「恨み」「妬み」「嫉妬」と言ったネガティブな感情とどう戦っていくか、科学で解明していくということでこの本をでに取った。
「恨み」とは怒りをもたらした出来事を反すうせざるをえない状態としている。「不当な扱いや侮辱、人格の否定などの経験の背景にある不条理さの感覚は払拭し難く恨み」の原因となる。自分を侮辱してきた、不当な評価を下してきた相手を見返そうとしても、徒労に終わることが多く、現実的には難しい。
代理報復と集団
ツイッターなどで不用意な発言をしたアカウントを大人数でリツイートしてやり玉に挙げる「吊るし上げ」ならぬ「晒し上げ」も、こうした制裁を意図してなされているように見えます。特に、自分自身が必ずしも傷つけられたわけでないのに、道徳や習慣に背いたからと多数の人が力を合わせて制裁を与えている状態、つまり「代理報復」が行われているとも解釈できます。
このように、自分とは関係ない誰かが吊るし上げられたり、不幸になっていくのを見て、喜ぶという風潮はちょっと違うなと思う。ある実験では知的能力が低かったとフィードバックを受けた人(自信喪失気味の人)の方が、さらにプライドを傷つけられると、全然関係のない他人の不幸を喜ぶ傾向があるという。
なぜリア充が気に入らないのか
SNS用に演出された幸せと分かっていても、それを大量に見せつけられたら、自分だけがつまらない生活をしているかのように感じ、「妬み」の感情がが生まれる。
フェイスブックは、自慢話をする場所としては、実に便利なSNSかもしれません。「いいね!」がつくか、ポジティブなコメントがつく場合が多い、良くも悪くも生ぬるい世界だからです。
フェイスブックがこうった使い方をされるようになってきたので、「フェイスブック疲れ」などという言葉が出てくるようになった。僕は使い始めてすぐメリットも少ないので退会しました。収入面での「妬み」をうまく和らげる仕組みとして「累進課税」があり高額所得者ほど担税力(税金を負担する能力)があり、税金による低所得者への再配分効果によって課税の公平が保たれている。
「妬み」について3章では脳科学の視点から、4章では心理学の視点から書かれている。5章ではあの人は罰を受けて当然?という「いじめられる側にも理由がある」という心理について語られている。6章の中でなぜ既読スルーが許せないのかを心理学の視点から書いてあり、リベンジポルノやストーカーなど愛が憎しみに変わるときについても触れておりなるほどと頷けた。7、8章では脳科学の視点から嫉妬やネガティブ感情の意味について触れている。
受け入れてくれる場所がなくても、今生き残っているということそのものが結果ではないでしょうか。生きてるだけで勝利です。なぜなら、生物は生き延びることと子孫を残すことがミッションです。今まで生き延びた、ということがこれまでの進化の歴史の結果と思えば、あとはボーナスゲームです。だとしたら、より楽しいことを見つけておもしろく生きたほうが得ですね。
2度の自殺未遂を経験したことがある僕にとってはこの文章が突き刺さった。今生きていて楽しいことをやっているだけの僕も、それでいいんだと思えた。最後は脳科学者の中野信子さんと心理学者の澤田匡人さんのネガティブ感情との付き合い方について対談方式で語られてこの本は終わる。
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