日本史なんて受験以来だが、ペリー提督率いるアメリカ艦隊が浦賀に現われてから163年。開国からTPP交渉まで日米の外交の駆け引きが学べる近現代史の書籍。全編通して硬い印象を与えないためか、こぼれ話の類もふんだんに盛り込んである。気になったことを中心にピックアップしていこうと思う。
ウォールストリートの語源
オランダ人が、1613年に先住民からマンハッタン島を購入してニューアムステルダムを建設したのがニューヨークの始まりで、その防衛のため築かれた城壁(ウォール)が金融街ウォールストリートの語源だそうだ。
ブロードウェイの華麗な行列
「西の海を越え、遥かなる日本からアメリカに渡ってきた、頬は日焼けし、刀を二本さした礼儀正しき使節よ、幌もない馬車上に身をゆだね、帽子もかぶらずに堂々と、この日マンハッタンの街をゆく」
アメリカの詩人、ホイットマンの『ブロードウェイの華麗な行列』という詩である。パレードには東方の神秘の国から来た日本人を一目見ようと50万人もの人が集まったという。幕府から来たのは超エリート。正使及び副使に加え、福沢諭吉や勝海舟、ジョン万次郎などもいた。
日米関係(外交)を評価すると7勝3敗
- 開国(1853~58)和親条約も修好通商条約もアメリカ主導で進んだが、イギリスと先に交渉するよりはマシということでB
- 条約改正(1871~1911)治外法権や関税自主権の回復のための交渉は難航したが、1911年に関税自主権が回復したのでB
- 桂・タフト協定(1905)日露戦争の終結にアメリカが尽力。極東における両国が互いに地域を分担し平和維持に当たることを確認したのでA
- ワシントン体制(1921)日英同盟から理想主義的に他国間条約での平和維持にシフトするが、機能せず、戦争の遠因となったのでD
- 太平洋戦争(1941~45)軍の一部の跳ね上がりを抑えきれず自滅。アメリカも日本を追い詰めすぎ、終戦決定を早める配慮に欠けたので双方にとってE
- 米軍による占領政策(1945~52)ポツダム宣言で想定された以上に強引でアメリカのリベラル左派の主張に沿って日本改革が行われた。無用に保守派を反米化し、左翼の不均衡に甘かったが、良かった面もあるのでB
- 新安保体制の確立(1960)自由主義陣営からの離脱の危険もあったが、新安保体制の樹立で危機を乗り切れたのでB
- 貿易自由化と沖縄返還(1960~72)佐藤首相による巧妙な政治力で沖縄返還を実現したのでA
- 通商摩擦(1980~90年代)アメリカ経済が低迷する中、日本経済は絶好調に貿易摩擦が拡大し、日本ではバブル経済に陥り経済成長の力を失いC
- 中国の台頭と日米同盟(21世紀)中国の台頭とともに通商摩擦は緩和。日米中の関係は複雑化したがようやく日米同盟の深化の方向性が示されたのでB
というのが著者の評価(ABが勝利、CDEが敗北)で7勝3敗。外交上の駆け引き等、普段はあまり触れることのない情報に触れることができた。
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