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不平等と再分配の経済学──格差縮小に向けた財政政策|トマ・ピケティ

『21世紀の資本』はもうおなじみで読んだ方も多いのではないでしょうか。この書籍は『21世紀の資本』で論じられなかった人的資本や教育の問題にも触れており、合わせて読むとなお一層ピケティの主張が理解できるものとなっております。不平等に関する経済理論をわかりやすくまとめた書籍です。

雇用に対する不平等

より一般的には、一九七〇年代以降のフランスのような国における不平等の進展を、最も貧しい一〇%の人々と最も裕福な一〇%の人々との間の所得と賃金格差によって要約することは、その格差がほぼ一定である以上、明らかに誤りであろう。もしも、世帯間の可処分所得の格差が比較的安定していることを、数多くの国、とくにフランスにおいて確認できたとすれば、それは唯一、社会的資金移転が、失業者の増大で就業所得が損失した点をほぼ埋め合わせるのに成功したことによる。このような資金移転(失業者手当て、社会復帰最低所得保障など)がなければ、所得の不平等の進展はアングロ・サクソン諸国と同じであったであろう。この点は、賃金の格差が安定していたにもかかわらずそうである。就業年齢に当たる人々の間の不平等、それは実際に雇用されている賃金労働者の間の不平等ではないが、そうした不平等は一九七〇年代末以降にフランスでかなり高まった。

トップ1割とボトム1割の所得格差はエグい。使いきれずにもはや消費というより散財のレベルでお金を使う人々がいる一方、子供に満足な教育を施すお金すらない人々も。世間一般の標準に視点を合わせ公的扶助を与えることをもっと考えないと格差はますます開くばかりだ。貧困層の中には一攫千金を狙い還元率の低いギャンブルにお金を投じるものや安酒でアル中になる人も。結局、搾取されるのはいつもボトムあたりにいる人たち。資金移転を本気で考えないといけないフェーズに来ていると感じた。それはバラマキではない構造的な改革であって、キャンペーン的な一時だけのものでは意味がない。最近よくあるキャッシュレス決済で還元とかいうキャンペーンをよく見るが、得しているのは一定以上の所得がある人だけのような気がする。SNSでも還元キャンペーンで高額商品を買う人の様子がよくみられるが、消費という意味では一定の効果があるものの、消費がままならない本当に援助が必要な人にはその恩恵があまりないような気がする。

資本/労働の再分配

さらに、賃金労働者は、資本/労働の再分配を社会的闘争と賃金の増大に、したがって財政的再分配ではなく直接的再分配に結びつけることができるのは明らかである。事実、財政的再分配はいかなるものであっても、非常に短い期間に関して国民所得の一〇%を再分配させることは決してなかった。一九八一年にフランスで政権を取った社会主義政府の決定した財政的再分配の対策は、おおよその値を示せば、一九八一年に一〇〇億フラン以下、つまり当時の国民所得の〇・三%ほどを表す程度であった!ところが、それでも同政府は、政権の期間で右派により「租税の集中攻撃」の極致として公然と非難された。すなわち、それは基本的に大きな富に対して、租税や財政資金移転を用いながら、より大きな規模の再分配を遂行することは何も禁じられていない。

資本主義である限り資本の集中は避けられない。大きなお金を動かしている人ほど市場では有利な状態というのが、有史以来の絶対法則。細かいお金をいくら市場に投じたところでスケールメリットには敵わないということだ。そこで投資の世界では資金力のない人間はカモになってしまうという側面が。SNSなどのDMに開始一ヵ月で六桁の利益達成などという謳い文句で投資のレクチャーをしますという詐欺師のメッセージがよくくるが、無視した方がいいです。情弱相手の卑劣な詐欺に加担しないよう、そうしたアカウントはできるだけフォローしないことをお勧めします。

公正な財政的再分配

公正な再分配は、それによって最も不利な立場にある個人の生活の機会と条件を可能な限り進展させられることを示している。この点は例えばロールズ派のマクシミン原理が説き明かすものである。確かに、最も不利な立場にある個人の正確な規定をめぐり、対立が依然としてある。この規定は次のような世界、すなわち諸個人が互いに異なり、多様な次元で生きていくような世界では、必ずしも簡単ではない。そしてこのことは、責任の概念規定や社会的公正自体の目的に関する問題を投げかけてしまう。この点は、社会的公正に関する理論の最近の発展で示されているとおりである。

僕は家庭環境により学びの機会を奪われる状態が不利な立場であると考える。スキルを身につけ稼ぐ力をつけるのを阻害すると格差は開くばかり。そこでスキルを身につけるために必要な資金を社会保障で補えば、あとは本人次第というわけだ。より高い所得を得るため高度なスキルを身につけるもの、スキルは持たないが自由を満喫するもの、それを自分で選択できる国が多様性の浸透した世の中ということだ。

再分配を考えるときに重要な要素を提示、教育などの機会も再分配には欠かせない要素。『21世紀の資本』を補完する書籍となっています。

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