かっこよかったものがかっこわるくなる。新しいものが古くさくなる。スティーブ・ジョブズに代表されるように、毎日違う服を着てお洒落を楽しんでいた時代から、毎日、黒のタートルネックにデニムといったノームコアへと変遷。相変わらずパリなどのファッションショーでは奇抜なファッションが提案されるが、大衆はそれを冷めた目で見ている。明らかにかっこいいの基準が変わってきているのだ。そんな目線で「消費」「世代」「少子高齢化」「家族」「都市」などを見ていく書籍。
「楽しい」から「うれしい」へ
今、人々はいかにお金を使わずに幸せになれるかを考えています。たとえば、住宅ローンを組むのをやめて、中古住宅を安く買ってリノベーション(大改造)しよう、とか。外食を減らして、家に友人を呼んで、食べ物は持ち寄りにしよう、とか。赤の他人が食べ物を持ち寄って一緒に食べることを一種の街づくりにしている例もあります。
「楽しい」は一緒にいいお店で外食し、話が弾んだりすること、一方、「うれしい」はもちろんお店や料理も良かったけど、なにより会えて良かったなあという気持ち。バブル期はこの「楽しい」ことがたくさんあった時代で、現在はそういった価値観ではなく「うれしい」に代表されるような気持ちが求められている。
自己拡張感から自己肯定感へ
そして物を買い換えるとき、もっと大きな物に買い替えるのが普通でした(→自己拡張感から自己肯定感へ)。最初に買ったクルマはスバル360、次はトヨタパブリカ、そしてカローラ、コロナ、クラウン、最後はベンツと買い換えていく。テレビも最初は14インチだったのが、21インチ、28インチと買い換えていく。経済成長の中で給料もベア20%、定期昇給でさらにアップしていた時代でしたから、どんどん大きな物に買い換えるのは当然のことでした。
しかし経済成長が横ばいとなった今、昔のようにはいかない。退職金で外車でも買おうかと目論んでいても老後に備えるためと〝嫁ストップ〟がかかる。上の例でいけばクラウンの後、ついにベンツといったところで、現実を見て夫婦にはちょうどいいサイズのヴィッツや燃費のいいプリウスなどが候補に上がる。クルマのエンジンに「ダウンサイジング(ターボ化して効率を上げ、排気量を下げる)」という言葉が使われるようになったのもこれと似ている。世の中に溢れる物の中には明らかに過剰と思われるスペックの物も多く、そういったものより物より安価な自分サイズな物を求める人が増えているのだろう。物を買わない人の方がお洒落でかっこいいと思われる時代に突入し、所得が多い人もむやみに物を買わなくなったということも消費不況の一因だ。
LPレコードの人気が復活!!
最近LPレコードの人気が復活しています。スマホにダウンロードできる時代なのに、わざわざ中古LPを買い、プレイヤーを買い、アンプを買い、スピーカーを買って音楽を聴くのです。
レコードは聴くときにノイズが入りますが、それも味。一般的なCDやダウンロード音源と違い「音圧」があると言われ愛好家も多い。僕も一時期テクノやベースミュージックを聴くのにレコードを収集していた時期があった。CDやダウンロードでは聞けない音源という物も多く所有欲を満たしてくれるちょっとした趣味として楽しんだ。しかし、新譜を買うと両面で約4曲(10曲ぐらい入ったLPもあるが僕の買っていたのは12インチシングル盤)、値段は1,500円前後で一曲あたり400円弱と決してコストパフォーマンスが良いとは言えない。今はレコード代に費やしていたお金はすべて読書へ。またいつか自分的にブームが来るかもしれないので機材は捨てずにとってある。
両親が60代の女性にたずねてみる
「おかあさんはルイ・ヴィトン持っている?」答えはイエス。たくさん持っているそうです。60歳というと、学生、OL時代にこぞってルイ・ヴィトンを買った最初の世代ですからね。「あなた、デートするとき、彼氏に車で迎えに来て欲しい?」「はい!来てほしいです。こんなこと言うと引かれますが、アウディで来てほしい」
なんということか!?これが隠れバブル。両親を通じて伝わったバブル時代の価値観。という僕もバブルの残り香を嗅ぎながら学生時代を過ごした世代なので消費意欲は旺盛な方だ。(無い袖を振りながら消費しております)
中年男性二人連れ
実際、学生ならともかく、われわれ中年男性がアフターファイブに二人で、特に銀座のような街を並んで歩き、イタリア料理店で一緒に食事する、なんて言うと、以前はゲイかと思われたでしょう。ゲイとまでいかないまでも、とにかくなんだかみなれない風景でした。だが、40歳過ぎても未婚の男性が増え、会社の同僚などでなくても、男性二人連れでイタリア料理店だろうが、ケーキ屋であろうが、入ることが珍しくなくなってきました。
統計を見ても45〜49歳の未婚男性は、2005年の68万人から2015年の108万人まで増えています。「おひとりさま」の増加がこういった現象を引き起こしているのだろう。流行りの店やなんかで行ってみたいと思っても「おひとりさま」じゃなんだか気がひける。そういった需要が中年男性二人連れがよく見かけられるようになった背景かもしれない。
第3章からは少子高齢化の男女と家族を見ていく。3人の高齢者がひとりの若者を支えるというのはなかなか妙案だ。第4章では都市や街はどう変わっていくべきかを論じています。
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