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運命の恋をかなえるスタンダール|水野 敬也

誰もが夢見る恋愛の奇跡。冴えない図書館司書の女性が文豪スタンダールの名著『恋愛論』のノウハウで恋愛の苦手を克服していく物語。

お一人様条約

お一人様条約というのは、悦子さんの四十歳の誕生日会で強引に締結させられた、生涯結婚しないであろう私たちがお互いを支え合っていくべく交わされた約束事だ。条約の項目には、「介護が必要になったときは元気な方が助ける」「先に亡くなった人のお葬式を残された方が取り仕切る」などがあり、いずれも年上の悦子さんに有利な不平等条約と言えたが、お酒の席の冗談だと思って軽い気持ちで 批准してしまった。ただ、誕生日会から結構な日にちが経った今もこうして真顔で口にしてくるところを見ると、悦子さんは案外本気で考えているのかもしれない。 「あーっ!」悦子さんが突然大声を出した。何かを思い出したときにすっとんきょうな声をあげるのは悦子さんの 癖で、あまりの声の大きさに毎回、何事かと体がビクッとしてしまう。 「今日中に片付けなきゃいけないレファレンスのリサーチあるんだった。聡ちゃん、悪いけど、シェアしてくれない?」苦しみはシェアすることで半分に、喜びはシェアすることで二倍に──これは『お一人様条約』の大原則であり、断るわけにはいかなかった。

お一人様条約www なんともありがちな独身女子の生態が笑える。僕もアラフォーで独身なので、なんとなくその気持ちはわかるが、自らに足かせをはめてしまいかねないこの条約は、年下にとっては不平等条約でしかない。

婚活中の求婚

普段からあまりお金を使わないからそれなりの貯金はあるが、もっと本格的に増やしていくことに決めた。もし、これからずっと結婚せずに生きていくのだとしたら、どこかのタイミングでマンションを買う必要がある。外観は気にしない。駅から離れていても構わない。でも、本をたくさん置ける広い部屋が欲しい。今のアパートは、最寄り駅の元住吉から徒歩で 15 分以上かかるけれど、一人暮らしの部屋としてはかなり広かった。部屋の東側の壁は全部本棚になっていて、その横に置いた一人掛けの椅子に座って本を読むのが、一日の中で最も好きな時間だ。私はこの時間のために生きていると言ってもいいくらいだ。この生活をこれからもずっと続けていくために、お金がいくら必要になるのか調べ始めよう。  自宅に到着した私は、リビングの丸テーブルの上に惣菜を置き、冷凍庫から取り出したご飯をレンジに入れ、ノートパソコンを開いた。受信ボックスに届いていたメールを見ると『ブライダルウェブ』経由のもので、差出人は 清田 智 郎 という五十代の男性だった。解凍して温めたご飯をお椀に入れ、惣菜のパックを開けてから文章を読み始めた。

こんにちは。岡部様の 朴訥 な雰囲気に惹かれメールを差し上げました。当方、小さな会社ではありますが印刷会社を営んでおり、収入は平均的サラリーマンの3倍以上あります。ただ年齢も年齢なので岡部様に望むのは次の2点です。

・妊娠可能証明書

・介護の資格を取っていただける意思(両親が高齢なため)。

介護の資格は司書より短期間で取得できるため岡部様にも好都合かと思われます。もし条件が合えばすぐにでもお会いしお話を進めさせていただきたく存じます。 清田拝

高収入であろうとこんな不利な条件を飲む女性はあまりいないのではなかろうか?鼻からお金だけが目当てなら、それも良いが両親の介護を喜んでやる女性がいるだろうか?恋愛して好きになって交際が始まり、結果として両親の介護が必要となったならまだしも、最初から条件として折込済みだと敬遠する女性も多いだろう。

メイクとファッション

「『メイク』と『ファッション』。この分野に精通すれば、短期間で魅力を底上げすることが可能になる。だが、そのためには乗り越えなければならない大きな壁が存在するのだ」そして、スタンダールは私を指差した。 「バルサミ子よ。どうして『メイク』と『ファッション』を変えれば魅力的になれることが分かっているのに、世の中の多くの女たちが、この分野にそれほど時間と労力を割いていないのか分かるかね?」 「それは……『メイク』や『ファッション』を頑張るのが面倒だからじゃないですか?」 「では、どうして面倒に感じるのだ?」 「そういうことをするのが好きじゃないからだと思います」 「では、どうして好きではないのだ?」スタンダールはなぜか 執拗 に、「どうして?」と質問を繰り返してきた。でも、好き嫌いは理屈じゃない気がする。何も答えられずにいると、スタンダールは、 「ここは大事なところだから詳しい説明が必要だろう」と前置きして話し始めた。 「実は、美しさを磨くことを苦手とする者たちには ある 特徴がある。それは、思春期に周囲から美しいと認めてもらえなかったことだ。思春期になると、自分と他人の美しさの違いに敏感になり、互いを評価し始める。そのとき、顔が整っているとされた者や、姉や従姉妹などからファッションやメイクを学べた者は、周囲から『可愛い』『お洒落だ』と認められる。すると彼女たちは『美人』というレッテルを手に入れ、さらに外見を磨いていきやすくなる。逆に、『美しくない』という烙印を押されてしまった者は、あるとき突然ファッションやメイクを頑張り出しても、周囲からは白い目で見られたり叩かれたりする。もし、美しく見せようとして選んだファッションやメイクが間違っていようものなら、攻撃はいよいよ 熾烈 になる。こうして一度『美しくない』という烙印を押されてしまった者たちは、ファッションやメイクを頑張ることが嫌いになってしまうのだ」

メイクやファッションに気を遣うことで、恋愛体質が加速するなんてことはあるのだろうか?女子同士で外見におけるマウントの取り合いのような気もしないでもないが、男子というか僕はナチュラルメイクでオーソドックスなファッションに好感を持つ。流行を追いたい気持ちはわかるが、男子に理解できないファッションは避けるべきかも。それは男も同じ。女子が口を揃えていう清潔感のあるスタイルというのは当たり前のベースにあって、その上でお洒落度やその他の外見をプラスしていく感じだろうか?

愛の国フランスの名著『恋愛論』のノウハウを物語で順を追って学べる書籍。

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