不安やプレッシャーによるストレス、凹むことや焦り、そんな負のスパイラルから「なんとかなる」と抜け出すためのストレスマネジメント術。
「うまくいかなかった」ことにフォーカスしがち
では、「なんとかなる」と思える力の弱い人、「処理可能感」が低い人とは、どのような人のことでしょうか。
例えば、定時に仕事が一段落して、今日は早めに帰りたいと思ったAさんが帰宅しようと準備していたところ、突然、上司から「これ急ぎで!」と同僚数名とともに仕事をふられたとします。
同僚たちは断りましたが、Aさんだけ断れずに一人で対応しました。しかもAさんは、上司から言われた時間内に終わらせることができなかったため、帰り際、上司に平謝りしたそうです。
上司に急ぎの無理な仕事を頼まれたうえに、一人で対応したのですから、何も終わらないのはAさんのせいではないのに、です。
このように、無理な仕事や無茶な要求をされた場合でも、「それに応えられない自分が悪い」といった態度をとるAさんのような人は、「処理可能感」が低い人といえます。Aさんのなかに、「相手の要求に完璧に応えなければいけない」という思考があるからです。
この完璧主義的な思考がクセになっている人は、相手の要求に〝完璧に応えられなかった〟部分に大きくフォーカスしがちです。そのため、「うまくいった」という成功体験を感じにくいのです。
この「うまくいった体験」は、「前回うまくいったんだから、今回もなんとかなるだろう」という処理可能感の「なんとかなる」感じにつながります。
そのため、「うまくいったこと」より「うまくいかなかったこと」に目が行きやすい人は、「なんとなかる」感覚を育みにくいのです。 結果、ますます「なんとかなる」と思える力が不安定になっていきます。
他人の要求に応えがちな人は損をしやすい。断るときはきっぱり断る。できないものはできないと言う。人の要求に完璧に応えようとすると負担増になりがち。うまくいくイメージを持ってそれらに挑めれば良いが、そうでないなら、できるだけうまくいかなかった時もそこにフォーカスしない。
3割の「健康な人」に注目した素晴らしさ
「はじめに」でも触れましたが、首尾一貫感覚はアントノフスキー博士による医学的な聴き取り調査の成果として提唱されたものであり、別名「健康に生きる力」と呼ばれています。
首尾一貫感覚は、「健康生成論」と関連があるので、健康生成論についてご説明をしましょう。
健康生成論は学術的な本では次のように紹介されています。 「健康生成論は、健康はいかにして生成されるのか、すなわち、健康はいかにして回復され維持され増進されるのかという、従来の医学がとってきた疾病生成論とは180度転換した新しい発想と観点から得られた知見・知識に基づく仮説的理論体系である」(『ストレス対処力SOC』山崎喜比古・戸ヶ里泰典・坂野純子編/有信堂高文社)
疾病生成論は、「疾病原因となるものを解明して取り除く」という考え方です。従来の医学(予防医学や公衆衛生なども)は、疾病生成論的な観点から膨大な知識と実践を蓄積しています。
一方、この疾病生成論とは真逆の観点が健康生成論です。
アントノフスキー博士の研究の経緯を通して、健康生成論と首尾一貫感覚との関連性や概念について理解を深めたいと思います。
ここで、再び引用します。 「アントノフスキー博士は、1970年代の初頭、イスラエルの更年期の女性を対象に、若い頃の強制収容所でのユダヤ人皆殺しという極度に過酷な経験がトラウマという心の深い傷となって更年期の心身の健康に及ぼすネガティブな影響について検討する研究プロジェクトに参加していた。調査・分析の結果は、(次ページに示した通り)更年期女性で心身の健康を良好に保っている者の割合は、強制収容所からの生還群では約 3 割と、それを経験しなかった群での 5 割に比べて明らかに悪いという、予想どおりの結果が得られた。
疾病の原因となるものを取り除く。予防医学がもたらすものの大きさは計り知れない。最近では医学も進歩しているので早期に自分の体の変化に気づければ治す方法がいくらか提示できる。もちろん治らない病もあるが早期発見は必須。
心が折れて「もうだめ」となる前に読んでおくと心の状態を保てる。そんな予防的な措置を講じるためのノウハウ本。
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