれない言葉だが、アメリカで1980年代から2000年代前半に生まれた世代の呼称で、SNSを使いこなし、異文化への寛容性が高く、社会貢献意欲が高いなど、日本の今の一般的な若者像と重なる部分も多い。一方、ミレニアルズは「量の影響力」をまだ持っているところが相違点だ。日本と違って「社会の若者離れ」は起こっていない。そしてもう一つ特質すべき点は、それ以前の世代では思いつかなかったような独創的なアイディアで、事業や商品を創造している点だ。Facebook創業者マーク・ザッカーバーグ、Airbnb創業者ブライアン・チェスキー&ジョー・ゼビア、Oculus VR,Inc.創業者パーマ・ラッキー、Snapchat創業者エヴァン・スピーゲルなど彼らに共通している能力の一つが、「前提打破力」だ。
日本は「若者の可能性を、社会に活かせない仕組み」に陥っているおそれすらあるといえます。
各国の起業率を見てみると日本はワースト2位。
日本社会が若者離れしているのと同様に、「センスが古くてガラパゴスだし、大して数もいない」という理由で、「世界が日本離れ」していくおそれすら十分にあると感じます。
情報革命以後のセンスをうまく取り入れられるかどうかは、若者の「質の影響力」をどのように生かすかにかかっている。
コミュニケーションで見た若者まるわかりクラスター
- 自己プロデュースキャラ
- SNSめだちたがり
- 超リア充
- みんなのムードメーカー
- マイペースキャラ
- 正解さがしさん
- ガチオタ
- ネトゲ充
- ぼっちキャラ
- 大衆キャラ
自分の周りにいる若者を想像しながら、この10通りのキャラを見ると面白い。今の若者はSNSを通じた発信により自己表現を行い、〝見られている意識〟に行動が規定され、他者がみる自分のイメージから逆算した振る舞いをする。
不況生まれ〝デフレ育ち〟は意外にも不満が少ない…ただ不安
今の若者は生まれてすぐにバブルが崩壊、もしくわバブル後生誕で景気のいい時代を知らずかわいそうという大人がいるが、意外にも若者達は5人に4人が「生活に満足してる」という高水準だ。一方、老後などには不安を抱えている。
〝競い合わないこと〟がデフォルト
「競争」の要素が減り、切磋琢磨するより手を取り合って周りと仲良くしたい、仲間との連帯感を大事にしたいという価値観が強くなり、〝競い合わないこと〟がデフォルト設定に。
同期はライバルというより仲間だと思います。負けたくない気持ちもなくはないけれど、それを表に出して、雰囲気が悪くなるのは嫌です。
ネットワークを利用したゲームで力を合わせて強敵を倒したり、授業や就活情報をSNSで共有したり。〝競争よりも協調〟というのが今の若者。
目的を効率よく達成し、楽しく生活していくためには仲間が大切だから、「仲間とうまくやること」が大事だと思っている
同調圧力
「まだ◯◯してるの?」「◯◯◯をまだやってるなんて遅れてる」など周囲にいる人に対して自分と同じであることを強いる「同調圧力」。ネット社会で育ってきた今の若者達は、その同調圧力をさらに色濃くしてしまう可能性がある。5人に2人が〝つながり疲れ〟を感じているのもこれが原因だろう。
大人はどんなスタンスで向き合えばいい?
- 〝誰かが〟ではなく〝私が〟で向き合う
- 〝集団〟ではなく〝個〟に向き合う
- 〝上から〟ではなく〝尊重〟
- 〝Whyなき命令〟ではなく〝Whyの共有〟
- 〝こちらの論理〟ではなく〝共有の論理〟
さらに若者を動かしたいときは、彼らの中の「3人の自分」(世の中における自分、内輪の中の自分、純粋な自分)から「アリ!」をもらえると実際の行動まで変わってくるという。
若者の生態やなんかをわかりやすく書いた本だが、これアラフォーの僕にも当てはまるなという点がいくつかあり、面白かった。若者離れ度チェックなどもあり、飽きさせない作りになっている。若者論を論じた本は多いがわかりやすく今の若者をどう動かすかまで書いた本は珍しいと思います。
【サブスク】 Kindle Unlimited
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