前に「貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち」を読んだので、それと関連して今度は中年の貧困化について周りがどのような状況なのか知りたくてこの本を手に取った。
第1章は対談形式でもう「若年世代」ではなくなった団塊ジュニア世代(1971~1974年生まれ)の非正規社員が抱える様々な問題について語っている。アラフォーの方だとご存知の方も多いと思うが、グットウィル(派遣会社)なんかも出てきて懐かしかった。
精神疾患と仕事
僕が働いていた(契約社員・ゲームセンターの店長)なんかも当時の派遣と一緒で需要がなくなった今、働き続けていても厳しい立場だっただろう。(精神疾患を患ったためしばらく休むよう上司には言われたが、競合他社に正社員として無理して就職し結局すぐに退職した。)僕のように一度レールを外れると戻るのが難しい現状がこの本にも書かれている。
精神疾患を患った人たちの集まりでメンバーたちがしゃべっていた内容が笑えない。
「俺は◯◯医大卒だ」「俺なんか◯◯大卒だ」みたいな学歴自慢していたんですね。でも、よくよく聞いてみると、大学病院の精神科の閉鎖病棟の入院歴だった(笑)。より有名な病院の閉鎖病棟に、より長く入院している方が偉いっていう、本当に無茶苦茶な価値観なんですよ。
僕は地元ではそこそこ有名な病院の閉鎖病棟に3ヶ月を2回だけなのであまり偉くない、比較的軽い方だと思う。(3ヶ月が一区切りで病状が深刻でなければ一旦退院になる)コミュニケーション能力の格差についても触れていて、コミュニケーション能力が高ければ同じ境遇でも企業に雇われやすいし、人間関係から助けを得ることができる。僕の場合病院探しから社会保障や保険の手続き等を親が行ってくれたのでコミュ障だが助かった。
持たざるものへの同情が足りない
震災がらみで各地の避難所にホームレスが訪れたら、追い返されたというエピソードが載っており、日本では「持っていた人が失う」ことに対する同情は強くとも、「そもそも持っていない人」に対する同情が足りないのが現状だ。「持たない人の苦しさ」は最近流行りのミニマリストとの対比が書いてあり、いつでも買える収入をもった上でのことなので、「買えないからない」人とは根本的に違う。
ルポルタージュ・下流中年
第4章では12人の下流中年のルポが載っておりその中で気になった部分をピックアップする。同窓会へ行ける人といけない人というのがあり、まさしくそこには格差が生じていると思った。未婚だったり、無職だったりで同窓会で家族や仕事のことを聞かれると気まずくなるのでいかないという人は以外と多いのではないだろうか。どうせマウンティング大会が予想されるので、僕はこの年になるまで一度も同窓会に参加したことはない。というか同窓会費だってもったいなくて払っていない。ハローワークの対応についても、「とにかく履歴書を出しなさい」「めげない」「しんどくなったら精神科に行きなさい」等お門違いなアドバイスや今時役に立たないWord・Excel講座など行ったことのある人だったら分かるハローワークの実態等が可笑しかった。また、博士号を持った人の高学歴すぎてどこも雇ってくれないというのも意外だった。大学院進学にはお金がかかるので、家が裕福でもない限り奨学金に頼ることになる。それが災いしてハローワーク等でも仕事が見つからないということがあるそうだ。
僕のように履歴書に10年以上空白があると、年齢もあいまって「敗者復活」が難しい。
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