元気に若々しく老いを迎えるために、誰でもできること、それが口腔内細菌の働きをよく知り、口の中の状態をよくすること。最新の研究成果から、口腔内の細菌の恐ろしさ、菌血症になる原因、そして栄養学でぜひとも見直すべき点、さらに口腔内環境をコントロールする具体的方法、生活習慣、などをみていく。
口内の糖質と細菌が、血管を滅ぼす
現在では、私の所属している歯学部の教室にも遺伝子解析シークエンサーがあり、DNA解析ができるようになっています。臨床のデータと手を組み、調べを進めていくと、「やはりホシ(真犯人)はヤツ(歯周病菌)だった!」というようなデータがどんどんでるようになった。これはここ数年の話なのです。
臨床の現場では「歯を抜いたら体が元気になる」ということがしばしば起こる。治療せずに残しておくのが体には一番悪い。口腔内の病気から、細菌が血管に侵入、そこから体の調子が悪くなるといった寸法。多くの葉を残しておいた方が良いという考えには逆行するが、朽ち果てそうな歯は抜いてしまって入れ歯にした方が良い。入れ歯にしたら帰って元気を取り戻す人も中にいる。しかし、入れ歯はメンテナンスが面倒だしできればお世話になりたくない存在だ。僕も父親も最近、部分入れ歯にしてぴったりに作ったせいか取り外しが面倒だと言っている。僕自身の話でいうと、右下の奥から2本目が歯茎部分を含め歯周病になっており、毎日、歯間ブラシで根元の部分にぐさっと刺して掃除しているがこれが歯周病なのでなんとも臭い。一応歯は抜かないで歯茎が残っている間はギリギリまで粘るという治療方針で治療をお願いしているが、一年のうちかなりの期間を歯医者で治療を行わなくてはならない。これも若い頃、歯のメンテナンスをおこたってきた報いだ。
口内の細菌が全身で起こす慢性炎症
ガンと菌血症についても、新たなことが判明しています。これまでがんという病は、発がん性物質や紫外線、ウィルスなどが原因で、遺伝子に傷がつき、欠損・変異した細胞が増殖することで起きるとされていました。例えば、子宮頸がんの原因であるパピローマウィルス。これによるがんの場合には、病原体となるウィルスがヒト遺伝子の中に入り込むことによってがん化する、という説明です。その現象ももちろんあるのですが、もう一つ、「慢性炎症による遺伝子のメチル化」という現象が、ガンを発生させていることが明らかになってきたのです。
これまでは、がんや生活習慣病を抑制するためには、酸化を防ぐ抗酸化が重んじられてきたが、最近では抗炎症=アンチインフラメーションというアプローチも必要だということがわかってきた。そしてこの慢性炎症を防ぐには、虫歯や歯周病にならないように、生活習慣を改めることが必要となってくる。歯ブラシでの歯磨きだけではなく歯間ブラシやデンタルフロス、液状の薬用マウスウォッシュなどを併用する必要が。面倒だが、80歳で20本の歯を残そうという歯科業界の標語からもわかるように、習慣付けたいものだ。繰り返し行うことでだんだん面倒くささがなくなり、習慣としてインストールできます。
厚生労働省が展開している「健康日本21」では「6つの生活習慣」として「栄養」「運動」「休養」「喫煙」「飲酒」「歯の健康」を明示している。歯の健康が加わったのは2000年のこと。口腔内の環境が健康に影響を与えることは17年前から言われていたことだということがわかる。喫煙や飲酒が習慣になっている人にはそれを止めるにはかなりの努力が必要だが、歯の健康を意識するくらいなら手軽にできる。僕は半年に一回定期検診を受け、ついでに歯のクリーニングを行っています。特に痛いところがなくとも歯周病はしっかり予防処置をすることが大事。とりあえず歯医者に行ってみよう。
白米は歯にとって大敵!?
私たち人間は、米や芋などは加熱をしないと食べられません。非加熱のデンプンは、硬いβデンプンですが、加熱すると柔らかいαデンプンに変わります(これを糊化といいます)。柔らかくなったαデンプンは唾液のアミラーゼ酵素で分解されやすくなりますが、それによって多糖類が二糖類の麦芽糖に分解されるために、悪玉細菌のエサになってしまいます。つまり、炊きたてのほかほかした白ご飯は、歯にとっては大敵、ということです。
人間も猿のように生の食材ばかりを食べていれば虫歯になりにくいのですが、それはできない。ある意味健康的とも言える冷や飯だが、電子レンジの普及以後は、温めて食べるという習慣がついた。温められたデンプンは再びα化し、口腔内細菌は餌が増えて大喜びに。
私たちができるのは、多様な食材を偏らないように取ること。いくら白米が好きだからと行って大量に摂取していては糖質の摂りすぎになる。多様な栄養素を撮ることは食品による害のリスクを分散することにつながる。ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源だから糖質は必ず撮らなければならないと勘違いしている人もいるが、糖は体内でも生成でき、脂肪由来のケトン体もエネルギー源として使うことができるので、あえてブドウ糖を摂取する必要はないのです。ケトン体については『ケトン体が人類を救う』『この食事で脳が若返る』でも触れているので興味のある方はどうぞ。
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