日本もアメリカも、政治経済はめちゃくちゃで、モラルもなにもあったもんじゃない。 「ヤンキー」と、言い訳する「大学出」ばかりで、この国にはもはやほんものの知性は存在しないのか?吹き荒れる「反知性主義」の実態は、思想ではなく単なる気分に過ぎないと看破し、世界が壊れゆく歴史的転換を柔らかに読み解く。 もやもやを晴らす快刀乱麻の書!
自分の正当性を疑わない
そういう私が「自分の頭で考えたい、考えてもいいんだ」と思ったことが何かと言えば、それはもちろん「自分のこと」なのだが、でも私は「自分はなにものだ?」などということは考えない。私にとって「自分自身」はあまりにも明確ではっきりしていて、揺るぎようがないから、疑問の持ちようはない。問題はその先で、「自分は明確ではっきりしているのに、なぜ外部とぶつかると〝へんな奴〟になってへんな齟齬が生まれてしまうのか?」ということで、私は「自分自身の正当性は疑わないが、他人の正当性は疑ってしまう」という、とんでもない人間なのだった。
多くの人は自分の正当性は疑わないのではないかと思う。犯罪者だって、明らかに法を犯していても自分の正当性を語るものも多い。僕自身の物事の捉え方だって自分のいいように捻じ曲げ自分を正当化するということはよくある。大学を中退したのだって、単位を落として留年すると一年ぶんの授業料が余計にかかるという理由とこのまま大学に残っても留年じゃろくな会社に就職できないと言い訳してフリーターの道まっしぐら。当時働いていたアルバイト先が大手ゲーム会社だったので、そこで契約社員となり店長にはなったものの統合失調症を発病し職場にいられなくなり、ライバル会社系列の上場準備中のベンチャー企業に正社員として転職するが馴染めずにすぐ退職。その後、何度か正社員登用を目指し転職を重ねるが採用後に馴染めないという壁にぶち当たり病院通いに。幻聴や幻覚、幻臭に悩まされほぼ発狂状態で、病院に入院(3ヶ月)も2回することに。
現在は症状も安定してきてこうして本を読んだりできるようになったが、発作が起こると、じっと本のある一点を見つめてフリーズし本を読む速度が超鈍足に‥‥。そんな僕でもブログに一定数のリピーター(少数ですがww)がいるのをいいことに書籍代がかかることを正当化しています。
おしゃれなブランドタウンとは名ばかり
もう三十年近くも前だが、昭和が終わりかけていた頃、私は不動産屋に連れられて東京の代官山へ物件を見に行ったことがある。地方出身の若い不動産屋の社員は、代官山を「おしゃれなブランドタウン」と信じて疑わず、「代官山なのに、安くて手頃な物件がある」と言って連れて行った。それまで私は代官山に行ったことがなかった。代官山は住宅地で、そこに知り合いでもいなければ行く必要もない。だから知らない。連れられて行って初めて代官山を見た私は、「よくある東京の住宅街じゃないか」と思って、「昔の原宿はこんなだったよ」と言った。
若者に人気のおしゃれタウンは他にもあるが、若者が大挙して訪れることで住んでいる人は若者の群れで車庫入れができないとか某河川から異臭がするとか案外不満も多いようだ。おしゃれタウンとは名ばかりで、大挙して訪れその地域を支えているのは東京都外からの遠征組だったりする。住んでる人は以外に自分の地元に対しておしゃれタウンであるという自覚はないようだ。メディアによって作り上げられた偶像に過ぎず、おしゃれタウンの路面店は軒並みネット通販に取って代わられ苦戦を強いられている。都内で地価が高く、住んでいる人の収入が比較的高いため値段設定が高めなお店でもやっっていけるだけのこと。
自分のことをなんて呼ぶか?
小学生の私は、「俺」という一人称の主語に「自分で自分自身を宰領出来ている大人っぽさ」を感じている。初めは「柄が悪い、不良っぽい」と思われはしても、それを突き抜けてしまえば、自分自身のことだからどうということもない。「ちょっと不良」である「俺」という主語は、「ちょっと大人の自分の一人称」でもある。そう感じてしまうと、自分の周りにいる「いつまでも一人称が〝僕〟の人」がへんに見える。「大人になっても〝僕〟なのか?〝僕〟は子供の使うものだぞ」と思う。「僕」という一人称を使っている男の大学生なんかを見ると、「大人なのになよなよして女みたいだ」と思ってしまう。
僕の場合は「僕」と「俺」のハイブリッド。文章を書くときの一人称は「僕」で会話の時は「俺」と「僕」の混合。「僕」が「大人なのになよなよして女みたいだ」というのは言い得て妙だが、「僕」という一人称はソフトに聞こえる効果があるように思うなので文章を書く時は僕は「僕」。
反知性主義を語る本書だが脇道に逸れた部分が案外面白い。メインの論理は一本線で少し小難しい本となっているが、さほど構えずに読むことができたのは脱線にあるように思う。
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