情報の多様化と表裏一体で進む一極集中的な現象が、社会にどのような影響をもたらすのかを考察する。日々進化の絶えないウェブが、私たちの仕事や生活を便利にしているのは疑いないことだ。だが、その便利さの享受の裏側で起きている静かな変化は、見過ごされがちである。多様化、個人化、フラット化の果ての一極集中現象を、気鋭のジャーナリストが分析・解説。
分散化され、ネットワーク状になった世界
現在の状況は、インターネットの出現と普及によって情報流通がビッグバンのように爆発的に噴出している段階だ。しかも、情報の発信源は一カ所ではなく、世界中に分散化している。マスメディアだけが発信源だった時代は、それらの期間が報道しなければ、世の中に状況自体が知られないままだった。つまり、マスメディアによって取り上げられない情報は世界に流通せず、この世に存在しないも同然だった。だが、誰もがウェブに情報を発信できる現在では、伝播力に差があるとは言え、ネットに接続さえできれば、誰かに情報を伝えることはできる。そうした変化が世界にどんな影響を与えるのか。それを誰もが考え、新しい世界のあり方を提示しようとしている。
ウェブの普及以降、とりわけSNSの普及がもたらしたのは情報の拡散の速さ。災害や事故その他、マスメディアもこういった個人が発する情報を元にニュースを構成することも。事件現場にいち早く駆けつけた(もしくは事件に出くわした)個人の動画などがニュースで取り上げられることも多々ある。グローバル企業、テロ組織どちらの集団も国家や土地といった既存の定義では収まらない活動領域を基盤としている。グローバル企業の連絡系統や経営管理、市民生活としての情報交換、そしてテロ活動にとっても、通信活動は必須。これもまた、インターネットの特性だろう。
Web2.0は「ユーザー参加型」「膨大なデータベース」
- パッケージソフトではなく、費用効果と拡散性の高いサービスを提供する。
- 独自性があり、同じものを作ることが難しいデータソースをコントロールする。このデータソースは利用者が増えるほど、充実するものでなければならない。
- ユーザーを信頼し、共同開発者として扱う。
- 集合知を利用する。
- カスタマーセルフサービスを通じて、ロングテールを取り込む。
- 単一デバイスの枠を越えたソフトウェアを提供する。
- 軽量なユーザーインターフェイス、軽量な開発モデル、そして軽量なビジネスモデルを採用する。
web2.0とは「ユーザー参加型」であり、ユーザーが提供したデータに基づく「膨大なデータベース」によって構成されるサービスである。従来のウェブサイトは、サイトの運営者がテキストや画像などのコンテンツを整理した上でユーザーに提供するというかたちをとっていた。それをWeb1.0とするならWeb2.0でコンテンツを提供するのは、サイトオーナーではなくユーザー自身だ。SNSやニュースサイト、僕らの身近になっている様々なサービスがWeb2.0と言えよう。SNSの投稿やニュースサイトの記事などコンテンツの搾取だと批判する人も多いが利便性を提供してくれるこれらのサービスは多くの人にとって有益だ。
グーグルは何もコンテンツを作っていないし、提供してない。しかし、地球上に存在する無数の誰かが作ったコンテンツを収集・リスティングし、そのナビゲーションを提供してくれる。ウェブコンテンツを作るユーザーがいなければグーグルはただの箱に過ぎない。
Amazonーー参加のアーキテクチャー
アマゾンは、ウェブ業界での歴史も古いが、オリジナリティ溢れる開発でも同様に古い歴史と業績をもっている。古くからよく知られているのは、ワンクリック特許だ。ユーザーが自分の名前や住所、クレジットカード番号などをアマゾンで登録したのち、ワンクリックで購入という設定にしておけば、二度目以降は一度のクリックだけで商品の購入決済ができる技術だ。この技術は、ウェブサイトへのアクセス履歴やユーザー情報などをパソコンに保存するクッキーという機能を利用し、いちいち名前や住所、クレジットカード番号などを打ち込む手間が省けるユーザー側のメリットと、衝動買いでもワンクリックだけで販売確定されるというアマゾン側のメリットの二つが同居していた。
Amazonでの衝動買いは一種のストレス発散になっているし、書籍を買うときのリコメンド機能もついつい手が出てしまう。特定のテーマの関連書籍を何冊か買おうと思う時には便利な機能だ。そしてもう一つお世話になっているのが、Amazonアソシエイト(アフィリエイト)プログラム。僕のようなブログユーザーが本を推奨する時に、自動的にAmazonのアフィリエイトの恩恵に浴することとなり、Amazonはブロガーの増加に伴い、売り上げを得ることができる。ブログのアフィリエイトによる売り上げがどのくらいなのかについてはAmazonは公表していないが、相当な効果を上げていることは確かだ。ブログ数が伸び、ユーザーが積極的にウェブで発信しはじめた時期とAmazonの売り上げが伸びた時期が一致していることからも推察できる。
Googleーー半強制的な参加のアーキテクチャー
グーグルの高い株価を支えているのは、とりもなおさず同社の検索技術だ。ウェブの数が全世界で八〇〇億以上にも及ぶとされるなか、適切な検索エンジンが求められている。(中略)誰もが使う現代インフラというべき存在だ。それなしでは過ごせないことはないだろうが、あれば利用してしまう技術の魔力に満ちている。
ウェブで何かを調べようとする時、半強制的に使用しなければならないインフラとしての検索。不動の地位を築いたGoogle様からAdSenseでおこぼれをもらう僕。
後半では匿名のブログとSNSの違いについて論考。民主主義によってつくられる〝主体性のある思考〟と題し、多様な情報の中でも検索上位にある情報に人々が扇動されやすい傾向にあることを指摘。ウェブは求めれば求めただけ情報を提供してくれるが、それが必ずしも社会にとって有益なものではないこともあるとしている。ウェブを使う際は〝主体性のある思考〟に留意したい。
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