億万長者になってセレブのような生活を送ることは誰にでもできるわけではない。しかし、自分と家族のささやかな幸福を実現することは、決して難しくはない。日経新聞に連載されていたエッセイを書籍化した『雨の降る日曜は幸福について考えよう』の文庫版、改題されています。人生設計を再構築する方法を凝縮した著者の今までの主張をまとめた書籍となっています。
宝くじの期待値と保険の重要性
日本の公営宝くじは、利益の約半分を宝くじ協会が持っていく恐ろしく割りの悪いギャンブルだ。同様に日本の定期保険も保険料の五〇%近くは経費に消えていくという(保険会社は保険料の内訳を公表していない)。
日本人は保険と宝くじが大好きだ。そして喜んで損をしている。やはりこのふたつはよく似ている。
宝くじの期待値は競馬や競輪などの公営ギャンブルとほぼ同じだが、買わなきゃ当たらないと思うとついつい買ってしまう。僕の場合は特殊なケースなのかもしれないが、病気(統合失調症)で3ヶ月間の入院を2回経験しているので保険については元を取っている。いざという時のためにあるのが保険なので、著者のように保険嫌いの人やいざ病気で入院といった時にお金を無理なく用意できるだけの年収のある人には必要ないものかもしれない。
不安をネタに商売する輩
「退職までに1億円貯めれますか?」等老後を豊かに暮らすための金額を多めに見積もり不安を煽る。保険会社、不動産会社、健康産業からマルチ商法、新興宗教まで、進化したものでは「新たな教育システムを開発した!今、500万円支払い共同経営者になれば今後年収2,000万が見込める!」なんて与太話をする輩も出てきた。本当に儲かる話なら、他人に勧めたりせずに自分で投資するよね普通。引っかかるのは坊ちゃん嬢ちゃんばかりだ。年金制度が信頼を取り戻すまで、こういった荒唐無稽なホラ話が効力を失うことはないだろう。不安ビジネスはまだまだ終わらない。
国民年金は払っておいたほうがいいよというお話
国民年金の場合、将来の保険料引き上げを考慮しても、支払った額以上の年金が戻ってくる可能性が高い。そのうえ保険料は全額、所得から控除され、受給時にも公的年金控除の適用が受けられる。いずれも民間の保険会社ではあり得ない大盤振る舞いだ。国民年金を支払うのは、経済的に合理的な方法なのだ。
社会保険庁は「厚生年金は大損だが、国民年金は絶対儲かる!」と大々的に宣伝したらどうだろう。少なくとも、国民年金の空洞化は解決に向かうに違いない。
国民年金を遡って納付もできる『後納制度』とは、時効で納めることができなかった国民年金保険料について、平成27年10月から平成30年9月までの3年間に限り、過去5年分まで納めることができる制度。こういった制度もあるので今まで払っていなかった人も払っておいたほうがいいよというお話。
自己資金一千万でのマイホーム購入はハイリスクな信用取引と変わらない
ワンルームマンションを個人投資家向けに販売するケースだが、機関投資家やプロの投資家が目をつけなかった物件が果たして儲かるであろうか?ちょっと考えれば分かるだろう。
五千万円のマイホームを購入するのに、ほとんどの人は一千万円の自己資金しか用意しない。残りの四千万円は住宅ローンで借りるからだ。誰もが当たり前と思っているが、やっていることは不動産を投資対象とするハイリスクな信用取引と変わらない。
こういった、高額な住宅ローンを躊躇なく借りるという風潮はここ日本で未だに持ち家至上主義的な考えが蔓延ってるから起きる、不思議な現象だと言えよう。
非合法ビジネスの合法化
現在非合法なビジネスで闇に消えていっている額は十兆円とも言われている。これらのビジネスを合法化して一般企業の参入を認める。そうすることで巨額の収入に課税できるばかりか消費者の利便性は向上する。資金源を失った組織暴力団は衰退していくという著者の主張。しかし、麻薬など奨励できないものまで合法化するのは如何なものか。薬物依存などもすべては自己責任ということになると、意識を高める教育なども必要になってくるので、すぐには施行できないのが現状だろう。
刺激的な物言いの多い著者だが共感できる考え方も幾つかある。氏の主張がコンパクトにまとめてあるので初めて読む人には最適かもしれない。
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